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婚約破棄され国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。

なつめ猫

婚約破棄。




「アマーリエ・フォン・オイレンブルグ公爵令嬢。貴女との婚約を破棄する!」

 王宮主催の夜会という事もあり、大勢の貴族が集まっている中、突然の言動に、会場中が静まり返ります。
 それもそのはずで、今日の夜会は、セルトラ王家の第一王位継承権を持つクルト王太子殿下の学院卒業の祝いの席であったから。
 だからこそ、周囲の貴族の方々は突然のクルト王太子殿下の言葉に?マークを持たれて固まってしまっていた。

「殿下、少し酔われましたか?」
「カサンドラか。言葉が過ぎるぞ!」

 どう受け取っていいのか、貴族の御歴々が迷っている中で、近衛騎士団団長でもある私の姉のカサンドラ姉様が、クルト様のフォローを買って出てくれたけど、お姉さまの忠告を一蹴したクルト様は、貴族の御令嬢が集まっている一角へと視線を向けると手招きをされた。
 その貴族の御令嬢の中から、一人の女性が小走りでクルト王太子殿下に近寄りそう。
 明らかに婚約者である私が目の前にいるような態度ではなく――。

「クルト様。そちらの御令嬢は……」
「アマーリエ様。わたくし、レーナ・フォン・ビスマルクと申しますわ」
「そういうことだ。レーナが、新しい俺の婚約者という事になる」

 その発言に周囲の貴族の方々は、疑問符を浮かべた表情を見せていた。
 中には、ビスマルクと言えば男爵なのでは? と、いう呟く方も……。
 その言葉に、私は男爵家? と、驚いてしまう。
 何故なら、本来は貴族同士の婚約は当主が決めるものだし、何より王家の婚約に関しては国王陛下の裁量で、国王陛下の許可が必要になるから。
 そして、貴族同士の家柄も重要視されるから。
 何より少なくとも、クルト様には決める権限はないはず……。

「それでは、クルト様は、私との婚約を破棄されて、レーナ様と婚約をされるという事で宜しいのでしょうか?」
「婚約ではない! 本日の卒業で、俺は正式に王太子となる。そして、このセルトラでは、女性は15歳から結婚する事が可能である。つまり、レーナが次代の王妃として――」

 クルト王太子殿下の王妃にするという言葉に、うっとりとした表情で、「クルト様」と、クルト王太子殿下の方を上目遣いで見上げるレーナ男爵令嬢。
 それは、明らかに殿方に媚を売っているようにしか見えない。

「クルト様――、陛下にお伺いを……」
「父上に? 必要ない! 次期、国王となる俺に無礼だぞ!」
「クルト様……」

 これは何を言っても変わらない。
 それだけは直感で理解してしまう。 
 それと同じく、こんな短絡的な考えをする殿方の為に、私は王妃教育を10年近くも王城で受けてきたのかと思うと溜息しかでない。
 
「分かりました。クルト様が、そう仰るのでしたら――」
「分かったならいい。それと、お前が居ると面倒だからな。国から出ていけ!」
「――え?」

 さすがに、その命令には、周りの貴族の方々が「王太子殿下!」と、諫めようとするけど、「黙れ!」と、一括し、私の方を見てくる。

「アマーリエ・フォン・オイレンブルグ公爵令嬢、本日付けで国から出て行かない場合は、オイレンブルグ公爵家は、王家に反逆の意思があると、兵を差し向けることになる。わかったな?」
「……わかりました」
「これでいいか? レーナ」
「はい。クルト様」

 ああ、これは完全に男爵令嬢に言い包められていると、思ってしまう。
 ただ、こんな不良物件と結婚させられるくらいなら、国から出て自由に暮らした方が、ずっといい。

「クルト様、失礼致します」

 私は、貴族の礼をして広間から出て扉を閉める。
 お姉さまも、事態の収拾に奔走しているのか追ってくることはない。

「はぁー。どうしよう……」

 国王陛下と王妃様が、外遊から戻れば何とか事態を治めてくれるとは思うけれど……。
 あんな不良品と結婚させられたら、絶対に将来、大変になることは目に見えている。
 それなら、クルト王太子殿下の言質が取れているいまの内に国から出て好きに生きた方がいい気がする。
 
 死んだ私を、異世界フィーネを救う為にと、聖女の力を与えて転生させてくれた女神様には悪いけど、さすがに、アレは無理。

 私は、すぐに荷物をアイテムボックスに入れて纏める。
 そして――、私を探しに来る前に、公爵家の馬車に乗り王城を後にした。
 
 


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