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婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

迷宮都市(2)




 市街地へと伸びる長い通路。
 道の横幅は20メートル以上あり、直線としては100メートル近く。
 通路を抜けた先には大きな広場があった。
 円形状の広場であり、直径は50メートルほど。
 その中央部には、砂漠とは思えないほど潤沢な水を噴き出している噴水が存在している。

「おおっ! アリーシャ! 水があるぞ!」
「あ、待ってください! エリザさん」

 砂の国は、基本的に砂漠の国。
 つまり、町中であっても熱風に曝されていないだけで暑い。
 ただし、大気は乾ききっているのでジメッとした暑さではなく、カラッとした暑さ。
 それでも、暑さは体力も精神状態も削っていく。
 そのおかげもあり、エリザさんが走って噴水の中へ飛び込んでいるのも、分からなくはない。
 何せ、数か月間の間、魔の森という森林地帯で暮らしていたのだから、砂の国との温度差のギャップは余程のモノがある。

 ちなみに私は風と氷の魔法を複合した魔法で冷風を体の周囲に纏わせているので、エリザさんほど水には飢えていなかったりする。

「こらーっ! そこで、水浴びしている馬鹿はだれだー!」
「ひっ!? ごめんなさい、ごめんなさい」

 広場の噴水で水浴びをしていたエリザさんが巡回していた兵士に見つかって怒られて、どこかに連れていかれた。
 
「……何をしているのでしょうか。あの人は……」

 私は溜息交じりに、連行されていくエリザさんと兵士の方へと駆け寄る。

「すいません」
「なんだね?」
「あの、その人の知りあいなのですが……」
「そうか。では見受け人ということでいいのか? だが、この町の人間でなければ見受け人にはなれないが……」

 私は、作ってもらったばかりの身分証を取り出し兵士の方へと見せる。

「なるほど。本日、グランドの市民になったのか。それなら見受け人としては大丈夫だな。それじゃ、公共の場で噴水に入ったことも含めて罰金は金貨10枚になる」
「金貨10枚!? エリザさん?」
「ギリギリある……」

 その場で兵士の方へ金貨を渡し、支払い書なるものを渡された後は、兵士の方は去っていく。
 支払い書は、司法庁が発行しているものらしくキチンと司法庁長ペンタム・ギュータと名前が書きこまれていた。
 私達を担当していた巡回兵士の名前はルーカスという方。

「迷宮都市第三巡回警備隊所属ルーカスさんですか……」

 私は書類に目を通しながら、チラリとエリザさんの方へ視線を向ける。
 エリザさんは、腰に括りつけていた巾着袋を逆さまにして振っていた。

「どうしよう……アリーシャ」
「お金が無いという事ですね、わかります」
「うん……」
「もう少し考えて行動してください。初めて来た所なのですから、どんなルールがあるのか分からないのですから。また罰金を払う事になりますよ?」
「だって……暑くて耐えられなかったんだよ!」
「そんな理由で犯罪をしていい事にはなりませんから。とりあえず、私達はお金がありません。まずは素材を購入してくれるかも知れない冒険者ギルドに行きましょう」
「そ、そうだな!」

 二人して一文無しとは、相当ヤバい状況に置かれてしまったので、早めに冒険者ギルドにいかないと。




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