夢逃人(ドリーマー)

夕暮G太郎

第30章 涙 と 血

身体はウサギ大臣の着ぐるみのままのジロウの腕には漁師道具の『銛』(もり)が出現した。


ジロウ「おい!!!!お前!!!よくも俺の孫に手を出してくれたな!!!」

高橋「記憶体ゴーストまでもが我に歯向かうと言うのか、、、不愉快じゃ、、全くもって不愉快じゃあぁぁぁ!!!!!」


高橋の背後の川が溢れ出す。

マコトの足元まで川が流れて来た。


気を失って倒れているスミレとキョウジにも川の水が到達する。

ジロウ「マコト!友達を助けろ!そして目を覚まして現実リアルに戻れ!」


マコト「じいちゃんはどうするんだよ?」


ジロウ「俺はアイツをあの世パラダイスに追い返す!!」

ジロウは右手の『銛』を握りしめた。

左手の『血界石』が輝きだすと徐々にジロウの左手が透明になっていく。


マコト「じいちゃん!!左手が消えて来てる!!」

ジロウ「マコト!!時間がない!!早く行け!!」


マコト「そんな、、、、!!」

ジロウ「早く!!!!」




マコト「、、、くぅ、、、、。」



マコトはスミレとキョウジの元に走り出す。

それと同時にジロウは高橋に向かって走り出した。



ジロウ「お前も道連れだぁぁぁ〜〜!!!」

ジロウは銛を振りかざす。

高橋の衝撃波がジロウを襲う。



高橋「所詮は記憶体ゴースト、、、、実態無き哀れな存在よ、、、。」

だがジロウは踏みとどまる。


高橋「ん?」


ジロウの左腕が消えてきた。『血界石』を落としそうになるとジロウは石を自らの口の中に入れ、そのまま一気に飲み込んだ。

高橋「なんと無茶を?」

ジロウ「ははは、、、これで俺自体がお前にとって爆弾みたいなものだろ?」

ジロウは高橋めがけて銛を投げつけた。


高橋の面に銛が突き刺さる。


高橋「ぷぎゃあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあうあはあぁじゃうあぁ!!!!!」




ジロウは高橋に突進すると、抱きついてそのまま川の方へと押し出す。


高橋「やめろぉぉぉこのぉぉこざかしぃぃぃじゃまするなぁぁぁ〜〜〜やめろぉぉはなせぇぇぇぇ〜〜〜!!!!!!」


ジロウと高橋が薄くなって消えていく。


高橋「くそぉぉぉぉ人間共ぉぉぉお!!!必ずぅぅまた来るからなぁぁぁ!!!」


マコトはスミレを背中に抱えてキョウジのもとに駆け寄る。キョウジの腕を自分の肩にかける。


マコトはジロウの方を振り向く。


マコト「じいちゃん!!!!!!!!!!!」



ジロウもマコトに目をやると叫んだ。




ジロウ「マコト!!!!!!!いつまでも笑っていろよっ!!!!元気でなっ!!!」



そう言うとジロウは笑顔を見せた。目からは大粒の涙が流れていた。



マコト「じいちゃぁぁぁん!!!!!じいちゃん、、、。」




川の中でジロウと高橋が消えていった。














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