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婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

冒険者カードを作りました。




「たのもー!」

 両開きの扉をバン! と開けつつエリザさんが建物の中へと入っていく。

「道場破りではないのですから」

 私は、王宮の図書室に置かれていた書物に書かれていた内容を思い出しながら呟きつつ、エリザさんの後を追うようにして冒険者ギルドの建物の中へと入る。

「これは……」

 とても涼しいです。
 冒険者ギルドの建物の中は、カラッとした外の暑さと違って、すごく涼しい。
 
「ふぁぁ、涼しいぞお」

 声がした方へと視線を向ければ、そこにはエリザさんがいた。
 木の長椅子に座り、大理石を削って作られたであろう大きなテーブルに上半身を預けて、目を細めながら涎を垂らし寝ている。

「エリザさん……」
「アリーシャも、同じようにするといいぞ。涼しいから」
「はぁー、エリザさん」
「ん?」
「私達には軍資金がないのですよ? まずは換金しないと、今日のご飯を食べるお金もないのですよ?」
「分かっているが、外は暑かったからなー。換金はアリーシャに任せた」
「……」
「そういえば、私はアリーシャにお金を貸していたんだった!」
「そうですね」

 私は溜息をつきながらエリザさんを置いて、奥に見えるカウンターへと向かう。
 カウンターは3つほどで、それぞれテーブルを挟んで女性が対応をしているのが見える。
 近づくと、私に気がついたのか冒険者ギルドの青い制服をきた女性が、視線を向けてきた。

「本日は入会ですか?」
「いえ。換金に伺ったのですが……」
「こちらは冒険者ギルドへの入会と、クエスト受付専用窓口になっております。クエスト完了の支払いは2階になります。換金については、冒険者ギルドの横にございます商業ギルドの方で行っております」
「分かりました」
「ただ、換金につきましては冒険者ギルドか商業ギルドの身分証明が必要となりますので、先に作られておいた方がいいかと思います」
「なるほど……」
「それと迷宮都市の地下迷宮に入る際には、冒険者ギルドに所属している事が絶対条件となります」
「それでは、冒険者登録をお願いします」
「畏まりました」

 冒険者ギルドの女性は、頷き、机の中から一枚の羊皮紙と、羽ペンとインクを取り出し、私の目の前のテーブルの上へと置いてくる。
 さらに冒険者ギルドの受付女性は話す。

「それと魔力を測りますので、こちらの水晶に手を置いてください」
「この水晶の上に手を置けばいいのですか?」
「はい」

 私は片手を水晶の上に置く。
 すると、水晶が光輝くと同時に黒と白の混じった色を表示させたかと思うと粉々に砕け散る。
 その様子を見ていた冒険者ギルドの受付担当の女性。
 さらに周囲で暇を持て余していた女性受付や、奥でデスクワークをしていた男性までもが驚いた様子で此方を見てきていた。

「……えっと。貴女のお名前を聞いても?」
「アリーシャと言います」
「アリーシャ? ラッセル王国から来られた方ではないですよね?」
「違います」
「アリーシャ・フォン・ハイデンブルグと言うお名前に心当たりはありませんか?」
「ありません」
「身分証明書をご提示して頂けませんか?」

 私は作ってもらったばかりの迷宮都市の身分証明書を取り出し受付の女性に渡す。

「本日、作られたばかりのモノのようですが、御出身を伺っても?」
「出身は魔の森の近くです。物心ついた時には祖父と二人暮らしだったので、それくらいしか知りません。亡くなられた祖父も詳しいことは教えてはくれませんでしたので」
「……分かりました」

 溜息交じりに納得してくれたよう。
 私は必要書類に名前を書いていく。

「職業は赤魔導士ですか」
「はい、一応は多種多様な魔法が使えます」
「……はい」

 受付女性は疲れたような様子で、手続きをしてくれ一枚のカードを手渡してきた。
 それは、銅に名前とランクと職業が書かれたプレート。

 所謂、冒険者ギルドカードというもの。

「アリーシャ様、まずは冒険者ギルドカードの説明をさせて頂きます。冒険者のランクにより、銅、鉄、銀、金、オリハルコンとランクが上がっていきます。最高峰はブラックオリハルコンですので、頑張ってください」
「ありがとうございます」

 私は頭を下げてエリザさんの元へ。

「エリザさん」
「アリーシャか。換金できたのか?」
「まずは冒険者ギルドカードを作らないと換金も迷宮も利用できないみたいです」
「なに!? それじゃ私も作ってくる!」

 エリザさんは、受付窓口に走って向かっていった。


 


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