婚約破棄を目標に王子を罵らせて頂きます〜聡い殿下でしたら気づいてくれますよね?!〜

もあん

12.だから私には似合いませんよ

あの後…
いつの間にか並行して進められていた結婚の準備、結婚式までの日程も決められていました。

「あなたに断られたらとひやひやしていたんだけど良かった。もう離さないからね?」

なんて言われてしまいました。
策士に負けました。
そもそも殿下とそういうもので競って勝てるわけが無いのですが…
何ともスムーズに進まされ過ぎてて怖いです!
今日はドレスを決めるそうですけど…

「なんで殿下もいるんですかぁ~!」
「一緒に決めようと思ってね。」
「着替えなどもあるのですよ。」
「今更?僕ら夫婦になるんだよ?まぁ仕方ないからその度に出ていくけどね。」
「なっ…!」
「それにあなたにドレスを任せたら…ああいったの選ぶでしょ?」

指されたそれは…
マーメイド型のようですが肩から袖にかけて透明の生地で刺繍が入り、膝のあたりも透けているドレスです。

「確かに凄くいいです。あれにしましょう!」
「…あれもにするならいいけど…」
「え?」
「別のも見たいってことだよ。一緒に選ぼうね?」
「うぅ…分かりました。ちなみに1つ伺いたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ん?なに?」
「なんで私に贈られたドレスどれもサイズピッタリだったのですか?」

なんで固まるのですか?

「そ、それは…誰かが教えてくれてね。」
「やっぱり殿下もご存知なのですね…殿下に知られてしまうならもう少し痩せなくては…」
「あっ!やらかした…これ以上痩せられたら折ってしまいそうで怖いからやめて。」

引っかかってくださると思ってなかったのですが成功すると嬉しいですね!

「あとやっぱあのドレスはだめ。」
「えっ?!なんでですか?!」
「露出が高すぎる。大勢の前で着るとなったらだめ。とゆうか僕以外の前ではだめ。」
「いやそれじゃあ着る機会ないじゃないですか!」
「じゃあ言い方変えるね。大勢の前であんなの着られたら僕が嫉妬であなたに何するかわからないよ?」
「何って…」
「なんだろうね?まぁ少なくともああいったドレスは着られないようにするだろうね。」

怖っ!血の気がスっと引いていきますよ!

「さぁ。選ぼうね。」

その笑顔がむしろ怖いです!

「これとかいいと思うんですよ。」
「さすがレーヴィ殿下!ではこちらはこう…」

………なんで私抜きで話進むんですか?!
私のドレスですよね?
しかも方向が明らかに清楚で可愛らしい雰囲気のものに…

「あの~。そんなふんわりしたものでなくてもっとこっちのすっとした…」
「却下。」
「せめて最後まで言わせてくださいよ!」
「着てもいいけどそれなら式の間に衣装何回か変えることになるよ?そしたら大変だよ?」
「そちらを着ないという選択肢は…」
「だめ。最高に可愛い君にしてみせるからね。」

うぐっ!
なんなんですか?!
そんな歯が浮くようなセリフばかり!
名前も愛称も読んでくださらず未だにあなたとか君とかばっかりなのに!
はぁ…なんか私ばかり手の上で転がされているようで癪にさわります。
いつも気が付けば先回りされてたりして…
そんな急いで結婚する必要あるんですか?
私を逃がさないとか離さないとかよく仰いますけど私をなんだと思ってるんですかね?!
別に逃げも隠れもする気もありませんのに!
信用してくださっていないのでは!

「殿下のばか…」

思わずボソリと呟いてしまいます。
さすがに聞こえてないんでしょうね。

「さぁ着てみて。」
「これは…」

そんなにこにこされながらでも無理なものはあると思います。
それがこれです。

「無理です無理です!!絶対似合いません!服を着るではなく服に着られるという状態になってしまいます!殿下!!行かないで下さい!」
「その申し出は魅力的だけど女性の着替えを覗くのは良くないからね。」
「そうではありません!」
「楽しみにしてるよ。」
「無理ですー!!!!」

私の抵抗など無いに等しく一気に着替えさせられ髪も簡単にセットされてしまいました。
ノースリーブで腰のあたりからふんわりとしたスカートが2段になっていて薄いピンク色の花が全体に散りばめられています。
ベースは白で足元からピンク色の刺繍がグラデーションかのように施され、胸元はピンク色がメインになるかのように花や刺繍で埋め尽くされています。
髪はボリュームのあるハーフアップにされ、ドレスと同じような花が付けられました。
メイクも直されました。
無理です似合いませんこんな可愛らしいものが似合うはずがない…

「殿下終わりましたのでどうぞ中に。」

ダメです入れないでください!
ですが待ってましたとばかりにその声がかかって直ぐに殿下は入ってきてしまいました。
私を見に少し驚いた表情をしてにっこり笑顔を浮かべました。

「似合ってるよ。かわいい。」
「お世辞などいりません!もうほんとに似合わないのでやめてください…ほんとにこういったものは恥ずかしいんです…」
「お世辞じゃないんだけどね。この方向で進めようか。今のをベースにしてデザイナー数人に依頼を。」
「え?」
「「はい。」」

まさかまさかのです。
これで決定じゃないだなんて…

「惜しいな…」
「ん?何がですか?似合ってないんですから変えるなら今のうちですよ。」
「十分すぎるくらい似合ってるよ。僕以外の人に見せるなんて惜しいくらいにね。特にジュンシーとか君を狙っていた人達に見せなきゃいけないだなんてね。」
「ご冗談を。私を好きになる人がいるだなんて未だに信じられませんのに。」

つい笑ってしまいます。

「そっかぁ。じゃ………こま……と…」
「ん?何て仰いました?」
「気にしないでいいよ。」

何となく誤魔化された気がします。
それにその笑顔なんか怖いです。


***


その後も準備は着々と進み何事も無く…

ついに明日結婚式です!
この時点で私も殿下も17歳!
貴族の結婚それも王族や公爵となると時間かかるんですよね~。
お客様も他国の王族とか招くので盛大ですし国はお祭り状態ですし。
あのドレスはそれはもうより素晴らしく可愛くなってきました。
でも少しなら私でも似合うかなぁと思ってしまうあたり洗脳を疑います。
それでも明日に控えた結婚式に不安と期待を膨らませます。

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