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婚約破棄され国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。

なつめ猫

合流しました。




 赤竜インフェルノを討伐したあと、すぐにサイさんの指示で私達の幌馬車は街道沿いに停まる。
 ちなみに後続を走っていた幌馬車などの姿が視界のどこにもない。

「どうするんだ?」
 
 アネットさんが、サイさんに話しかけていた。

「そうですね。しばらくは待機しましょう。私達が襲われたあとにドラゴンが去ったあと、本来、運ぶはずの荷物を回収しに来るはずですし」
「結構、シビアですね」
「少しでも損失を取り戻さないといけないのは、どこの商隊でも同じですから。それにスパークさんはうちの商隊を纏めているだけでなく、私の上役ですから」
「そうなのか。他のは?」
「他の幌馬車の商人は別の店の者ですね」

 アネットさんとサイさんの話を聞きながら、だからサイさんは馬車を停めて合流を待つのねと私は納得する。
 無事か無事で無いにも関わらず、まずは合流と売りモノの確保により損失の軽減。
 この世界は、世知辛いです。

 1時間ほどして、バラバラに散って逃げた幌馬車が、次々とその姿を見せていく。
結局、街道を通るのが一番、幌馬車や馬にも負担が掛からないので当然と言えば当然なのかも知れない。
そして、最後に戻ってきたのは……。

「サイ! 無事だったのか?」

 私達の幌馬車が無事だった事に目を見張ったスパークさんは、すぐに幌馬車から降りて、私達の方へと駆け寄ってきた。

「スパークさんも無事で安心しました」
「いや、今回は相手が悪すぎた。下手すれば商隊が全滅していることもありえた。だが……、どうやら赤竜インフェルノは、空腹ではなかったようだ。たすかったな」

 本当に心配していたようで小さく溜息をつきながら、スパークさんはサイさんの肩に手を置く。

「いえ。それが……」
「何か問題でもあったのか? 積み荷を焼かれたとか……?」
「じつは……」

 言い難そうに、私の方へと視線を向けてくるサイさん。
 もちろん周囲で、どうして私達が無事だったのか? と、不思議に思っていた商隊に参加し合流済みの商人さん達も耳を傾けてきています。

「インフェルノですが、討伐しました」
「……は?」

サイさんの報告に、一瞬――、間を開けて呆けて首を傾げるスパークさん。
しばらくして、その表情は真剣なモノへと変っていく。

「サイ、嘘は商人として一番ついてはいけない事だと教えたはずだが? 国軍を総動員したとしても討伐できるかどうか分からない。討伐しても半数が命を失う可能性があるドラゴンの中でも最強のドラゴンであるインフェルノを冒険者3人で倒せる訳がないだろうに」
「スパークさん。じつは倒したのは……、そこの魔術師です」
「何を言っている? その魔術師は、今日、冒険者ギルドに登録したばかりの見習い魔術師だぞ? もう少し嘘でもマシな嘘を――」
「本当です。スパークさん」
「なら証拠はあるのか!? 倒したという証拠は!」

 二人の白熱していく会話。
 それを体育座りしながら聞いている私。

「エミ! 証拠を出してくれないか!」

 とうとう、私には話しが振られてきました。
 面倒です。

「はーい」

 ただ冒険者であり雇用主の意見には逆らえないので、アイテムボックスから20メートル近いドラゴンの死骸を取り出し地面の上に落す。

「出しました」

 いきなり空中から出現した巨大なドラゴンの死体。
 それを見て、サイさんやアネットさん、ユーリエさんや私達と体験を共にした御者さん以外は、全員――、空気が凍り付いたかのように動かない。

「スパークさん。どうですか?」
「あ、ああ……ええええええ!? ど、ど、ど、どういうことだあ!?」

 それなりに冷静沈着に見えたスパークさんだけど、さすがにドラゴンを間近で見たショックもあるのか、大きく叫ぶとサイさんに詰め寄っていた。





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