現実世界にダンジョン現る! ~アラサーフリーターは元聖女のスケルトンと一緒に成り上がります!~

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冒険者ギルドの反乱4

 野次馬から一転、騒ぎの中心地へ。


 やまだは、ただ、ご飯が食べたかっただけなのに。
それもこれも、全てはローズ……いや、ハゲマッチョがわるい。


 そうだとも、あのハゲマッチョが騒動を起こしていなければ。
今頃、異世界料理に舌鼓を打っていたはずだ。


 そう考えれば、考えるほどに。


 ぎゅるるぅっと、腹の虫が鳴りだす。




「あなたなら、きっと手を貸してくれると信じていたわっ」




 キラキラとした瞳で、見てくれているローズ。


 本当は、野次馬の側にいたかった。
しかし、それを言ったところで何も変るはずもなく。


 結局は、この騒動を治めなくては、ご飯にはありつけないようだ。




「キサマはっ……」




 立ち上がろうとする、黒鷹メンバーの頭にバットをコツッと。


 極力、力を抜いた一撃だ。


 ステータス差を考えるに、死んでしまいかねないからな。


 次に起き上がろうとした男にも、コツッと。


 もう一人には、起きあがる前にコツッと。


 それは、まるでモグラ叩き。


 これで、当分は起きないだろう。
ちゃっちゃっと、ハゲマッチョの所へ行ってしまおう。




「ローズさん、首謀者のところへ向かいましょう」




「そ、そうねっ」












 ギルド会館の扉から中へ入る。
すると、そこには武装した黒鷹と思われる男達が十人ほど。


 カウンターや、テーブルに座りこちらを睨みつける。


 やはり、どう見ても山賊にしか見えない。
これが、異世界冒険者のスタンダードなのだろうか。


 だとしたら、ちょっとヤダ。


 しかし、ローズのパーティーメンバーを見るに違うだろうな。
コイツらがきっと、アバンギャルドなのだろう。




「野郎ども、やっちまえっ!」




 とりあえず、目についたヤツからポコッと打つ。


 倒れたメンバーを見て、他の男達の顔が青くなった。
出鼻を挫かれて、次に続く者がいない。




「くっ……」




「がっああああっ!」




 声をあげて、威嚇してみる。




 あからさまに、ビクリと体を震わせて、後ずさる黒鷹たち。




「がっああああっ!」




 もう一度。


 ビクリと、震わす黒鷹たち。


 ちょっと、クセになりそう。




「ローズさん、二階へ行きましょう」




「い、今のは、何だったのかしらっ?」




「気にしないでください」




「そ、そう?」




 二階にあがると、一階にはあったカウンターやテーブルなどなく。


 とても、こざっぱりとした空間。


 元々、あったであろう応接セットが、片隅に積み上げられていた。


 その中央に、目当てのハゲマッチョ。


 周りには、黒鷹の男達が五人。




「くっ、あがってきやがったか……」




 俺達の姿を見つけ、つぶやくハゲマッチョ。


 すると、先ほどあがってきた階段から複数の足音が聞こえてくる。




「お、お頭っ、侵入者ですっ!」




 一階で、ビビッていた黒鷹の男達だ。




「目の前にいるんだ、わかってるっ! くそっ……」




 と、言うと腰の剣を抜くハゲマッチョ。




「野郎ども、囲えっ! やっちまうぞぉ」




 「おおっ」と、雄叫びをあげる黒鷹達。




「だ、大丈夫かしら?」




 男達に囲まれ、不安そうな声をあげるローズ。




「ご主人様、ここはわたしに任せてください」




 リュックの中から、クリスティーナさんが。




「大丈夫か?」




「はいっ」




 と、言うとリュックの中から、モゾモゾと出てくるクリスティーナ。


 それを見て、黒鷹達がざわざわと騒ぎ始める。


 ムリもない。背負っていたリュックから、スケルトンが出てきたら俺でも驚くと思う。




「今度はなんだ、背嚢にスケルトンを入れてるだとっ……イカレてやがる」




 と、ハゲマッチョ。


 そんな言葉を気にすることもなく、クリスティーナは両手を広げ、


 ブツブツと、詠唱をはじめる。


 それに応じて、輝きだすクリスティーナ。


 なんか、こう神々しい感じ。




「ス、スケルトンが神聖魔法を使うなんて、そんな馬鹿げたことがあってたまるかぁあああああっ」




 ハゲマッチョの叫び声が、響き渡った。







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