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現実世界にダンジョン現る! ~アラサーフリーターは元聖女のスケルトンと一緒に成り上がります!~

私は航空券A

刺客

「依頼を失敗した挙句、依頼主の情報まで喋ってしまうとは、
こやつにはプロ意識と言うものが、ないのかのう……」




 とっさに身構えて、声の聞こえた方向へ向く。


 すると、そこには――黒いドレスを着た少女。


 いや、違うな。


 少女と呼ぶには、あまりにも幼すぎる。


 正確に言えば、黒いドレスを着た幼女だ。




 ……ゴトッ。




 首を失った、ケロノアの胴体が地面に倒れる。


 まるで、糸の切れた操り人形のように。


 それを見て、満足そうな笑みを口元に浮かべる幼女。


 そのミスマッチな感じが、何とも言えない不気味さを醸しだしている。


 ここは何か、こちらから言葉を投げかけるべきか。


 などと、思案していると、




「本来であれば、出てくる気はなかったのじゃが。まぁ、仕方ない……」




 そんな言葉を言い終えるかどうか、地面を蹴って俺に目がけて飛んできた。


 文字通り、幼女が飛んできたのだ。


 こっちの世界の幼女は飛んでくるらしい。


 そんな馬鹿な、この個体が特別なのだろう。


 そんなにホイホイと、幼女が飛んでたまるか。


 金属と金属が、激しくぶつかる音が響いた。
しかし、実際にぶつかったのは、戦斧と幼女のグー。


 拳と呼ぶには、あまりにも小さい。なので、グーだ。




「これを止めるとはのう……」




 見た目とはギャップを感じる語り口で、感嘆ともとれる言葉を漏らす。


 確かに彼女が言う通り、このグーは重い。


 今まで見てきた魔物のそれよりも、上ではないだろうか。


 だからといって、決して受けきれない攻撃でもない。
現に、飛んで来るのを見てから、対応してこの通りだ。


 パンッと、何かが爆ぜた音が鳴ったかと思うと、幼女が後ろに飛び退く。




 この隙に、ステータスウィンドウかもん。




名前:アリナリーゼ・バン・オメガ
性別:女
種族:古種
ジョブ: ――
レベル:32
HP:552
MP:495
STR:210
VIT:184
INT:250
DEX:127
AGI:300




 アリナリーゼさん、コンニチワ。


 まだ、俺の方がレベル的なアドバンテージがあるものの。
今までで見た中で、ダントツの高ステータス。


 これはちょっと、油断できないな。




「これなら、どうじゃっ」




 そんな声が聞こえたと思ったら。


 目の前に迫る大きな岩。


 一体、どこからそんな物がと思ったが。
しかし、今は、詳細など気にしてはいられない。


 もし、避けようものなら、後ろにいるクリスティーナ達に直撃してしまう。


 実力的にみて、クリスティーナは大丈夫だろうが。
ローズやクレアさんなどはどうだろう。


 死なないにしても、重症を負うかもしれない。


 となれば、やることは決まっている。叩き割るしかない。


 飛んでくる岩に、全力で『フルスイング』。


 ドガァァアアアン!!


 雷が落ちたかなのような、轟音が響く。


 視界を覆っていた、大きな岩は粉々に砕け散った。


 しかし、それだけでは終わらなかった。


 俺が戦斧を振った軌道上、見えない刃が走るかのように、地面が大きく抉れる。


 それは、幼女……もとい、アリナリーゼがいる方向へ。


 距離にして、10数メートルは離れている。
しかし、その勢いは衰えず、アリナリーゼに直撃した。


 砂埃が巻き上がり、姿をスッポリと覆う。
それも束の間、風に砂は流され、出てきたのは両腕でガードするアリナリーゼ。


 着ていた黒いドレスはボロボロに、肌からは血が流れているのが見えた。


 幼女相手にこれは、さすがに心痛む。
だけど、相手は俺や、クリスティーナ達を殺そうとしているのだ。


 さあ、どうぞ。とはいかないだろ。
ここは一つ、心を鬼にして向かえ打つ所存である。




「ちっ……これも効かぬか」




 そう漏らしたアリナリーゼは、距離を詰め、何度もグーを打ちつけてくる。
俺もそれを、戦斧で何度も防ぐ。


 そして、今回二度目のバックステップ。


 後ろに退いたアリナリーゼと距離が空く。




「そろそろ、退いてくれる気になりましたか?」




「そうじゃのう……今の・・妾では勝てそうにもないわ……」




 どこか、余裕のある語り口。
なにか、強くなる秘策でもあるのだろうか。




「もし、雇われているのであれば、雇い主の倍を支払いますよ?」




 と、適当に言ったが、お金のことはローズが何とかしてくれるだろう。


 何て言ったて、王女様らしいからな。


 それに、大事な証人が死んでしまった以上、彼女が寝返ってくれれば有益な情報が得られるだろうし。


 そんな言葉に、アリナリーゼは怪訝な表情を浮かべる。




「お主の実力なら、有無を言わさずに殺すことも出来ように……」




 なるほど、その発想はなかった。


 何とかしなくてはとは思っていたけど、それは撃退すると意味であって。
さすがに、殺してしまおうなんて考えてもいなかったからだ。




「ふむ、そうじゃな。今回はお主の言葉に甘えて、退くとするかのう……」




「そうしてもらえると助かります」




「くっ、……はっはははっ。面白い奴じゃ、お主の名は何と言うのじゃ?」


「……ヤマダです」




「妾はアリナリーゼじゃ。また会おうぞ、ヤマダよ……」




 そう言った、アリナリーゼの足元から、影が濃い霧のように立ち上った。
最初は一つだったものが、何本にも分かれてアリナリーゼを包む。


 完全に包み込んだかと思うと、ブワッと風が周囲を撫でた。


 そして、影と共にアリナリーゼは、その場から姿を消した。

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