人体強化人間の異世界旅路

鈴木颯手

戦いの後

 帝国軍を返り討ちにした俺は返り血だらけの体でベアード砦に凱旋した。指揮官や本陣を壊滅させた俺を騎士団は歓声を持って出迎えてくれた。レナードさんも俺の方に向かってきて俺の手を掴み握手する。

「和人さん!ありがとうございました!おかげで想定していたよりも被害が少なくて済みました」

 騎士団の被害は死者数十名、負傷者がその倍ほどらしい。数が多い相手でこの被害なら完勝と言えるな。帝国軍は明らかに半数は死んでいたからな。2000人以上もの死体があるため街道は血だらけでレナードさんや討って出なかった者達が中心に死者の埋葬をするらしい。きちんと埋葬しないとアンデッドの発生原因になるらしいがそれ以上はあまり聞けなかった。
 取り敢えず何とかなったが今回の戦闘でマシンガンはマガジン一つを残して空になったし刀も手入れが必要になった。砥石などできちんと研いで置かないと折れちゃうからな。
 それともう一つ。帝国軍は今回結構な被害を出した。レオル帝国は愚帝という事でもしかしたらもう一回攻撃してくる可能性があった。それも5000を超える軍勢、もしかしたら1万や2万となるかもしれないな。
 俺は体を休め夜にレナードさんに帝国軍の動きの考察を話した。レナードさんもその事を考えていたのか

「可能性はありますね。最悪を想定して本国に事情を説明して援軍を送ってもらおうと思っています」

 どうやらレナードさんもきちんと帝国の動きを予測して対策を立てていたらしい。流石に万単位で攻めて来られたらここの砦では守り切れないらしい。というかここは国境沿いの砦だよな?しかもサジタリア王国に侵攻してくるレオル帝国との国境なのにいくら何でも兵が少なすぎないか?そう思いそれも聞いてみると

「サジタリア王国は現在宰相派と軍務卿派の二つに割れていて、宰相派が東側に影響力が大きく影響力を削ぐために軍関係の殆どを任されている軍務卿がレオル帝国が侵攻しやすいように兵を出し渋っているのです」
「それだと援軍がこない可能性もあるんじゃないか?」
「流石に万単位の軍を無防備に通すという事はないと思うのですが……」

 サジタリア王国の実態に俺は頭を抱える。これだけやばいとなると滅亡も時間の問題かもしれないな。レナードさんには悪いがある程度滞在してさっさとこの国を出るべきだろうな。俺は今後の事に不安を感じながら血の匂いが今だ残る体を自室へと持っていくのだった。

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