婚約破棄され国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。
夕飯はドラゴンの焼肉です。
「エミはん、鋼鉄製の矢を何本か作ったってくれへん?」
「別にいいですけど、重いですよ? 一本なら、まだしも複数本を持って移動は厳しいかと……」
「せやったら、持てるように体を鍛えたら?」
「行けると思いますけど……本当にいいのですか? 体を鍛えて!」
私の言葉に、ユーリエさんが体をガクガクと震わせ、顔を青くする。
「う、うち……おかしいわ。か、体が……」
どうやら、記憶の奥底に色々と封じ込めても体は覚えているみたいですね。
「無理はしたらいけないと思いますので、また次回にしましょう」
「せ、せやな……」
「とりあえず矢は軽めのを作っておきますね」
鋼鉄製の矢は威力があるけど、重量があるため、カーボン素材を利用した矢を作ることにする。
地中内の鉱物を流用し、矢を100本近く生成。
「これなら威力は鋼鉄製の矢よりは劣りますが、重さは軽いですし木製の矢よりは丈夫ですので、これを使ってください」
「これって……めっちゃ軽い!?」
「それなら、重さとして移動を阻害しないですよね? ただ、量が量ですので持ち運ぶ際には考えてくださいね」
「おおきに、エミはん」
二人して、また丸太に座りドラゴンが解体されていく様子を見る。
「なあエミはん」
「何ですか?」
「エミはんって、ほんまは何もんなん?」
「村から家出をしてきた魔術師見習いです」
「……ほうか」
本当のことを言う訳にもいかない。
「なら、もうええわ。誰にだって言いたないことはあるさかいね」
私は頷きながら時折周囲を索敵の魔法で調べて脅威が近づいていないかを確認し続けておく。
それから、数時間後にドラゴンの解体は終わった。
「エミ。アイテムボックスの中に、それぞれ区分けして入れておくことはできるか?」
「できますけど、とりあえず商人さんの名前を書いた紙を貼っておいてくださいね。アイテムボックスの中に名前分けして入れておくことはできないので」
「ああ、分かった」
スパークさんの指示で、次々とドラゴンの部位に貼られていく商人の名前が書かれた羊皮紙。
そして貼られた側から、私はドラゴンの部位をアイテムボックスの中へと入れていく。
30分ほどで、アイテムボックスに入れ終わったあとは、残っているのは肉の部分だけ。
「あの、この肉は?」
私はスパークさんへ話しかける。
「それは、今日の夜食だな。ドラゴンの肉はワイバーンと違って美味だからな。エミも食べるといい」
「そうなのですか……」
ドラゴンの肉って、始めて食べますけど、少し気になります。
ちなみに料理は、ドラゴンの肉に岩塩を振って焼くだけのシンプルな物。
でも、A5の牛肉みたいな味でとても美味しいかった。
「婚約破棄され国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。
-
11
-
-
王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。
-
3
-
-
地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが
-
15
-
-
婚約破棄ありがとうございます王太子殿下、でも、隣にいるのは女装した私の弟ですよ。
-
12
-
-
俺の可愛い妹を妊娠させておいて婚約破棄するような王太子は殺す。
-
13
-
-
素っ頓狂な友人令嬢のせいで、せっかくの『婚約破棄イベント』が台無しです! ーモブだった筈の私だけど、仕方がないのでイベント参加するしかないー
-
7
-
-
王太子に求婚された公爵令嬢は、嫉妬した義姉の手先に襲われ顔を焼かれる
-
17
-
-
異母妹に婚約者を奪われ、義母に帝国方伯家に売られましたが、若き方伯閣下に溺愛されました。しかも帝国守護神の聖女にまで選ばれました。
-
19
-
-
公爵令嬢が婚約破棄され、弟の天才魔導師が激怒した。
-
9
-
-
誰よりも優しい御姉様が虐めで壊れました、みなさまには生き地獄を見て頂きましょう。
-
6
-
-
霊能者、異世界を征く!~奴隷からの出発、魂の能力継いで下剋上。
-
3
-
-
竜王暗殺 ~王国を第一王子と共に追放された少女騎士は最強の竜王として目覚めるまで殿下を溺愛します~
-
5
-
-
水魔法しか使えませんっ!〜自称ポンコツ魔法使いの、絶対に注目されない生活〜
-
23
-
-
雷霆の英雄と聖王子 〜謀略により追放された口下手な雷は、家族思いで不器用な王子を影から助ける〜
-
6
-
-
じゃじゃ馬王妃! ~フランス王妃が悪徳貴族を成敗する!~
-
4
-
-
平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。
-
3
-
-
魔王様は美味しいご飯を食べて暮らしたい
-
2
-
-
妹に婚約者を奪われ家から追放されましたが、王子様が迎えに来てくれました。
-
4
-
-
猫、時々姫君
-
6
-
-
究極の魔女はダンジョン系セラピスト
-
2
-
コメント