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現実世界にダンジョン現る! ~アラサーフリーターは元聖女のスケルトンと一緒に成り上がります!~

私は航空券A

最深部

『始まりの洞窟ダンジョンRE、最深部へようこそ。』




 優しげな女性の声が、真っ白な空間に響く。


 その声が言うところによれば、


 ここが、始まりの洞窟ダンジョンREの最深部らしい。


 中央に置かれた石碑以外、何もない空間。
ここが洞窟ダンジョンであるかも、あやしいくらいだ。


 しかし、不思議と恐怖心はない。
それが攻略を終えたという安心感か、この空間が生みだす雰囲気かはわからないが。




『始まりの洞窟ダンジョンREの、踏破者として、ヤマダタケシ、クリスティーナ・M・ブルーオーシャンを登録します。』




 再度、女性の声が響いたと思ったら、




「きゃああああっ!」




 クリスティーナの叫び声もあがった。




「どうしたっ?」




 慌てて、クリスティーナのいる方へ振り返る。


 すると、どうだ。


 いるはずの、スケルトンが見えない。


 代わりにいたのは、白銀の艶やかな髪を揺らした、まるで女神のように美しい少女だった。


 それも、一糸纏わぬ姿で。


 正直いって、わけがわからない。
もしかして、洞窟ダンジョンのご褒美だったりするのだろうか。


 そんな、嬉しい。




  紅潮した頬、潤んだ瞳、まるで桃の果肉のように瑞々しい唇。


 真近で見ると、その神々しい造詣に息を飲む。


 少女の瑞々しい唇が開く。




「みっ、見ないでください、ご主人様っ」




「ご、ごめんっ」




 反射的に、背を向ける。


 声は間違いなく、クリスティーナだ。




「クリスティーナか?」




 咄嗟に、名前を呼んでしまったけど。
さっきの声も言ってたし、大丈夫だよな。




「はい、クリスティーナです。何故か、わかりませんが呪いが解けたようで……」




 なるほど、これで合点がいく。


 どういう理屈で呪いが解けたか、わからないが。
クリスティーナ本来の姿をとり戻したようだ。


 さっきまではスケルトン。当然、服なんて着ていない。
それが突然、本来の姿になれば……結果は、見ての通りというわけだ。


 しかし、なぜ呪いが解けたのか。


 考えられる理由といえば、この空間くらいだ。
もしかしたら、ここはバフ・デバフを打ち消してしまうような、セーフゾーンなのかもしれないな。




「ぜ、絶対に見ちゃダメですからねっ……」




「わかった、わかった」




 これ以上、見ていたらコッチも色々とやばい。
違う意味で、破壊力が桁違いだ。




『始まりの洞窟ダンジョンRE、攻略おめでとうございます。』




 お、おう。


 クリスティーナの姿に衝撃を受けて、完全に忘れてしまっていた。




『チュートリアルを終了します。報酬を受け取りください。』




 目の前に、柔らかい光を放つ球体があらわれる。
チラリと横目でクリスティーナを伺えば、同じように球体があった。


 球体に触れると、その形を変え始める。


 それは徐々に変形し、やがてバットの姿になった。




『始まりの剣を取得しました。』




 バットなのに剣なのかと、思ったが。
まずは、ステータスを表示させてみることに。 


【始まりの剣】


 持ち主と共に、成長する武器。
その姿は、持ち主の望む姿へと変える。
ステータスに5%アップの補正。




 なるほど、攻略報酬に相応しい武器だ。
武器を育てていく系は、嫌いじゃない。


 ネトゲではハマり過ぎて、サーバーでも数本しかない伝説の一本を作り上げたほどだ。
あのときは、やばかった。おもに、睡眠時間が。


 俺の報酬は武器だったけど、クリスティーナ一体なにを貰ったんだろうな。






 報酬は武器以外にも、経験値が360ポイントついた。
まだレベルアップすることはなかったが、これだけ貰えれば十分だろう。




『スタート地点に戻りますか? はい/いいえ』




 今度は、あの女性の声ではなく、ログに映しだされる。




「クリスティーナ一。俺は洞窟ダンジョンから出ようと思うけど、どうする?」




 背を向けたまま、声をかける。


 ついてくると言うなら、もう乗りかかった船だ。
クリスティーナ、一人くらい面倒をみるものわるくない。




「もちろん、ご主人様についていきますっ!」












 「はい」を選択した後、一瞬の浮遊感に包まれ景色は一転する。


 場所は、スタート地点。


 洞窟ダンジョン入って、すぐの所まで戻っていた。


 振り返れば、クリスティーナの姿はスケルトンに。
やはり、呪いが解けたのは一時的なものだったらしい。




「……スケルトンに戻ってしまいました」




 と、落ち込んだ姿をみせるクリスティーナ。




「一時的にも、呪いが解けたんだ。ダンジョンを攻略していくうちにきっと、解く方法も見つかるさ」




「そ、そうですねっ」




 さて、一度、家に帰って次のダンジョンを見つけるとするか。
きっと、ダンジョンの入り口はまだあるはずだ。




 家に戻るにあたり、一つ問題があった。
スケルトンであるクリスティーナを、そのまま歩かせるわけにはいかない。


 それこそ歩く骸骨などがいれば、大騒ぎになって警察のお世話になってしまう。


 そこで俺は登山用リュックに、クリスティーナを収納することにした。
何かと、役に立つリュックだ。


 すんなりと、リュックに収納されたクリスティーナを担いでダンジョンの外へ。


 太陽の陽が、頬をなでる。


 丸一日くらい、ダンジョンに潜っていたはずなのに、


 太陽の位置は、入った当初と変っていない気がする。


 どういうことだ?


 スマホで確認すると、ダンジョンに潜ってから10分と経っていない。
もしかすると、ダンジョンの中と外では時間の流れが違うのだろうか。






「あれ、先輩。こんなところで、何しているんですか?」

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