人体強化人間の異世界旅路

鈴木颯手

神の試練~ダンジョン攻略⑱~

 さて、今度は俺の番と威勢よく言ったがいいがどうしようか……。
 今の状況的にかなり劣勢だ。というかダメージを受けたのが地味に辛い。あれを受けて居なければまだ色々と手はあったんだけどなぁ……。どちらにしろ今はあいつを倒すしかない。
 敵は天使だけあって浮遊する事が出来るようだ。更に遠距離戦にも対応し且つ近距離戦では思い攻撃を放ってくる。特に蹴りは危険だ。ただでさえヒール付きのブーツを履いているというのにそれがなくともエグイ威力を持つ蹴りをかなりの速度で放ってくる。

「どうしましたか? 貴方が反撃に出るのでしょう?」
「まぁ、そうだな。んじゃ、行くぞ!」

 カドミエルの催促とも言える疑問に答えて俺は地を蹴る。遠距離戦は相手が光の壁を展開するから不利だ。どれだけ頑強かも分からないのに突破できるのを期待するのは論外だ。である以上俺が取るべき手段は刀を用いた近接戦闘だ。相手も近接戦闘は出来る上に威力は高い。それでも近接戦闘ならこちらの身体能力を生かす事も出来る。更に付け焼き刃だが身体強化の魔法を自身にかける! 戦闘中に維持するのは大変だが今はそうしないと勝てない。

「ほう? 貴方は身体強化も出来るのですか。それは十分私にとって脅威となります。身体強化を含むいくつかの魔法を今の私は使えないので、ね!」

 カドミエルの言葉と共に俺の顔面目掛けて蹴りが飛んでくる。身体強化した俺が近づくまでの距離と時間を計算したうえでの蹴りは丁度俺に最もダメージを与えられるであろう距離でぶつかる状態となった。しかし、そんな事は想定済みだ。俺は蹴りに合わせて刀を前に持って来る。刃の中央当たりの棟に左手を添えて相手からの衝撃に備える。

「っ!?」

 俺の意図に気付いたらしいカドミエルが蹴りを止めようとするが既に手遅れだ。カドミエルの必殺の蹴りは俺の刀に吸い込まれて行き、ブーツを切り足を切り裂いた。足の甲を横に分断された。流石はアポロン神が作り出した刀だ。天使の肉体をバターの如くきり割いてしまった。

「ぐっ!」
「ふっ!」

 痛みで後方に倒れそうになるカドミエルのその大きな隙。俺はその上から渾身の力を持ってカドミエルに刀を振り下ろした。

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