人体強化人間の異世界旅路

鈴木颯手

王都滞在・Ⅱ

「3泊で個室を一つ」
「あいよ」

 右手で宿屋の女将さんにお金を払いながら左手はナタリーの機嫌直しの為に好きにさせている。あれからナタリーの機嫌はあまり治らなかったがナタリーが俺の左手でいろいろとやり始めたので好きにさせていた。今俺の左手は彼女の頬に触れて、というよりナタリーが俺の手のひらに頬ずりしていた。先程から左手の感触が柔らかくも暖かいものに触れている事実を伝えてくる。……因みにここが個室だったら確実に18禁レベルの事をし始めるが完全な余談だ。

「それにしても兄妹で旅なんて羨ましいねー」
「む……、恋人?夫婦?そんな感じ」
「あらあら」

 完全に仲の良い兄妹としてか見ていない女将さんにナタリーは不満げだ。確かに14歳のナタリーと18歳相当の俺ではそう見えても可笑しくはないな。そう言えば若いうちはこんな風に兄妹に見えるらしいが歳をとっていけば夫婦に見えるのはなんでだろうな。組織の一人が姉と歩いていたら恋人に浮気と間違えられてボコボコにされたって嘆いているのを見たことがある。
 まぁ、そんなことはどうでもいいがとりあえず部屋の書かれた木札をアクセサリー代わりにした鍵を受け取った俺はナタリーを連れて部屋に向かう。アレフで買ったキャンプ道具とかを置いておかないと邪魔になるだろうからな。
 俺が宿泊を取った店は三階建ての店で一階は食堂、二階以降が宿泊部屋となっていた。俺は二階のちょっと奥、裏路地側の部屋だったのでそこに向かう。部屋につくと中はきれいになっておりある程度の清潔感のある部屋だった。流石に王都だけあってそう言うところは気を付けているか。こういう綺麗な部屋は王都や大都市以外だと金のかかる高級宿しかないらしいからな。
 左手がふさがっているため右手で荷物を降ろしていく。その間ナタリーは俺の方を見ていたが特に何もしなかった。……せめて左手は離してほしかったがな。
 そう思いながら荷物を降ろした瞬間、ナタリーによってベッドに倒された。更に突然の事で驚き固まる俺に口づけをして来る。長い口づけを終えてナタリーは顔を離す。その顔はほのかに赤く染まっており俺の方をじっと眺めている。興奮しつつある自分の体を感じながら俺はナタリーの顔が再び近づいてくるのを見ていた。そしてある程度まで近づけたナタリーはこういうのであった。

「……しよ?」

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