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年下御曹司は白衣の花嫁と極夜の息子を今度こそ! 手放さない

ささゆき細雪

Chapter,3_11. 極夜に酔う極光の一等星

 縁側には竹製のラグが敷かれており、裸足で歩くとひんやりして気持ちいい。朔は寝室から持ち出した座布団を並べて淑乃を座らせる。露店風呂がある方向からは白い湯気がほわほわと漂っていて、ほんのり薬っぽい香りがした。

「相変わらず、お酒は強いの?」
「よしのに比べればね」
「ひどいなあ。あたしはべろんべろんに泥酔したりなんか……してましたね」

 冷酒を取り出して盃に注ぐ朔を見てふふ、と浴衣姿の淑乃が微笑む。ちらりと見える胸の谷間に、朔は思わず顔を背けてぶっきらぼうに呟く。

「よしのが俺に声かけてきたときだって、桜の木の下でお酒飲んでたじゃないか……」
「あたしはサクくんを誘惑したかったんですー」
「ほかの男にも声かけられてなかった?」
「ないない。在校生はあたしのこと白衣着た変わり者だって認知してたから。サクくんだけだよ本気で心配してくれたの」
「俺を出し抜くための演技だったくせに」
「そのハニートラップに引っかかって抜け出せなくなったのはどこのどなた?」
「……悪いか」

 盃を手渡され、淑乃は両手で受け取る。なんだか神聖な儀式みたいだ。
 朔は淑乃がくいっとお酒を飲んで瞳を細めるのを眺めながら、盃に口をつける。思っていたよりも辛口の、すっきりした後味。

「この休みが終わったら、報告に行くんだよね」
「ああ。婚姻届の準備もしないといけないな」
「だけど反対されたら……?」
「父親が真っ向から反対することはないさ。学生時代の恋人とよりを戻したとだけ言えばすべてうまくいく。トーヤのことは怒られるだろうけど」
「怒られるのはあたしの方だっ……」

 カタン。
 盃を盆の上へ置いた朔が、淑乃の方へ顔を向ける。
 何も言わずに首を振り、彼女が手にしていた盃を奪い取って口に含んだ朔は、そのまま。

「――ンッ……」
「いまはそんなことより…………俺に酔え、よしの」

 口移しで冷酒を与えられて、淑乃の身体が疼きだす。
 そのままやさしく床に押し倒された淑乃は、飲み干せなかった冷酒が乱れた浴衣の胸元に垂れていくのに気づかないまま、彼の腕に囚われる――……

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