人体強化人間の異世界旅路
天使の降臨祭・3日目
ついに天使の降臨祭も3日目を迎えた。2日目は街を見るだけだったが今日は違う。ナタリーが何故か参加したいと自分から言ったメインイベントが行われるのだ。種目は毎年変わるらしく去年は歌と踊りで審査されたようだ。もし今年も同じだったとして……、ナタリーが優勝できる様子が全然思い浮かばない。と言うかナタリーは歌えるのだろうか?ダンスなら持ち前の身体能力で何とかできそうだが歌に関しては別だろうし。
まぁ、今年はナタリーが得意なものが出るのを祈るしかないな。
「あ、メイアちゃん。おはよう」
「……」
「メイアちゃん?」
居間で火を起しているとメイアちゃんがやってきた。俺は挨拶をしたがメイアちゃんは寝起きなのか無視されてしまった。
「……あ!ご、ごめんなさい!ちょっと眠くて……」
「そうか?あまり無理はしないでいいぞ。今日くらいは俺が料理を作るからさ」
「そう、ですか?ならお言葉に甘えて……」
俺はメイアちゃんの許可をもらって料理台に立つ。知識でしか知らないがレシピ通りに作れば何とかなるだろう。幸い、食材はそれなりにある。居間の方からメイアちゃんの視線が刺さるように感じる。そんなに珍しい事か?と思いつつメイアちゃんが好意を持ってくれている事を考えれば仕方ないのかもしれないな。
俺は手慣れた、とは言えないが無難に料理を完成させた。そのころにはナタリーもふらふらだが起きてきて三人で料理を囲む。市販のパンに肉の骨で出汁を取ったスープ。後は葉野菜のサラダだ。朝食だし大体こんなもんだろう。
三人で料理を食べるが俺以外の二人が半分寝ている状態のせいか一切の会話なく淡々と食事が進む。個人的にはこの静けさも嫌いではないし良いんだが少し気まずく感じてくるな。
とは言え料理はそこまで多くはない。ほぼ調理時間と同じ速さで食事は終わった。その後は準備を整えると俺たちはメインイベントが開催される街の中央にある時計塔に向かうのだった。
……それにしても、メイアちゃんは昨日は眠れなかったのか?未だにぼぅっとしていて俺にもたれかかるようにして歩いているのだが。
3日目の今日は2日目どころか1日目を超える大賑わいだった。道という道は人で埋め尽くされ様々な所で音楽が流れ人の賑わいと言う歌声が轟いている。
特にケラースの街の中央部、時計塔の真下は拍車をかけて凄かった。天使の降臨祭のメインイベントが行われるという事もあって一目見ようとする人々でごった返していた。広場に隣接する宿屋は二週間前には埋まり窓から顔を覗かせて眺めていた。
そんな賑わいを見せる広場だがその裏側、出演者とその付添人がいるステージ裏はそんな喧騒とは打って変わって静けさが漂っていた。人も埋め尽くすほどいる訳ではなくゆったりとくつろげるスペースが確保されている。
俺はイベント用の衣装に着替えたナタリーと共にイベント開始を待っていた。動きやすくも華やかな装飾がされた衣装は何処か凛とした雰囲気をナタリーに与えていた。もし、これで身長がもう少し高ければ凛々しい女性と言う感じに見えただろう。
「緊張はしてないか?」
「ん。大丈夫」
俺の言葉にナタリーはそう返す。何時もの無表情で緊張した様子は見えない。ナタリーは素の状態を維持しているというのが分かった。とは言え緊張は多少持つのは良いがし過ぎるとかえって体を委縮させ動きを制限させる。ちょっとしたミスでも対処できずに大きなミスに繋がってしまうからな。
「参加者は……、8人か。これは多いのか?」
「大体こんな感じですよ」
俺の呟きにメイアちゃんが答える。流石に昼時に差し掛かっている今になれば目も覚めてきたようで受け答えもきちんと出来ているがすこし緊張しているのか少し動きがぎこちない。メイアちゃんはいつもステージの方から見ていたようだしこういう場に来るのは初めてなのだろう。
「出演者の皆さん。イベントが始まります。こちらに集合してください」
スタッフらしき人の声が聞こえてくる。ナタリーは座っていたイスから立ち上がりそのスタッフの方に向かって歩いていく。途中、俺の方を向くと自信満々な笑顔を見せてきた。……どうやらナタリーはどんな種目だとしても優勝する気満々のようだな。ナタリーの自信を信じて彼女の優勝を祈っておくか。
まぁ、今年はナタリーが得意なものが出るのを祈るしかないな。
「あ、メイアちゃん。おはよう」
「……」
「メイアちゃん?」
居間で火を起しているとメイアちゃんがやってきた。俺は挨拶をしたがメイアちゃんは寝起きなのか無視されてしまった。
「……あ!ご、ごめんなさい!ちょっと眠くて……」
「そうか?あまり無理はしないでいいぞ。今日くらいは俺が料理を作るからさ」
「そう、ですか?ならお言葉に甘えて……」
俺はメイアちゃんの許可をもらって料理台に立つ。知識でしか知らないがレシピ通りに作れば何とかなるだろう。幸い、食材はそれなりにある。居間の方からメイアちゃんの視線が刺さるように感じる。そんなに珍しい事か?と思いつつメイアちゃんが好意を持ってくれている事を考えれば仕方ないのかもしれないな。
俺は手慣れた、とは言えないが無難に料理を完成させた。そのころにはナタリーもふらふらだが起きてきて三人で料理を囲む。市販のパンに肉の骨で出汁を取ったスープ。後は葉野菜のサラダだ。朝食だし大体こんなもんだろう。
三人で料理を食べるが俺以外の二人が半分寝ている状態のせいか一切の会話なく淡々と食事が進む。個人的にはこの静けさも嫌いではないし良いんだが少し気まずく感じてくるな。
とは言え料理はそこまで多くはない。ほぼ調理時間と同じ速さで食事は終わった。その後は準備を整えると俺たちはメインイベントが開催される街の中央にある時計塔に向かうのだった。
……それにしても、メイアちゃんは昨日は眠れなかったのか?未だにぼぅっとしていて俺にもたれかかるようにして歩いているのだが。
3日目の今日は2日目どころか1日目を超える大賑わいだった。道という道は人で埋め尽くされ様々な所で音楽が流れ人の賑わいと言う歌声が轟いている。
特にケラースの街の中央部、時計塔の真下は拍車をかけて凄かった。天使の降臨祭のメインイベントが行われるという事もあって一目見ようとする人々でごった返していた。広場に隣接する宿屋は二週間前には埋まり窓から顔を覗かせて眺めていた。
そんな賑わいを見せる広場だがその裏側、出演者とその付添人がいるステージ裏はそんな喧騒とは打って変わって静けさが漂っていた。人も埋め尽くすほどいる訳ではなくゆったりとくつろげるスペースが確保されている。
俺はイベント用の衣装に着替えたナタリーと共にイベント開始を待っていた。動きやすくも華やかな装飾がされた衣装は何処か凛とした雰囲気をナタリーに与えていた。もし、これで身長がもう少し高ければ凛々しい女性と言う感じに見えただろう。
「緊張はしてないか?」
「ん。大丈夫」
俺の言葉にナタリーはそう返す。何時もの無表情で緊張した様子は見えない。ナタリーは素の状態を維持しているというのが分かった。とは言え緊張は多少持つのは良いがし過ぎるとかえって体を委縮させ動きを制限させる。ちょっとしたミスでも対処できずに大きなミスに繋がってしまうからな。
「参加者は……、8人か。これは多いのか?」
「大体こんな感じですよ」
俺の呟きにメイアちゃんが答える。流石に昼時に差し掛かっている今になれば目も覚めてきたようで受け答えもきちんと出来ているがすこし緊張しているのか少し動きがぎこちない。メイアちゃんはいつもステージの方から見ていたようだしこういう場に来るのは初めてなのだろう。
「出演者の皆さん。イベントが始まります。こちらに集合してください」
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