青春クロスロード
夏休み その4 花火大会⑯ ~夏草や兵どもの夢の跡~
3人が戻ると大和、尊、巴の三人は気まずそうに無言で座り、まだ何も打ち上がっていない夜空を静かに眺めていた。
「何、このお葬式みたいな空気は。どうかしたのこの子達は」
唯一学年の先輩である凜が重い空気を振り切って問いかけた。
「おう、帰ってきたのか。おかえり、もう花火始まるぜ」
元気の無い声でずっと留守番をしていた大和が声を振り絞るように答えた。
「うん、ただいま。皆これから本番だって言うのに、随分テンション低いじゃん。一体どうしたのさ。そう言えば、尊君は何で忍を置いて先に一人で戻っちゃうのさ、忍が可哀想だよ」
三佳は尊と忍の間であったことなど知らずに、尊に問い詰めた。
「いや、その、ゴメン、ちょっとあってな・・・」
「そうね、ちょっとあって。別行動していたから尊のせいじゃないわ」
尊と忍の明らかに元気の無い声を聞いて三佳はそれ以上何も言うことが出来なかった。
「そういえば馬場さん、サッカー部の工藤はどうしたんだい?」
三佳と二郎の他に唯一剛がこの会場に来ていた事を知る大和が今度は三佳に問いかけた。
「えっと、その、ちょっとあって。先に帰ったみたいなんだ」
今度は三佳が気まずい雰囲気を出して小さな声で答えた。
空気が重たくなるのを感じた凜が今度は巴に話し掛けた。
「そう言えば宮森さん、一君はどこにいるの」
「一ノ瀬君の事なんて知りません。あんな風紀を乱すような男は馬に蹴られて死んじゃえば良いですよ」
巴がすみれとのやり取りを思い出し不機嫌になりながら答えた。
「どうしたのよ、一体」
「ふん、ちょっとありまして。そんなことより凜先輩こそこんなところで何しているんですか。てっきり一緒に花火を見る人でもいるかと思っていましたよ」
「はは、その話しちゃうのね。はー、そうね、皆の言葉を借りるなら、ちょっとあってね。ははは」
凜は巴に痛いところを突かれ、ごまかすように答えた。
「そういえば、大和はもう大丈夫なの、初めに来たときは元気無かったみたいだけど」
忍は大和を心配して気になっていたことを尋ねた。
「おう、まぁちょっとあって。・・・でも、もう大丈夫だ。ありがとう。ほら、3人ともそんなとこ立ってないでこっち座りなよ」
大和は見ているこっちが痛々しく思えるほどぎこちない笑顔で答え、3人をシートに座るように誘導した。
それぞれがお互いの地雷を踏み抜き、さらに重苦しい空気の中、誰一人として青春の花を咲かすことが出来なかった6人は、仲良く肩を寄せ合いながら一瞬ではかなくも散りゆく花火を見上げるのであった。
「何、このお葬式みたいな空気は。どうかしたのこの子達は」
唯一学年の先輩である凜が重い空気を振り切って問いかけた。
「おう、帰ってきたのか。おかえり、もう花火始まるぜ」
元気の無い声でずっと留守番をしていた大和が声を振り絞るように答えた。
「うん、ただいま。皆これから本番だって言うのに、随分テンション低いじゃん。一体どうしたのさ。そう言えば、尊君は何で忍を置いて先に一人で戻っちゃうのさ、忍が可哀想だよ」
三佳は尊と忍の間であったことなど知らずに、尊に問い詰めた。
「いや、その、ゴメン、ちょっとあってな・・・」
「そうね、ちょっとあって。別行動していたから尊のせいじゃないわ」
尊と忍の明らかに元気の無い声を聞いて三佳はそれ以上何も言うことが出来なかった。
「そういえば馬場さん、サッカー部の工藤はどうしたんだい?」
三佳と二郎の他に唯一剛がこの会場に来ていた事を知る大和が今度は三佳に問いかけた。
「えっと、その、ちょっとあって。先に帰ったみたいなんだ」
今度は三佳が気まずい雰囲気を出して小さな声で答えた。
空気が重たくなるのを感じた凜が今度は巴に話し掛けた。
「そう言えば宮森さん、一君はどこにいるの」
「一ノ瀬君の事なんて知りません。あんな風紀を乱すような男は馬に蹴られて死んじゃえば良いですよ」
巴がすみれとのやり取りを思い出し不機嫌になりながら答えた。
「どうしたのよ、一体」
「ふん、ちょっとありまして。そんなことより凜先輩こそこんなところで何しているんですか。てっきり一緒に花火を見る人でもいるかと思っていましたよ」
「はは、その話しちゃうのね。はー、そうね、皆の言葉を借りるなら、ちょっとあってね。ははは」
凜は巴に痛いところを突かれ、ごまかすように答えた。
「そういえば、大和はもう大丈夫なの、初めに来たときは元気無かったみたいだけど」
忍は大和を心配して気になっていたことを尋ねた。
「おう、まぁちょっとあって。・・・でも、もう大丈夫だ。ありがとう。ほら、3人ともそんなとこ立ってないでこっち座りなよ」
大和は見ているこっちが痛々しく思えるほどぎこちない笑顔で答え、3人をシートに座るように誘導した。
それぞれがお互いの地雷を踏み抜き、さらに重苦しい空気の中、誰一人として青春の花を咲かすことが出来なかった6人は、仲良く肩を寄せ合いながら一瞬ではかなくも散りゆく花火を見上げるのであった。
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