婚約破棄され国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。
困った時のアイテムボックスです。
「おおっ!? ドラゴンを一撃で!?」
サイさんが大きく目を見開く。
「エミ! すごいな! よくやった!」
「うちは信じていたから」
アネットさんやユーリエさんも興奮した面持ちではしゃいでいる。
どうやら、ドラゴンを倒しても何の問題もないみたい。
「えへへ。誰も怪我をしなくて良かったです。これで何の問題もなく――」
「お、おい……」
私が、「何とかなりましたね」と、言いかけたところで、サイさんが震えた声で空を指差して、叫び始めた。
「ドラゴンが!?」
「インフェルノが!?」
「――え?」
安心したところで、突然の様子に私もサイさんが指差した方向へと視線を向ける。
すると、爆散した頭を周囲に撒き散らしながら、落下を始めるドラゴンの姿が!
ドラゴンは、私達に向かってきていた事もあり、落下と供に、その大質量が、私達の荷馬車に向けて突っ込んでくる。
「――あ……」
思わず、私は呟いてしまう。
「もうだめだあああああ」
「どっちにしても死ぬのか……」
「うちは、まだ、こんなところではー」
「えい、アイテムボックス!」
飛んできた生命反応を失ったドラゴンをアイテムボックスの中に仕舞う。
「――え?」
「は?」
「なんやて?」
「どういうことでだ?」
サイさん、アネットさん、ユーリエさん、御者さんが、全員、私の方へと視線を向けてくる。
「えっと、アイテムボックスの中に仕舞いました。死んでいればモノと変わらないので……」
「「「「……」」」」
全員が無言。
何か、私、やってしまいましたか?
しばらくしてから、荷馬車が停車する。
「うおおおおお! 赤竜を討伐したぞおおおおお!」
サイさんが叫ぶ。
それだけではなく――。
「エミ! お前、どうなっているんだ!?」
アネットさんも興奮した面持ちで、荷馬車の上に立っていた私に詰め寄り抱きしめてくる。
「うちは……生きている……」
呆然と呟くユーリエさん。
「すごい。こんな戦いを見た事がない……」
御者さんも、私の方を、目を見開き見て来ている。
なんというか、すごく居心地が悪い。
「あれです。火事場の馬鹿力というか、偶然に偶然が重なって倒す事ができました!」
何だか大ごとになりそうなので、とりあえずお茶を濁そうと笑顔を作る。
「「「「そんな訳があるかあああああ」」」」
そんな私の思いは、その場にいた全員に否定されてしまいました。
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