世界に轟け中華の声よ

鈴木颯手

第十五話「京都の人って遠まわしに嫌味言う事が多いそうですね」

 あの後、清択さんにヨーロッパ以外の事を教えてもらったけど欧州大戦前とほとんど変更点は無いらしい。アジアやオセアニアにおいてもドイツ領を列強諸国が仲良く分け合ったくらいらしい。
 あ、それとオーストリアハンガリー帝国は解体されて中欧諸国に分裂したらしい。あの国は二重帝国っていう名前に惹かれて少しだけ調べた事があるからね。ぶっちゃけドイツとオスマンが変わっている中で唯一変わらない状況になっていたよ。
 そして歴史に関する勉強を終えた僕は特別な日を迎えていた。

「この度は招待していただき感謝したします。大日本皇国外務大臣の高原俊介と申します」
「大杏帝国皇帝雨だ。今日は楽しんでいかれるとよい」
「お心遣い感謝します」

 今日は僕の誕生日だ。といっても自覚は無いし周りが盛り上がっているだけだけどね。今日で僕は11歳になるらしい。やっぱり10歳のショタだった事に驚いたけど清択さんを含めて文官の皆さんが号泣して喜んでくれたことに少し恐怖を感じたよ。まさかここまで喜んでくれるとは思わなかったから少し恥ずかしいな。
 そんなわけで僕の誕生日パーティーをする事になった。招待状は前もって各国に送られていたけど今は政情不安定な国もある。参加する国は列強諸国だと大日本皇国のみでそれ以外だとモンゴルやフィリピン、タイ王国といった近場の独立国のみの参加となった。あ、アフガニスタンはペルシアとの紛争で欠席だってさ。
 そして僕は大日本皇国の代表として来たおっさんと挨拶をしている。場所は皇王の間ではなくパーティー専用の巨大な部屋だ。僕はその部屋の玉座に座り挨拶をしている。今回は挨拶する人が少ないから直ぐに終わるけど場合によってはパーティー終盤までかかる事もあるらしい。僕としてはパーティーの為に作られたごちそうに目が行ってしまうんですけどね。

「大杏帝国の皇帝は幼いながらも聡明と聞きましたが噂は本当だったようですな。政庁が楽しみな子です」
「そう言ってもらえて朕も嬉しいぞ。大日本皇国は我らアジア系国家の中で唯一列強入りを果たした大国である。そのような国とは今後とも友好な関係を続けていきたいものじゃ」
「陛下のお言葉、きちんと本国に届けさせていただきます」

 大日本皇国との友好関係は本心から賛成だけど出来れば領土は返して欲しいなー、と思っていたりする。国外の要人と話す時用の偉そうな口調で日本のおっさんに語り掛けるが少しくらい嫌味を言ってもいいよね?

「そう言えば貴国の海軍は素晴らしいと聞いたぞ。我が国は陸軍に力を入れておってな、あまり海軍は発展しておらぬのじゃ。ぜひとも我が国の艦隊の参考にしたものじゃ。我が国は伯国から成り代わって中華の地を治めておる。これまでの王朝に笑われない国を作りたいものじゃ」
※訳:お前の国は海軍しか取り柄ないよなwww中国に散々こびへつらってきた国がイキってんなよwww
「我が大日本皇国は四方を海に囲まれた島国です。海軍に力を入れるのは必然と言えます。ですが、中国王朝である貴国にそう言っていただけるとはこれまでの努力が実った思いです」
※訳:うちの国に負けて置いて何ふざけた事言ってんの?隣国の状況も分からないお粗末な情報収集能力しかないですかwww取り敢えず中国王朝として敬えるだけの結果を見せてみろよwww

 ……本音を隠しつつ嫌味を言ったつもりだったけどあまり慣れないことはしない方がいいね。僕、心折れそうだよ。

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