じゃあ俺、死霊術《ネクロマンス》で世界の第三勢力になるわ。

万怒 羅豪羅

6章 モンスター・用語図鑑

●6章 モンスター図鑑

この図鑑は、ギネンベルナ王室が編纂した、全国に生息するモンスターの特徴、生態、戦う際の注意事項などを記したものである。これを読めば、読者諸君は危険なモンスターに対する最低限の知識を得る事が出来るだろう。ただし、留意しておいてほしい。ここに記されているのは、あくまでも多種多様なモンスターの一側面に過ぎない。諸君が実際に剣を握り、モンスターと相対する際には、必ずしも本に書かれた知識だけが全てでない事を忘れないで頂ければ幸いだ。

“危険度”について
そのモンスター一体のみに対して、人間が戦いを挑む場合の脅威の指針。

S……生物の頂点に位置する種族。人間が大軍を成したとしても、討伐は極めて困難。ドラゴン種などが該当。

A……非常に凶暴。人間単体では歯が立たず、屈強な戦士たちによる軍隊の形成が必要。オーガ、ゴーレムなどが該当。

B……危険だが、熟達した知識と技量があれば討伐可能。ただし一人では苦戦を強いられるであろう。ライカンスロープ、トロールなどが該当。

C……単体では弱く、一人前の戦士なら十分応戦可能。だがこのランクのモンスターは群れを成すことが多く、個としての弱さを補っているので注意されたし。オーク、ゴブリンなどが該当。

D……極めて脆弱、もしくは危険性のない生物群。

・モンスター詳細

セントウ
薔薇目 蟠桃科 危険度B−
高山にのみ生える桃の一種。
花や果実、葉から幻覚を見せる匂いを発する。匂いを嗅ぎ続けると意識を乗っ取られてしまう。
主に岩石質の高山の山頂付近に生息している。採集までの道のりは険しいが、森林限界線よりも高い位置にぽつんと生えるので、見つけるのは比較的容易である。常に甘い香りを発しており、その匂いで獲物となる動物をおびき寄せる。この匂いを嗅ぎ続けた動物は幻覚に惑わされて、手当たり次第暴れ、自傷する。セントウはその時流れ出る血や、疲れ果て力尽きた獲物の亡骸を養分にすることで、養分に乏しい高所での生息を可能にしているようだ。
果実は万薬の素とされるほど薬効が高い。ただしその種子は劇毒であり、強い呪いの力を持つ。食せば体力を回復し、気力がみなぎるが、やがて衰弱し、必ず最期には失踪を遂げる事になる。その理由は明らかになっていないが、おそらくセントウが何らかの因子で宿主を山へ向かわせ、そこで宿主が死ぬことで体内から種が発芽し、生息域を拡大しているのでは、とする説が最も有力である。

リザードマン
無翼鱗目 人竜科 危険度C+
二足歩行をする人型のトカゲ。
力が強く、鉤爪の一撃は強力。戦闘時は接近せず、弓矢や魔法で遠距離から攻撃すると良い。
後脚が発達し、立って歩行が出来る様に進化した爬虫類だと考えられている。通常のヘビやトカゲと違い、顎よりも前脚を使った攻撃を得意とする。口内には無数の雑菌や寄生虫が棲息しており、これを唾液と一緒に爪に塗りたくる事で、武器として転用している。これらは人体には非常に強い悪影響を及ぼす為、リザードマンとの戦闘で受けた傷は擦り傷であっても、早急に神殿へ行って治療する事が望ましい。

スパルトイ
可動無機物目 竜人科 危険度B−
竜牙兵。竜の牙や骨を触媒とし、地中の鉱物などを原料に召喚されるゴーレムの亜種。
個としては純正ゴーレムに劣るが、スパルトイの最大の利点は製造コストの低さである。触媒さえ確保できれば、土中のほぼあらゆる物質を原料にできるため、量産が非常にしやすい。ゴーレムにない敏捷性も備えており、群になった時の危険性はゴーレムを遥かに凌駕する。これを目当てにした魔術師の間で、竜の骨は高値で取引されているが、国家法により認定量以上の売買は禁止されている。裏取引の現場に遭遇した際は、速かに王国警備兵に通報されたし。

ガーゴイル
可動無機物目 獣型科 危険度B+
動物をモデルにしたゴーレム。
ゴーレムよりは一枚落ちるものの、危険性の高い厄介なモンスター。
ゴーレムが魔法で召喚される兵隊としての側面が強いのに対して、ガーゴイルは拠点を守る門番としての役割を持つ。召喚する魔法に微妙な差異があるのだが、簡単に言うと、ゴーレムが“要石”を核に縛られるのに対し、ガーゴイルは土地に縛られる為である。その分専守に特化したプログラミングがされており、魔術師ギルドの玄関には、それぞれのギルドが工夫を凝らしたガーゴイルが必ず一体は設置されている。またモデルにした動物によっては、一定範囲内での荷運びや移動手段として使う事もできる。使用用途によってその性質を大きく変える魔物であると言えよう。

●6章 用語辞典

四大幻素
エレメンタルとも呼ばれる、火・水・地・風属性の魔力のこと。これら全てを持つ魔術師は宇宙をも創造できるとされるが、未だかつて実在した例はない。

エゴソード
自我魔法剣。エゴバイブルと同様、意思を持ち、魔法を使う事ができる。

ヒーリングパウダー
霊薬。神殿などで作られる非常に高価な粉薬。万病に効き、怪我の回復を促す効果を持つ。

竜木の杖
竜の牙から掘り出された杖。召喚魔法が永続化されており、杖を触媒としてスパルトイを可能な限り呼び出す事ができる。魔術師でなくても使用自体は可能。

ヒーラー
回復術師。主に回復魔法を習得した聖職者や魔術師で構成される集団。

ミスリル
魔銀。淡い青味がかった白銀のマナメタル。凄まじい硬度を持つ一方、ある一定の工程を踏む事で、柔軟な加工が可能になる。数々の魔道具に使用される汎用性に富んだ金属。

勇者セカンド
三十三年戦争時に召喚された、二の国所属の勇者。様々な能力を使い、千の技を持つ勇者と呼ばれた。のちに暴虐の限りを尽くし、歴代最悪の勇者として、サードに討たれた。

勇者サード
三十三年戦争時に召喚された、三の国所属の勇者。ファーストたちに比べてずいぶん弱かったが、セカンドの追撃戦で活躍、相討ちの形でセカンドを倒した。

セカンドミニオン
勇者セカンドによる強姦被害で産まれた子どもたちのこと。力が強い、頭がいいなど、何らかの能力に優れる。二の国の国民からは忌み嫌われている存在。

ファインダーパス
研究家や学者に与えられる、国交手形。所持者は国に認められた資格を持つとみなされ、国境を自由に渡る事ができる。

クレボンストーン
遠くの景色を映す事ができる魔道具。水晶やガラス玉がよく用いられる。

●6章 魔法辞典

・(無属性)

フラッシュチック
黄色い閃光を生み出す。

リミテッドラルバ
小さな盾を作り出す。守れる範囲は狭いが、強度が高い。

シルドクリサリス
魔力の防壁で対象を包む。強度はそこまで高くない。

キュアテイル
傷を治す。

スクレイルストレージ
異次元にアイテムを格納する、または取り出す。魔術師一人につき1アイテムしか登録できない。

ホークボヤンス
遠視魔法。魔術師がある程度認知している、遠くの景色を見ることができる。

・(火属性)

ファイアフライ
小さな蛍光色の火の玉を複数飛ばす魔法。

フレイムパイン
燃え盛る柱を地面から生やす。

フレーミングバルサム
パチパチと爆ぜる火花を散らす。

ジラソーレ
大きな火球を飛ばす。

・(雷属性)

コネクトボルボクス
自身に電流を流し、身体能力を跳ね上げる。

レイライトニング
電撃の槍を放つ。

パグマボルト
強力な落雷を起こす。

ライスライン
地を這う電撃を放つ。

・(風属性)

ヤトロファクルカス
風の力を集めた球を投げつける。

ガストオブスカイラーク
塵を鳥の形に渦巻かせ、ミサイルのように飛ばす。

ヴィントネルケ
風の鎖で相手を拘束する。

ストームスティード
疾風の速さで走る馬を呼び出す。

フロートフラフ
風で物を浮かべ、飛ばす。

ワールウィンドドラグーン
竜巻を起こす。風系最強魔法。

・(地属性)

ダンデライオン
岩石で出来た獅子を呼び出す。

マウルヴルフ
穴を掘る。

キャメルキャメロット
砂の防壁を作る。

・(水属性)

ダッシュバラクーダ
激流を起こす。

・(聖属性)

ピュアダクリア
物体を神聖な力で祝福する。水にかけると聖水になる。

・(冥属性)

ディストーションハンド
右手を霊体化させ、アンデッドを使役する。

ソウルカノン
霊力の塊を飛ばす。

ディストーションハンド・オーバードライブ
広域に霊派を飛ばし、複数のアンデッドを使役する。

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