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本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫

料理は必須スキルのようです。




 戻ってきたエミリア。
 彼女と目が合うが、エミリアは空よりも澄んだ青い瞳を大きく見開き――、首を傾げた。

「あの……怪我は……」
「何とか治療できた。エミリアが、俺の命を救ってくれたからだ」
「そうなのですか……。えっと……貴方は――」

 途中まで、エミリアが言いかけたところで、俺はエミリアに自己紹介していない事に気がつく。
 それと同時に、同じ世界から転移してきた勇者組に此方を知られないようにとフルネームを教える事を避けることにした。

「カズマだ」
「カズマさんですか?」
「ああ。一応、回復の魔法が使える」
「そうなのですか。人は、強い魔法が使える人が居ると聞いたことがありますので、腕が治って良かったですね」

 花が咲いたように、無邪気な笑顔を向けてくるエミリア。
 そこに、損得は一切見えないように感じる。

 ああ、俺は最低だな……。
 命の恩人に対して、損得で笑顔を向けてきている可能性もあると考えるとは。

「ああ」
「それでは、ご飯にしますね」

 エミリアは手慣れた様子で、ウサギを捌くと料理していく。
 木の枝に刺したウサギ肉の焼ける匂いが当たりに漂う。

「エミリアは、料理が得意なんだな」
「はい。お母様に、良く教わっていました。子供や夫となる人には料理を用意するのが女の嗜みですから」
「なるほど……」
「ただ、狩猟に出かけた夫などが何も取って来ない時は、困りますので木の実などでパンを作ったりしていました」
「そうか。エミリアは働き者なんだな」
「そんなことないです。全部、お母様から教わったことですから」

 エミリアは、話をしながら、大きな石の上で木の実をすり潰して、木の実の粉で生地を作り、薪で焼いてパンを作っていく。
 しばらくすると出されたのは、ウサギの肉を焼いたモノと木の実のパン。
 両方とも、調味料は使っていなかったが、おいしい。

「あの……、お口に合いましたか?」
「ああ、おいしかった」

 一息ついたところで、俺はエミリアに聞きたいことがあった。

「なあ、エミリア」
「何でしょうか?」
「答えづらいことなら答えなくてもいい。どうして、町の連中に追われていたんだ?」
「…………私が仲間に売られたという話はしましたよね?」

 エミリアの言葉に俺は頷く。
 恐らく、お互い、仲間に裏切られたから――、人生のどん底にいるから、お互いに素直に話せているのかも知れない。
 下手に遜色ぶる必要も、取り繕うこともないのだから。

「実は、故郷を人間の国の兵士に襲われたのです。私達は、何もしていなかったのに……。それで、村の巫女をしていたお母様を取引材料に人間に手を引かせる事を、村の長が決めたのです」
「つまり、人身御供というところか」
「はい。でも、お母様を迎えに行った人は、すでに、お母様は襲ってきた兵士に殺されていたので、それで娘である私を――ううっ……」
「代わりに差し出したってことか」

 辛い思い出を、思い起こさせてしまった。
 エミリアは、声を出さずに小さな肩を震わせていたが、それだけで分かってしまう。

 ――泣いているということくらい。

「エミリアは、どうしたい?」
「――え?」
「村を襲ってきた連中に復讐したいか? それとも、自分を売り飛ばした連中に復讐したいか?」

 俺の問いかけにエミリアは頭を左右に振る。

「仕方ないことだと思います。人間は強いですから……」

 
 

 

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