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婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

換金をしましょう(2)




「駄目でしょうか?」
 
 あまりにも凝視されるモノだから、私は驚きつつも50代後半と思わしき男性に話しかける。
 男性は、顎髭を弄ると困ったような表情をして、私達を見ながら口を開く。

「ワイバーン一匹を売りにくるのは驚いた。ただ、こんなところでなく諸外国の貴族様か何かに売ればいいんじゃないのか? 剥製を持ちたがる貴族もいるだろうからな。それにアイテムボックス持ちか。かなり珍しいな」

 どうやら、私達がワイバーンを持ってきたことに対して驚いているだけで、ワイバーンを出した事に驚いている訳ではないみたい。

「それで、購入してくれますか?」
「かなり安くなるが、それでもいいならいいぞ?」
「よろしくお願いします」
「――じゃ査定をするから、壁端――、向こうの椅子に座って待っていてくれ」

 男性が指差した壁沿いに置かれている木製の長椅子に、エリザさんと座り、査定が終わるのを待つ。
 私達が見ている中で、商業ギルドの男性は、ワイバーンの状態をチェックしていき―――、私達の方へと向かってくる。

「あー、すまないな。身分証を確認するのを忘れていた。出してくれないか?」
「えっと、これでいいですか?」
「冒険者ギルドカードか。ふむ……、ランクは銅か……。ずいぶんと良い師に、育てられたんだな」

 そう言いながら、私の冒険者ギルドカードを返してくる。

「それじゃアリーシャ。もう少し待っていてくれ」
「はい」

 ワイバーンの査定に戻っていく男性。
 その後ろ姿を見ながら、私は椅子へ再度座る。

「どのくらいで査定が終わるかな?」
「どうでしょうか」

 私は、魔物を売ったことがないから、どのくらい時間がかかるのは分からないし、どうやらエリザさんも知らないみたい。
 それから、ぼーっとして1時間程が経過したところで――、

「アリーシャ! いいか?」

 名前を呼ばれた。
 もちろん、査定をしていた男性から。

「エリザさん行ってきます」
「いってらっしゃい」

 エリザさんは、長椅子で横になりながら答えてくる。
 椅子から立ち上がり、長机で作業をしている男性の元へと向かう。

「はい。どうかしましたか?」
「査定が終わった。金貨300枚と言ったところだが、それでいいか?」
「はい。それでお願いします」
「即答か。冒険者ギルドカードのランクは最下位だというのに、ずいぶんと思い切りがいいんだな? ちなみに、実力は本物だと思うから言うが、諸外国の貴族に売れば最低でも金貨1000枚、多いと金貨3000枚で売れるぞ?」
「――いえ。ここで売ります」
「そうか。それじゃ今、お金を取ってくるから待っていてくれ」






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