現実世界にダンジョン現る! ~アラサーフリーターは元聖女のスケルトンと一緒に成り上がります!~
迷宮都市と靴
ダンジョンを出て、屋台通りを歩く。
出口付近は何やら騒がしかった。
しかし、警備していた衛兵に、少し変な顔をされたものの、特に何も言われる事もなく、通る事が出来た。
屋台通りは、以前来た時と同様に賑わいを見せている。
そして、前と同じように食欲をそそる香りが、鼻腔をくすぐり続けた。
しかし、今は食欲に負けるわけにはいかない。
今回の食事は、クリスティーナのお祝いも兼ねているので、もっとしっかかりとした店舗でしようと思っている。
幸いにも、『アリス魔法商店』でスライムの魔石を売って得たお金があるから、少々お高い店でも足りないということはないだろう。
まぁ、もし、足りないときはアレだ。
大量に保有している魔石を、いくつか置いていけば何とかなるだろう。
「ご主人様、どこの屋台も良い匂いがしますねっ」
「ああ、どれも美味そうだな。だけど、今回は屋台じゃなくて店に入ろうと思うけど、いいかな?」
「よろしいのですか?」
「スライムの魔石を売ったお金もあるし、大丈夫だよ」
と、思ったけど。
今のクリスティーナは、ジャージにブカブカのスニーカー姿だ。
俺ならそれでも構わないけど、さすがに新調したほうがいいだろう。
ドレスコード以前、女の子相手に、こんな格好させておくのは忍びない。
その事をクリスティーナに伝えると、
「服でしたら、ご主人様から頂いた、これがありますので不要です」
と、言われてしまった。
スケルトンから人間に戻っても、健気なクリスティーナさん。
それでもやはり、サイズの合っていないスニーカーは、靴擦れの原因にもなると、力説をして何とか靴だけは買うことになった。
後ろ髪を引かれながらも、屋台通りを後にして。
迷宮都市の、大通りへ向かう。
あの辺りなら店が並んでいたはずだ、きっと見つかるだろう。
靴屋を探して、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。
勝手がわからずに、大通りを歩いていると、
「ああ、やっぱり、ヤマダさんだ」
お声がかかった。
一体、誰だろうか。
振り返ってみれば、トレイン騒動で途中までご一緒した、商人のニコライさんだ。
「これは、これはニコライさん」
そう返事をすると、ニコライさんは元々浮かべていた笑顔を、さらに破顔させた。
「ご無事でなによりです。あの節は、大変お世話になりました」
「いえ、ニコライさんこそ、ご無事でなによりで」
「しかし、あのトレインを止めてしまうとは……ヤマダさんは一体……?」
何者と言われても、フリーターですけど。
週3勤務で、ごめんなさい。
「何者のもなにも、只の、駆け出し冒険者ですよ」
「駆け出し冒険者ですか……まぁ、詮索はよしましょう。
ところで、何かお探しのようですが、私でよかったら協力させてください。
こう見えても、ここらでは多少、名の知れた商人のつもりです」
そう申し出てくれた、ニコライさんに靴屋の場所を尋ねる。
ニコライさんが教えてくれた靴屋の場所は、大通りにあるようで。
ここからも、そう遠くはない。
お礼を言って、別れようと思っていると、
「もし、お時間が空いていれば夕食をご一緒させて頂きませんか?
あの時、助けてもらったお礼をさせてください」
「いや、お礼を貰うような事はなにも……」
と、言ったものの、ニコライさんの意思は硬く、夕食をご馳走になる事になった。
アレはついでと言うか、成り行きだったので、改めてお礼とか言われると少しむず痒いな。
そして、今はニコライさんから、教えてもらった靴屋の前に来ている。
さっきほどまでの場所から、徒歩で数分とかなり近かった。
店構えも立派で、高級店の雰囲気を放っている。
木製のドアを開くと、カラン、カランと澄んだドアベルの音が響いた。
「いらっしゃいませ」
執事のようなナイスミドルが出迎える。
「あの、ニコライさんの紹介で来たのですが」
「ニコライ様の……!?」
結果から言えば、ニコライさんの名前は絶大だった。
そのおかげで、通常価格の半額で買うことが出来てしまった。
ニコライさんは、多少と言っていたけど、もしかすると、ここいらでは顔なのではないだろうか。
デザインの良い皮製の靴を買って、店を後にする。
クリスティーナは、プレゼントした靴を気に入ったのか、終始、満面の笑みだ。
時折、靴を眺めては「えへへっ」と、嬉しさを漏らしている。
それだけ喜んでもらえれば、買った甲斐があるってものだ。
さて、靴屋の後に来てくれと、ニコライさんは言っていたな。
いよいよ、本格的な異世界料理が、食べれると思うと胸が躍る。
まだ見ぬ、異世界料理へ思いを馳せながら、
待ち合わせ場所である店へ向かう途中だった。
「ようやく見つけたわ、探したのよっ!」
そう、声を掛けられたのは。
出口付近は何やら騒がしかった。
しかし、警備していた衛兵に、少し変な顔をされたものの、特に何も言われる事もなく、通る事が出来た。
屋台通りは、以前来た時と同様に賑わいを見せている。
そして、前と同じように食欲をそそる香りが、鼻腔をくすぐり続けた。
しかし、今は食欲に負けるわけにはいかない。
今回の食事は、クリスティーナのお祝いも兼ねているので、もっとしっかかりとした店舗でしようと思っている。
幸いにも、『アリス魔法商店』でスライムの魔石を売って得たお金があるから、少々お高い店でも足りないということはないだろう。
まぁ、もし、足りないときはアレだ。
大量に保有している魔石を、いくつか置いていけば何とかなるだろう。
「ご主人様、どこの屋台も良い匂いがしますねっ」
「ああ、どれも美味そうだな。だけど、今回は屋台じゃなくて店に入ろうと思うけど、いいかな?」
「よろしいのですか?」
「スライムの魔石を売ったお金もあるし、大丈夫だよ」
と、思ったけど。
今のクリスティーナは、ジャージにブカブカのスニーカー姿だ。
俺ならそれでも構わないけど、さすがに新調したほうがいいだろう。
ドレスコード以前、女の子相手に、こんな格好させておくのは忍びない。
その事をクリスティーナに伝えると、
「服でしたら、ご主人様から頂いた、これがありますので不要です」
と、言われてしまった。
スケルトンから人間に戻っても、健気なクリスティーナさん。
それでもやはり、サイズの合っていないスニーカーは、靴擦れの原因にもなると、力説をして何とか靴だけは買うことになった。
後ろ髪を引かれながらも、屋台通りを後にして。
迷宮都市の、大通りへ向かう。
あの辺りなら店が並んでいたはずだ、きっと見つかるだろう。
靴屋を探して、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。
勝手がわからずに、大通りを歩いていると、
「ああ、やっぱり、ヤマダさんだ」
お声がかかった。
一体、誰だろうか。
振り返ってみれば、トレイン騒動で途中までご一緒した、商人のニコライさんだ。
「これは、これはニコライさん」
そう返事をすると、ニコライさんは元々浮かべていた笑顔を、さらに破顔させた。
「ご無事でなによりです。あの節は、大変お世話になりました」
「いえ、ニコライさんこそ、ご無事でなによりで」
「しかし、あのトレインを止めてしまうとは……ヤマダさんは一体……?」
何者と言われても、フリーターですけど。
週3勤務で、ごめんなさい。
「何者のもなにも、只の、駆け出し冒険者ですよ」
「駆け出し冒険者ですか……まぁ、詮索はよしましょう。
ところで、何かお探しのようですが、私でよかったら協力させてください。
こう見えても、ここらでは多少、名の知れた商人のつもりです」
そう申し出てくれた、ニコライさんに靴屋の場所を尋ねる。
ニコライさんが教えてくれた靴屋の場所は、大通りにあるようで。
ここからも、そう遠くはない。
お礼を言って、別れようと思っていると、
「もし、お時間が空いていれば夕食をご一緒させて頂きませんか?
あの時、助けてもらったお礼をさせてください」
「いや、お礼を貰うような事はなにも……」
と、言ったものの、ニコライさんの意思は硬く、夕食をご馳走になる事になった。
アレはついでと言うか、成り行きだったので、改めてお礼とか言われると少しむず痒いな。
そして、今はニコライさんから、教えてもらった靴屋の前に来ている。
さっきほどまでの場所から、徒歩で数分とかなり近かった。
店構えも立派で、高級店の雰囲気を放っている。
木製のドアを開くと、カラン、カランと澄んだドアベルの音が響いた。
「いらっしゃいませ」
執事のようなナイスミドルが出迎える。
「あの、ニコライさんの紹介で来たのですが」
「ニコライ様の……!?」
結果から言えば、ニコライさんの名前は絶大だった。
そのおかげで、通常価格の半額で買うことが出来てしまった。
ニコライさんは、多少と言っていたけど、もしかすると、ここいらでは顔なのではないだろうか。
デザインの良い皮製の靴を買って、店を後にする。
クリスティーナは、プレゼントした靴を気に入ったのか、終始、満面の笑みだ。
時折、靴を眺めては「えへへっ」と、嬉しさを漏らしている。
それだけ喜んでもらえれば、買った甲斐があるってものだ。
さて、靴屋の後に来てくれと、ニコライさんは言っていたな。
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