青春クロスロード
すみれのダブルデート大作戦④ ~似たもの同士の二人~
二人は会話を終えて学校に向けて歩き出すと何かを思いついたように忍が一歩前を歩く二郎に問いかけた。
「そう言えば二郎もあの映画見たかったんだね。カッコイイよね、あの俳優さん。前の作品を見て好きになっちゃってさ」
二郎は忍の言葉を聞いて、ふとある重要な事を失念していることに気がついた。それは忍が何の映画を見たいかと言うことだった。すみれは二郎をけしかけることに躍起になっていたため、肝心の忍の見たい映画について話すことを忘れており、二郎も忍を誘うことに頭を悩ませていたため忍がどの映画を見たいのかを考える余裕がなかった。
しかしながら、一応は見たい映画が同じだから忍を誘ったということにしているため今更それを知らぬ存ぜぬとは言えなかった。なぜなら見たい映画が違うのであれば、忍を誘う理由にはならず、ただただ忍とどうしても仲直りしたがためにデートに誘ったと再びからかわれるハメになると思い至った二郎はそれを何とかごまかそうと言葉を濁しながら答えた。
「いや~、そんなんだよ。あのアクションが格好良かったよな。まぁ俺は前から注目していた人だからそれなりに期待していたけど、前回の映画は特に良かったよな」
(よし、これなら上手く話を合わせられるだろう、早く映画のタイトルか俳優の名前をいってくれれば、なんの映画が見たいか予想できるはずだ)
二郎は暇人である事を利用して、普通の人よりもよくドラマや映画を見る人間だった。そのためある程度のヒントさえあれば忍の見たい映画を当てられるという自信があり、このまま話を合わせて乗り切ろうとした。
「そうなんだよね。あたしは今まであまりあの俳優さんの作品を見たことはなかったけど、前からカッコイイとは思っていたのよ。でも前回の映画の時にドハマりしちゃって、それから色々と作品を見るようになったのよ。だから今回の新作をずっと楽しみにしていたんだ」
「そうかそうか、そりゃちょうど良かったよ」
そんな調子で機嫌良さげな忍と会話を続ける中で、なかなか尻尾を掴ませない忍に二郎はこの年に公開されている映画のラインナップをどうにか記憶からひねり出し推理を行っていた。
(クソー、全然ハッキリしないな。えーっと、今年の注目作と言えば、確か春頃に『マトリックス』の続編があったよな。てことは、キアヌファンなのかこいつは。キアヌ・リーブスかぁ、確かにイケ面と言えばイケ面だけど、あの話を忍が理解できるか。正直理解するには難易度が高い気がするけど、確かにあのポーズは俺も真似したことあるくらいブームにはなったよな。いや、待てよ。確か昨日レベッカがディズニーのアトラクションが題材の映画がどうこう言っていたな。そうだ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』だ。あれの主演はジョニー・デップだよな。でもジョニー・デップって『スリーピーホロウ』とか『シザーハンズ』の主演で良い俳優だけど、イケ面と言うよりも演技派のカメレオン俳優って感じだし、女子高生がハマるか?うーん、あ、そうだ、注目映画と言えば「踊る大捜査線」の第2弾の映画がやるじゃんか。そうか、織田裕二さんか、確かに俺も前の映画は3回も見たし、ドラマはおそらく5回くらいリピートしているし、忍がハマる理由は分かる。だけど、ここまで熱弁するほど女子高生がハマるのか。男の俺ならあの名台詞に憧れて真似したりしたが、青島がイケ面だと言ってトキめく女子高生がいるかな。うーん、わからん。もしかして相手は主演じゃないのか。となると、あ、オーランド・ブルームか!そうだ、確か『ロード・オブ・ザ・リング』の続編が春に公開していたわ。それにエルフ役で出ているオーランド・ブルームが『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出ているってレベッカが話していたな。確かに金髪の超絶イケ面で年頃の忍がハマっても全くおかしくないし、結局今どきの女子はディズニー関連のモノなら何でも好きって事だな。忍も普通の女子って事か。よし、結論は出た。俺の推理力を舐めるなよ、忍)
長い熟考の末、答えを導き出した二郎は適当に話をつないでいたところで確信を持ちつつも探るように問いかけた。
「確かにお前の言うとおり良い演技するよな。あの相手をシュパッと狙い撃ちする姿とか画になるしな。男の俺でもやっぱりカッコいいと思うぜ」
「そうそう、本当にカッコイイよね。二郎も分かっているじゃない」
(よし、決まりだ。『ロード・オブ・ザ・リング』の時にエルフ役で弓矢を使うオーランド・ブルームで間違いない。この少ないヒントで答えにたどり着くなんて流石俺だ!)
二郎が心の内で一人勝ち誇っていると忍が付け加えようと言った。
「あの銃撃戦のシーンはしびれたよね。でも、それはドラマの最後の話でしょ。確かいかがわしい店の中で保坂さん演じる刑事殺しの犯人と出くわすシーンだよね。確かにあそこは面白いところだけど、映画の方では青島刑事は銃を撃たなかったと思うけど。まぁでも、ドラマも映画もカッコイイよね、織田裕二さん。映画でハマった後に何度もドラマ見たもんね」
「ファ!?あ、あーそうだな、確かにそれはドラマの方だったよな。お前も分かる奴じゃないか。俺も『踊る』の映画とドラマは何度も見たから、ずっと新作を気になっていたんだよ。やっぱり俺たちは気が合うみたいだな、ははははは」
(全然今どきの女子なんかじゃないな、こいつは。確かに『踊るは』最高に面白い作品だけど、イケ面のハリウッド俳優とかには興味ないのかね。本当に男の俺と感性がまるで同じだな)
完璧な推理だと確信していた予想が全く外れていたことに動揺しつつも、勢いで何とかごまかしてながら、忍はやはり忍だとどこか納得して一人楽しそうに浮かれる忍を二郎は見守るのであった。
「そう言えば二郎もあの映画見たかったんだね。カッコイイよね、あの俳優さん。前の作品を見て好きになっちゃってさ」
二郎は忍の言葉を聞いて、ふとある重要な事を失念していることに気がついた。それは忍が何の映画を見たいかと言うことだった。すみれは二郎をけしかけることに躍起になっていたため、肝心の忍の見たい映画について話すことを忘れており、二郎も忍を誘うことに頭を悩ませていたため忍がどの映画を見たいのかを考える余裕がなかった。
しかしながら、一応は見たい映画が同じだから忍を誘ったということにしているため今更それを知らぬ存ぜぬとは言えなかった。なぜなら見たい映画が違うのであれば、忍を誘う理由にはならず、ただただ忍とどうしても仲直りしたがためにデートに誘ったと再びからかわれるハメになると思い至った二郎はそれを何とかごまかそうと言葉を濁しながら答えた。
「いや~、そんなんだよ。あのアクションが格好良かったよな。まぁ俺は前から注目していた人だからそれなりに期待していたけど、前回の映画は特に良かったよな」
(よし、これなら上手く話を合わせられるだろう、早く映画のタイトルか俳優の名前をいってくれれば、なんの映画が見たいか予想できるはずだ)
二郎は暇人である事を利用して、普通の人よりもよくドラマや映画を見る人間だった。そのためある程度のヒントさえあれば忍の見たい映画を当てられるという自信があり、このまま話を合わせて乗り切ろうとした。
「そうなんだよね。あたしは今まであまりあの俳優さんの作品を見たことはなかったけど、前からカッコイイとは思っていたのよ。でも前回の映画の時にドハマりしちゃって、それから色々と作品を見るようになったのよ。だから今回の新作をずっと楽しみにしていたんだ」
「そうかそうか、そりゃちょうど良かったよ」
そんな調子で機嫌良さげな忍と会話を続ける中で、なかなか尻尾を掴ませない忍に二郎はこの年に公開されている映画のラインナップをどうにか記憶からひねり出し推理を行っていた。
(クソー、全然ハッキリしないな。えーっと、今年の注目作と言えば、確か春頃に『マトリックス』の続編があったよな。てことは、キアヌファンなのかこいつは。キアヌ・リーブスかぁ、確かにイケ面と言えばイケ面だけど、あの話を忍が理解できるか。正直理解するには難易度が高い気がするけど、確かにあのポーズは俺も真似したことあるくらいブームにはなったよな。いや、待てよ。確か昨日レベッカがディズニーのアトラクションが題材の映画がどうこう言っていたな。そうだ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』だ。あれの主演はジョニー・デップだよな。でもジョニー・デップって『スリーピーホロウ』とか『シザーハンズ』の主演で良い俳優だけど、イケ面と言うよりも演技派のカメレオン俳優って感じだし、女子高生がハマるか?うーん、あ、そうだ、注目映画と言えば「踊る大捜査線」の第2弾の映画がやるじゃんか。そうか、織田裕二さんか、確かに俺も前の映画は3回も見たし、ドラマはおそらく5回くらいリピートしているし、忍がハマる理由は分かる。だけど、ここまで熱弁するほど女子高生がハマるのか。男の俺ならあの名台詞に憧れて真似したりしたが、青島がイケ面だと言ってトキめく女子高生がいるかな。うーん、わからん。もしかして相手は主演じゃないのか。となると、あ、オーランド・ブルームか!そうだ、確か『ロード・オブ・ザ・リング』の続編が春に公開していたわ。それにエルフ役で出ているオーランド・ブルームが『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出ているってレベッカが話していたな。確かに金髪の超絶イケ面で年頃の忍がハマっても全くおかしくないし、結局今どきの女子はディズニー関連のモノなら何でも好きって事だな。忍も普通の女子って事か。よし、結論は出た。俺の推理力を舐めるなよ、忍)
長い熟考の末、答えを導き出した二郎は適当に話をつないでいたところで確信を持ちつつも探るように問いかけた。
「確かにお前の言うとおり良い演技するよな。あの相手をシュパッと狙い撃ちする姿とか画になるしな。男の俺でもやっぱりカッコいいと思うぜ」
「そうそう、本当にカッコイイよね。二郎も分かっているじゃない」
(よし、決まりだ。『ロード・オブ・ザ・リング』の時にエルフ役で弓矢を使うオーランド・ブルームで間違いない。この少ないヒントで答えにたどり着くなんて流石俺だ!)
二郎が心の内で一人勝ち誇っていると忍が付け加えようと言った。
「あの銃撃戦のシーンはしびれたよね。でも、それはドラマの最後の話でしょ。確かいかがわしい店の中で保坂さん演じる刑事殺しの犯人と出くわすシーンだよね。確かにあそこは面白いところだけど、映画の方では青島刑事は銃を撃たなかったと思うけど。まぁでも、ドラマも映画もカッコイイよね、織田裕二さん。映画でハマった後に何度もドラマ見たもんね」
「ファ!?あ、あーそうだな、確かにそれはドラマの方だったよな。お前も分かる奴じゃないか。俺も『踊る』の映画とドラマは何度も見たから、ずっと新作を気になっていたんだよ。やっぱり俺たちは気が合うみたいだな、ははははは」
(全然今どきの女子なんかじゃないな、こいつは。確かに『踊るは』最高に面白い作品だけど、イケ面のハリウッド俳優とかには興味ないのかね。本当に男の俺と感性がまるで同じだな)
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