年下御曹司は白衣の花嫁と極夜の息子を今度こそ! 手放さない
Chapter,4_09. 愛は、夜空を彩る極光とともに
「おはようございます、調子はいかがですか?」
「……悪くない」
女性は週に数回、精神科医の診察の後に木瀬のもとへやってくる。お喋りな彼女をはじめのうちは煩わしく感じていたが、いまではその喧しさが心地よい。自分の娘が駆け落ちせずにいたら、こんな風に育っていたかもしれない。けれど木瀬の娘はあの忌まわしい不吉な夜の息子とともに忽然と姿を消してしまった。
……それだけでない、あの家の兄の弟は海堂一の娘光子と結婚していたにもかかわらず香宮の家とも繋がっており、重婚まがいの罪を犯していた。兄が木瀬の娘と駆け落ちしたことで、弟が兄に成り代わって香宮の令嬢と関係を持ちながら、海堂の娘とも結婚生活を送っていたのだ。その弟は自分が死ぬまで隠しきった。あげく、香宮の家に婿入りしながら海堂の家に入り浸っていた男は金を着服していたのだ。その金は香宮の家に流れていた。木瀬と一が激昂したのは言うまでもないことで、結果あの家は香宮の家と一緒に潰された。潰された香宮の家には金遣いの荒い箱入り娘とあの男のあいだに生まれた女の赤ん坊がいたが、あれからどうなったのか木瀬は知らない。
記憶は確実に風化しつつあるが、それでも憎しみだけは昇華しきれない。
カウンセラーは木瀬の言いたいことを理解しているのか、そもそも聞いていないのか、過去についてはなしていると遠い目をする。不思議な女性だった。
「許す必要はありませんよ。誰にだって、許せないことがあるんですから」
まるで自分に向けられたような「許さない」という言葉に、木瀬は震撼する。
木瀬は自分が罪を犯したことを未だ、認識していない。それでも彼女の言葉は、真っ暗な夜に迷い込んだ自分を導くひとすじの灯火のように、枯れかけた感情を取り戻させる。
娘を喪った憎しみだけではない。会社で身を粉にして働いて結果を出して満足していた若い頃のこと、金で買った妻が誰よりも愛しかったこと、会社創業者の子どもやその孫である太陽たちが誇らしいこと……そのなかでたったひとり、夜の名前を持つ異端児がいたことを思い出し……
「儂は……なんということをっ!」
ついに木瀬は、朔を傷つけた愚かな自分と向き合うことになったのだ。
* * *
白衣を脱いだ淑乃ははぁ、とため息をつきながら入院棟をあとにする。
木瀬のカウンセリングは淡々とすすめられていた。精神疾患の諸症状は現時点では落ち着いており、退院させても問題ないと主治医は言っているが、あの家に帰すには不安が残る。彼に反発する一派は解体されたが、木瀬を唆す人物がふたたび現れる可能性はゼロではないからだ。
とはいえ退院後は近郊の老人施設で過ごさせればいいと陽二郎も言っていたから、遠くないうちに朔たちが手配することだろう。淑乃の仕事もこれでひと段落だ。
木瀬に退院の許可が出たので、淑乃もまた病院から診療所だけの勤務へ戻る予定になっている。
そういえば、退院時に朔は木瀬に逢うつもりだと言っていた。自分が愛する女性を紹介して、彼女と結婚することを報告するのだと。
――自分のカウンセリングをしていた女性が、サクくんの結婚相手だって知ったら、どんな顔するんだろう。心臓止まらなければいいけど。
朔に傷を負わせた罪を認めた木瀬の姿を見ても、淑乃の心は穏やかだった。
犯した罪が消えることはない。傷つけられた事実が変わることもない。
それでも、彼が罪を自覚したことはおおきいと、淑乃は思うのだ。
* * *
淑乃があのK&Dの御曹司と入籍したというニュースは地元で一時的に騒がれたものの、三日もしないうちに下火になった。
診療所で香宮先生、と呼ばれていた白衣のカウンセラーはいま、海堂先生と呼ばれている。
「海堂先生、ご結婚おめでとうございます」
「イモリちゃんに言われると鳥肌立つわね。結婚式はこれからなのに」
「いいじゃないですか。ようやく公にすることができたんですから」
いままで灯夜をひとりで育ててきた淑乃のことを知っている井森は感慨深そうに「結婚ですよ結婚!」と受付のテーブルに両肘ついてうんうんと頷いている。井森の嬉々とした様子を見ていた患者さんたちまでもが「おめでとうございます」と淑乃に言い出す始末。篠塚先生と結婚するんじゃないかと思ったという声も一部ではあがっていたが、淑乃の結婚は喜ばしいこととして受け入れられている。
「この状態で結婚に反対できる人間なんていないと思いますよ、なんせお相手が天下の海堂一族ですから。でももとはといえばあのヘタレ御曹司がよしのちゃんを……」
もし朔が淑乃を手放さずに追いかけていたら、事態はもっと早く収まったのではないかと井森は根に持っている。
そもそも妊娠発覚した淑乃が彼に迷惑をかけたくないから姿を消したのだが、どういうわけかそこは追及されていない。
「イモリちゃん。もういいから! あたししあわせだから! ねっ!」
「――よかったよお……」
感極まる同僚の肩を抱きながら、淑乃もまた、泣きそうな顔でうん、と頷く。
そんなやりとりを診療後までつづけていたから、迎えに来た朔と灯夜に誤解されてしまう。
「こら、よしのを泣かせてるのは誰だ?」
「……あ、サクくんとトーヤ」
「あらあら、家族三人仲良しね!」
ふふ、と涙を拭って井森が淑乃を送り出す。
診療所をあとにした淑乃は朔と灯夜に連れられて、大学敷地内の桜並木の下を歩いていく。
朔と淑乃の職場から新しい家まで歩いて十分もかからないが、彼は遠回りして学童の灯夜を迎えに行ってから淑乃のところへ来る。理絵はほんとうに朔が灯夜の父親だったのかとたいそう驚いていたらしい。淑乃の仕事が遅い時は朔が灯夜の迎えに行くようになっていた。
「そういえばパパがね、今夜おうちに国際電話がかかってくるよ、って」
「国際電話?」
「ん。暁おにいちゃんが、結婚したパパとママに見せたいものがあるんだって」
「――アカツキくんが?」
* * *
デスクトップパソコンの大画面にばーん、と暁の顔が映る。
「ようやく入籍したんだって? 遅いよ」
「うるさい。お前が消えてからもいろいろあったんだよ」
「知ってるよぉ、陽二郎叔父さんが教えてくれたから。よしのさん泣かせたらただじゃおかないからね」
「泣かせた張本人に言われたくねぇよ」
「こらこら子どもの前で兄弟喧嘩しないの! と、ところでアカツキくん、あたしたちに見せたいものって何?」
朔と暁がぽんぽん言い合う様子を目をまるくして見ていた灯夜は、え、これ喧嘩だったの? と淑乃の方へ視線を向けている。その姿が面白かったのか、暁がくすくす笑って画面の向こうで手を叩く。
「ごめんごめん、これからカメラを切り替えるから、ちょっとそれ見てくれる?」
「え? ちょ、ちょっとアカツキくん?」
「朔兄、まずはよしのさんとトーヤに見せてあげて」
「ああ。まさかお前が協力してくれるとは思わなかったな」
「ひどいなあ。朔兄のお願いを俺が拒んだことなんてあったっけ?」
「よしのとトーヤの存在を隠していた人間が何言ってんだ……こらっ!」
朔が文句を言っているのを無視して暁は「結婚式には呼んでね!」と笑って手を振りながらWebカメラを切り替えてしまった。プツッ、という音とともに薄暗い浜辺の風景が画面いっぱいに拡がる。
「え……なにこれ」
「向こうのカメラ映像だよ。オーストラリア最南端に位置するブルーニー島。いまは冬なんだ。トーヤ、よく見てごらん。星がたくさん見えるだろ」
「これぜんぶ星? すごいね。だけどこっちはなんだろう? いろんな色が空で泳いでいるみたい」
灯夜が指摘するように、仄暗い浜辺の夜空は不思議な色をしていた。夜の色に溶け込むような森林を思わせる緑に、燃えるような赤、深海を彷彿させる青に、どこか神秘的な紫……星とは別に煌めくひかりのゆらぎをカメラ越しに見た淑乃は、朔の嬉しそうな顔を見て得心する。
「これって、オーロラよね?」
「おーろら?」
「正解。いまの季節、南極はオーロラが見頃を迎えているんだ。オーストラリアでも場所によっては観測することができるから、暁に条件が良さそうな日にカメラをまわしてもらうよう頼んでおいたんだ……よしのと、トーヤに見せたくて」
南極圏のオーロラは北極圏のものと異なり、ひかりの関係で緑や青がかった色のものが多いのだという。太陽風のプラズマが速度を強めた状態で磁力線に沿って降下することで他の原子と反応して発光するのだというオーロラの仕組みを朔に説明されたが、淑乃も灯夜も彼の言葉は耳に入っていない。
「――きれい」
夜空を彩る、吸い込まれるような極光が自然現象だということに驚かされる。
そういえば、朔が描いた極夜の絵のなかにもオーロラは描き込まれていた。
月の裏側を思わせる真っ暗な太陽の昇らない世界で輝いていた、星空に立ち込めるひとすじのひかり。彼にとってオーロラは希望の象徴で、淑乃もまた、その絵に救われたのだ。
幻想的な映像に見入る灯夜を微笑ましく思いながら、朔は淑乃を自分のもとへ抱き寄せる。
「いつか、ほんものを見に行こうな……極夜のなかで、オーロラを」
そしてふたりは息子に隠れて、キスをする。
「……悪くない」
女性は週に数回、精神科医の診察の後に木瀬のもとへやってくる。お喋りな彼女をはじめのうちは煩わしく感じていたが、いまではその喧しさが心地よい。自分の娘が駆け落ちせずにいたら、こんな風に育っていたかもしれない。けれど木瀬の娘はあの忌まわしい不吉な夜の息子とともに忽然と姿を消してしまった。
……それだけでない、あの家の兄の弟は海堂一の娘光子と結婚していたにもかかわらず香宮の家とも繋がっており、重婚まがいの罪を犯していた。兄が木瀬の娘と駆け落ちしたことで、弟が兄に成り代わって香宮の令嬢と関係を持ちながら、海堂の娘とも結婚生活を送っていたのだ。その弟は自分が死ぬまで隠しきった。あげく、香宮の家に婿入りしながら海堂の家に入り浸っていた男は金を着服していたのだ。その金は香宮の家に流れていた。木瀬と一が激昂したのは言うまでもないことで、結果あの家は香宮の家と一緒に潰された。潰された香宮の家には金遣いの荒い箱入り娘とあの男のあいだに生まれた女の赤ん坊がいたが、あれからどうなったのか木瀬は知らない。
記憶は確実に風化しつつあるが、それでも憎しみだけは昇華しきれない。
カウンセラーは木瀬の言いたいことを理解しているのか、そもそも聞いていないのか、過去についてはなしていると遠い目をする。不思議な女性だった。
「許す必要はありませんよ。誰にだって、許せないことがあるんですから」
まるで自分に向けられたような「許さない」という言葉に、木瀬は震撼する。
木瀬は自分が罪を犯したことを未だ、認識していない。それでも彼女の言葉は、真っ暗な夜に迷い込んだ自分を導くひとすじの灯火のように、枯れかけた感情を取り戻させる。
娘を喪った憎しみだけではない。会社で身を粉にして働いて結果を出して満足していた若い頃のこと、金で買った妻が誰よりも愛しかったこと、会社創業者の子どもやその孫である太陽たちが誇らしいこと……そのなかでたったひとり、夜の名前を持つ異端児がいたことを思い出し……
「儂は……なんということをっ!」
ついに木瀬は、朔を傷つけた愚かな自分と向き合うことになったのだ。
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白衣を脱いだ淑乃ははぁ、とため息をつきながら入院棟をあとにする。
木瀬のカウンセリングは淡々とすすめられていた。精神疾患の諸症状は現時点では落ち着いており、退院させても問題ないと主治医は言っているが、あの家に帰すには不安が残る。彼に反発する一派は解体されたが、木瀬を唆す人物がふたたび現れる可能性はゼロではないからだ。
とはいえ退院後は近郊の老人施設で過ごさせればいいと陽二郎も言っていたから、遠くないうちに朔たちが手配することだろう。淑乃の仕事もこれでひと段落だ。
木瀬に退院の許可が出たので、淑乃もまた病院から診療所だけの勤務へ戻る予定になっている。
そういえば、退院時に朔は木瀬に逢うつもりだと言っていた。自分が愛する女性を紹介して、彼女と結婚することを報告するのだと。
――自分のカウンセリングをしていた女性が、サクくんの結婚相手だって知ったら、どんな顔するんだろう。心臓止まらなければいいけど。
朔に傷を負わせた罪を認めた木瀬の姿を見ても、淑乃の心は穏やかだった。
犯した罪が消えることはない。傷つけられた事実が変わることもない。
それでも、彼が罪を自覚したことはおおきいと、淑乃は思うのだ。
* * *
淑乃があのK&Dの御曹司と入籍したというニュースは地元で一時的に騒がれたものの、三日もしないうちに下火になった。
診療所で香宮先生、と呼ばれていた白衣のカウンセラーはいま、海堂先生と呼ばれている。
「海堂先生、ご結婚おめでとうございます」
「イモリちゃんに言われると鳥肌立つわね。結婚式はこれからなのに」
「いいじゃないですか。ようやく公にすることができたんですから」
いままで灯夜をひとりで育ててきた淑乃のことを知っている井森は感慨深そうに「結婚ですよ結婚!」と受付のテーブルに両肘ついてうんうんと頷いている。井森の嬉々とした様子を見ていた患者さんたちまでもが「おめでとうございます」と淑乃に言い出す始末。篠塚先生と結婚するんじゃないかと思ったという声も一部ではあがっていたが、淑乃の結婚は喜ばしいこととして受け入れられている。
「この状態で結婚に反対できる人間なんていないと思いますよ、なんせお相手が天下の海堂一族ですから。でももとはといえばあのヘタレ御曹司がよしのちゃんを……」
もし朔が淑乃を手放さずに追いかけていたら、事態はもっと早く収まったのではないかと井森は根に持っている。
そもそも妊娠発覚した淑乃が彼に迷惑をかけたくないから姿を消したのだが、どういうわけかそこは追及されていない。
「イモリちゃん。もういいから! あたししあわせだから! ねっ!」
「――よかったよお……」
感極まる同僚の肩を抱きながら、淑乃もまた、泣きそうな顔でうん、と頷く。
そんなやりとりを診療後までつづけていたから、迎えに来た朔と灯夜に誤解されてしまう。
「こら、よしのを泣かせてるのは誰だ?」
「……あ、サクくんとトーヤ」
「あらあら、家族三人仲良しね!」
ふふ、と涙を拭って井森が淑乃を送り出す。
診療所をあとにした淑乃は朔と灯夜に連れられて、大学敷地内の桜並木の下を歩いていく。
朔と淑乃の職場から新しい家まで歩いて十分もかからないが、彼は遠回りして学童の灯夜を迎えに行ってから淑乃のところへ来る。理絵はほんとうに朔が灯夜の父親だったのかとたいそう驚いていたらしい。淑乃の仕事が遅い時は朔が灯夜の迎えに行くようになっていた。
「そういえばパパがね、今夜おうちに国際電話がかかってくるよ、って」
「国際電話?」
「ん。暁おにいちゃんが、結婚したパパとママに見せたいものがあるんだって」
「――アカツキくんが?」
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デスクトップパソコンの大画面にばーん、と暁の顔が映る。
「ようやく入籍したんだって? 遅いよ」
「うるさい。お前が消えてからもいろいろあったんだよ」
「知ってるよぉ、陽二郎叔父さんが教えてくれたから。よしのさん泣かせたらただじゃおかないからね」
「泣かせた張本人に言われたくねぇよ」
「こらこら子どもの前で兄弟喧嘩しないの! と、ところでアカツキくん、あたしたちに見せたいものって何?」
朔と暁がぽんぽん言い合う様子を目をまるくして見ていた灯夜は、え、これ喧嘩だったの? と淑乃の方へ視線を向けている。その姿が面白かったのか、暁がくすくす笑って画面の向こうで手を叩く。
「ごめんごめん、これからカメラを切り替えるから、ちょっとそれ見てくれる?」
「え? ちょ、ちょっとアカツキくん?」
「朔兄、まずはよしのさんとトーヤに見せてあげて」
「ああ。まさかお前が協力してくれるとは思わなかったな」
「ひどいなあ。朔兄のお願いを俺が拒んだことなんてあったっけ?」
「よしのとトーヤの存在を隠していた人間が何言ってんだ……こらっ!」
朔が文句を言っているのを無視して暁は「結婚式には呼んでね!」と笑って手を振りながらWebカメラを切り替えてしまった。プツッ、という音とともに薄暗い浜辺の風景が画面いっぱいに拡がる。
「え……なにこれ」
「向こうのカメラ映像だよ。オーストラリア最南端に位置するブルーニー島。いまは冬なんだ。トーヤ、よく見てごらん。星がたくさん見えるだろ」
「これぜんぶ星? すごいね。だけどこっちはなんだろう? いろんな色が空で泳いでいるみたい」
灯夜が指摘するように、仄暗い浜辺の夜空は不思議な色をしていた。夜の色に溶け込むような森林を思わせる緑に、燃えるような赤、深海を彷彿させる青に、どこか神秘的な紫……星とは別に煌めくひかりのゆらぎをカメラ越しに見た淑乃は、朔の嬉しそうな顔を見て得心する。
「これって、オーロラよね?」
「おーろら?」
「正解。いまの季節、南極はオーロラが見頃を迎えているんだ。オーストラリアでも場所によっては観測することができるから、暁に条件が良さそうな日にカメラをまわしてもらうよう頼んでおいたんだ……よしのと、トーヤに見せたくて」
南極圏のオーロラは北極圏のものと異なり、ひかりの関係で緑や青がかった色のものが多いのだという。太陽風のプラズマが速度を強めた状態で磁力線に沿って降下することで他の原子と反応して発光するのだというオーロラの仕組みを朔に説明されたが、淑乃も灯夜も彼の言葉は耳に入っていない。
「――きれい」
夜空を彩る、吸い込まれるような極光が自然現象だということに驚かされる。
そういえば、朔が描いた極夜の絵のなかにもオーロラは描き込まれていた。
月の裏側を思わせる真っ暗な太陽の昇らない世界で輝いていた、星空に立ち込めるひとすじのひかり。彼にとってオーロラは希望の象徴で、淑乃もまた、その絵に救われたのだ。
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