婚約破棄され国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。
異世界なのに畳のある宿。
室内に入ると、まず目に入ったのは靴箱と土間。
異世界では基本的に靴のまま室内を移動することが当たり前で日本みたく靴を脱いで寛ぐような習慣はない。
私は、日本で暮らしていた時と同じように靴を脱ぎ、裸足で室内へと上がる。
短い廊下を歩き、ドアを開けると室内の広さは10畳ほど。
ベッドがあり、クローゼットがあり、小さいながらも2畳ほどのバルコニーまで備え付けられている。
さらに、私を驚愕させたのは、室内には畳が敷かれていたこと。
日本でも、最近ではフローリングが主流となっているけど、私は基本的に畳が大好き。
さらに言えば転生してから初めて畳を見た。
「これって畳よね?」
祖父や祖母の家でしか見た事はないけれど、明らかに、それは畳に相違ない。
郷愁を覚えながら、座り畳を触る。
日本の畳職人ほど、キメ細やかな作りではないけれど、それでも十分すぎるほど。
「これだけで、宿の滞在価格は取れるわよね」
思わず、一つ呟いてしまう。
それほど、素晴らしいもの。
――トントン
「はい」
感激していると、扉を叩く音が。
扉を開けると、そこにはアネットさんと、ユーリエさんが立っていた。
「どうかしましたか?」
食事は終えたし、あとは体を拭いて寝るだけなのに? と、首を傾げる私。
「エミはん。じつは、預かってもろとった荷物いいかな?」
「私のも!」
「あ……」
二人の荷物をアイテムボックスに入れたまま出すのをすっかり忘れていたことに気がついた私は廊下で荷物をアイテムボックスから取り出す。
二人は、それぞれ自分の荷物を手に持ち階段を降りていく。
「おおきにー」
「すまない。エミ」
「いえ。気にしないでください」
別れの挨拶をして私は自室へと戻り、バルコニーに通じるガラス戸を開ける。
まるで日本の旅館にいるような素晴らしい部屋。
紹介してくれたユーリエさんには感謝しかないです。
それと、あまりにも異世界から掛け離れているのでは? と、思いつつ、難しいことは別にいいかな? と、自分を納得させたあと、体を拭いて寝間着に着替えてからベッドに入る。
ベッドも良い感じに体を抱きとめてくれる。
布団の品質は、王宮で暮らしていた時に寝ていたベッドと大差ない。
「すごく当たりの旅館ですね。とりあえず、しばらくは、ここで逗留してもいいかも知れないですね」
私は旅の疲れから、一気に睡魔が襲ってくるのを感じつつも、その睡魔に抗うことなく眠りについた。
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