気高い蝶 男の欲望にまみれた人妻

ノベルバユーザー533622

第23話、別れの前夜 尼崎の灯り



23、別れの前夜 尼崎の灯り


 

 次の日、武志が家に帰ってきた。いつもは出張からの帰りの時間や日にちは、大抵遅れるのだが今回は少し早めてその日の昼に帰ってきた。
 武志が家にいるから身支度はできない。下着や着替えをカバンに詰めているところを見られたら疑われるかもしれない。
 文子は体1つで東京に行くことを佐田に伝えた。佐田も向こうで買えば良いと簡単に受け流してくれた。
 帰ってきた武志はいつも通り優しい。今日はいつもより大きな声で話す。
「再生エネルギーって聞こえは良いけど、木の屑のゴミ屋さんみたいでさ、背広着る時間なんてほとんど無くて、毎日作業服来て現場だよ」「それでさー、家畜の糞も混ぜて様ってなって実験が始まったら臭くてね」
 会社の事や出張先の起こったこと。飲み屋の話、楽しく郁子笑わせてくれくれた。
「みんなで飯食う居酒屋でババァの女将がいてね、みんな俺を気に入っているって冷やかしてくるんだよ。この前手を握られてさ、冷や汗かいたよ」

「あ、そうだ服見に行きたいなぁ一緒に行こうよ」
 買い物に誘ってくれた。近所のスーパーで洋風を見た。
「慣れないスコップ使って腰痛いのよ」
 笑ってスーパーにあるマッサージ屋に一緒に入った。
「いや〜少し腰が動く様になったな」
「そうだこれこれ見たって言ってたやつだね」
 ちょうど文子の見た映画がやっていたので慌てて予約を取って一緒に見た。
「しっとりとしてラブストーリーだったなァ、たまには良いね大きなスクリーンって感情移入しやすいね」
 映画を見ながら手を繋いだ、身体を解されてゆっくり映画を見て文子の心が緩んでくる。
 ショッピングセンターにも食事するところはあったけど2人は車にのって食事に行った。思い出のレストラン。
 文子は明日の駆け落ちに気持ちがいっぱいで、二人は会話も無く食事をした。
 食事が終わって少し歩いた。
 近くにヨットハーバーがある、そこまで歩いた。武志が先を歩いて防波堤の上に登り戯ける様に歩いている。
 ヨットハーバーは滑車がポールに当たって鐘の音がする。「カーーン、コォーーン」
 初めて来た時、文子は目を丸くして近くに教会があるのって聞くので笑った事がある。

「教会で結婚式やりたいな」って文子が言うのを聞いて、指輪も用意してないのにプロポーズした。
 ずっと一緒に居たくて、ちょっとも待てなくて、今だと感じたら心の中から言葉が出た感じだった。

 あれから何年だ。

 文子に喜んで欲しくて走りすぎた。5年後10年後、子どもも立派に育てたい。文子にもっと贅沢させたい。
 顔を見上げる事の出来ない文子を見た。
 長い髪が海風に揺れる目を窄めて尼崎の工場群の灯した灯りを見ている。


 浮気調査を興信所に頼んだけど、浮気を知らずに佐田の調査を武志がしていた。
 先日の飲酒運転事故から佐田をマークする事を命令されていた。もともと子会社への出向はカモフラージュで、社外でスパイする人間が必要だったって事だ。
 佐田がどんな人物と接触しているかを特定する為だった。
 どうや佐田はウチのマンションの隣人らしいとまで調べたが、文子に手を出しているとは考え無かった。文子が色恋に無頓着なイメージが強かったからだ。
 偶然に佐田の車を追いかけていたら、中から文子と佐田が出てきて、セレブな買い物をして背の高いホテルに腕を組んで入って行ったのを見た。
 心が死ぬってこんな感じか?レベルの高い男との差を感じた時って、こんな感じか、穴の中に突き落とされるのに似た恐怖。大切な物が無くなってしまう。
 結果は文子に意地を張らせる気持ちにさせた。原因はそこにある。一戸建てに引っ越そうそうすればみんな終わる。あれはそういう意味だったのか。悔しくて自分を殺したい。
 相手はプロだ人を垂らし込むにはちゃんと方法とタイミングがある。
 目をつけられたらもう終わる。それほどまでマニュアルは出来ている。

 武志は思った。
 俺はここで文子を殺したいと思っている。
 氷に包んで一生その眠る顔を見ていたい。そうすれば誰にも時間にも今ある文子を無くさなくて済む。
 腕に力が入る、少し離れた所にいる文子に近づく。殺したい、胸が高まって来て飛びかかれる距離に来た。

 文子が振り返って言った。
「風が強いね」
 いつものように肩を抱くように手を摩り、眉毛を下げて甘える様に微笑んでくる。
「愛してる」って言おうと思ったのに。
 良くわかっているよ。君は素敵だと

それからコンビニ行って暖かいコーヒーを買って家に帰った。

 家に入る。リビングに着いてすぐ文子を抱きしめた。もう夏の陽気だ少し汗ばんでいる。大きく息を吸う。

 抱きつたままソファに押し込んでキスをする。最近乗り気じゃない文子は珍しく答えてくれる。柔らかい唇が二人の歯と歯の間で跳ねる。背中に熱いものが込み上げてくるのがわかる。それが切なくて苦しい感じがする。
苦しさをわかって欲しくてきつく抱きしめた。

 文子の深いため息が幸せに感じさせてくれる。そのまま武志は文子のスカートに頭を突っ込んだ。嫌がる文子をからかうのが好きで恋人同士の時はよくやった。あの頃に戻りたい。

 薄いベージュのロングスカート。
下着は水色クロッチの所が染みている。腰に手を回して俺だけの物だと思うと力が入る、嫌がる文子の顔が見たくなった。スカートから顔を出して見つめる。

 またキスをしてベットへ運んだ。

 武志のシンボルが入って来る。ゆっくりとゆっくり武志が入ってくる。

 今ひとつになっている。

 文子の子宮が「優しくして欲しい」と言っている。これは武志に伝わるだろうか?

 武志のシンボルが震えてくれる。佐田と比べてはいけないが太さでは武志の方が太い、いっぱいになる感覚。いつも思っていた。
 文子の中は武志のペニスの休み場所になって欲しい。ここで武志が安心して気持ち良くなれる場所であって欲しい。
 
 どうしてだろう、優しいタッチの方が刺激が数倍強いのは、感動が上がってしまった文子の身体は畝るように反応する。
 それでも武志は優しくキスをする。

「ほっとする」と文子の膣が震える。

 優しく武志が文子の気持ちいい所を探す。
一体感を高めるように強く抱きしめてくれる。

 文子も腰を少し上げて、「ここなんです」と答える。甘いキスが繰り返されて夢中になる。気持ちがいい。もっと奥に入ってきてほしくなる。

 いやらしい液がお尻のほうまで垂れてきているのを感じる。

 もっと入ってきて欲しい、中を押し広げて欲しいから足を抱えるようにした。

 武志は文子の反応を見て以前とは違う反応に驚いていた。この身体全体で畝るように身体を反応させる時の美しい女は、もういい!前はこうだったとは考えないと自分に決めた筈だ。佐田に嫉妬が起こる事をエネルギーとしたこの数週間だった。
 結局文子にエネルギーをもらっていたのかそれに気が付いた気がする。

 文子は快感に良いしれている。シンボルがまっすぐ入ってくれているのを感じる。そこに最も気持ちのよい場所があるので、文子は腰を動かしてそこに導く。
 
 否定されて、心が動いて自分の殻を破いて快感を楽しめる様になったが、その後に物凄い嫌悪感がやって来る。その上書きの為の淫らになる事を被せて被せてやって来た気がする。それは佐田の「飽きる」って感情で終わるんだろう、いつもそう感じてた。
 いまは肯定する愛に包まれて身体が受け入れて反応している気がする。
「気持ちいいの」
 前は言えなかった言葉が言える
「アアンアアンアアン」

 何度か突かれるとあまりにも気持ちがよくて耐えられなくなる。ぎりぎりのところで声を上げてその快楽の波に耐えながら、何とか引き延ばす。

 武志が気持ちいい声を上げる。
「ううう、あああ」
 その声を聞くと文子の快感もさらに高まる。文子の目の前に霧がかかる。霧の中で
花が咲き広がる。
 蕾から大輪の花に咲き広がる。良い匂いがして気分がいい。ゆりかごに乗る様に柔らかく身体が揺れる。また花が咲く青や赤やピンクの花が咲きその奥から金色の光が輝いて。文子を突き刺す。
 文子の身体を突き抜けた時優しい快感が走る。それがずっとずっと続いている。

 突然ありえない爆破が起きた様に逝った。
武志が射精した時だ。
 文子の身体は暗闇に落ちるように眠りにはいって行った。それは怖い夢も無くただ溶けるような安らかな眠りだった。

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