世界に轟け中華の声よ

鈴木颯手

第十三話「懐が厳しいのは大杏帝国だけの様です」

 この国とこの世界に関する事は大体分かったな。次は軍事に関してだけど……、そこまで教えてはくれなかったな。まぁ、聞いたところで分からないだろうけどね。ただ、現在の軍の総数は30万ほどらしい。まぁ、大杏帝国全体で見れば少ないけど自分の勢力範囲を考えれば妥当なのかもしれない。
 ただ、火器に関する事については悲惨という事は分かった。大杏帝国は現在列強諸国から小銃等や野砲などを輸入していたらしい。そしてそれらを元に自国産の武器を製造しているらしい。ただ、他国の物よりも質は悪いうえに量産体制を行うには生産力が乏しい現状では不可能という状況だった。その為借金に上乗せするように小銃などの輸入を今も行っているらしい。
 ただ、大杏帝国がそうであるだけで軍閥、特に海杏軍閥は違っていた。なんと海杏軍閥は既に武器の量産体制に入っており自分の派閥の軍隊に行き届かせているらしい。所謂充足率は90%を超えているのだとか。大杏帝国は輸入品を全て使用して80%いけばいいんじゃないかな、程度との事。まぁ、これは海杏軍閥が特殊なだけだ。海杏軍閥と大杏帝国と勢力上は匹敵する共産勢力は生産出来る力は持っていないが貿易港である上海を自分の派閥に入れているためそこから得られる外貨などを利用して輸入を行っているらしい。少なくとも大杏帝国の貿易よりは上手く回っているとの事。
 因みに、これは陸軍の話であって海軍はもっと悲惨な状況だ。大杏帝国は伯国から受け継いだ北洋艦隊を保有しているがその編成は前弩級戦艦1、巡洋艦2、水雷艇4という艦隊とすら呼べない状況になっている。これには理由があり先ず伯国の時代に大日本皇国と交戦した際に一度全滅したのである。伯国滅亡まで艦隊の再建は行われ前弩級戦艦1隻と巡洋艦2隻、水雷艇3隻まで増えていた。そしてその艦隊をそのまま大杏帝国の海軍に組み込んだらしい。
 ……そう、大杏帝国は伯国以下の造船能力しか持っていなかった。というか大日本皇国との海戦って史実でいうところの黄海海戦だよね?でも今は1920年だから40年以上前に海戦したことになる……。やっぱり史実とは違い何かがあるっぽいね。その辺は後で聞いてみるか。どちらにしろ軍事に関する知識がない僕ではこの件に関して何か指示は出せないからね

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