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婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

冷えたり熱かったり




「寒っ! 暑っ! 日照りで暑いけど、氷で手足が寒いんだけど!? 何て言えばいいのか……これは……」
「笑えばいいと思います」
「アリーシャ、何か私の扱いが雑じゃないか? もっと、優しくしてほしいんだけど?」
「そうですか? 何時も通りですよ?」

 別に蒸し暑かったのに、エリザさんに、さっき抱き付かれて汗でベタベタしたから、少しだけ冷やしてあげようと思ったのは内緒。

「なんだかアリーシャが冷たい……。そして、氷も冷たい」
「そろそろ、氷を自分で壊して出てきませんか? 私も、ここで氷が解けるまで待つのは、さすがに辛いので」
「そうだな」

 エリザさんが両手足に力を入れただけで氷に細かな罅が入る。

「ふんっ!」

 エリザさんが力を入れる声と共に――、氷が粉々に砕け散る。
 やっぱり、エリザさんは相当、力がついているみたい。

「うひゃー、寒かった……」
「これで当分は、涼まなくても大丈夫ですね?」
「――いや、頭が直射日光に晒されていて暑い……」
「それじゃ、これでも頭の上に乗せておいてください」

 私は氷の魔法を使い10キロくらいの氷を作りエリザさんの頭の上に乗せる。
 
「涼しいけど、寒いな……」
「贅沢は言わないでください」
「でもな……って、熱っ! 熱っ!?」
「どうかしましたか?」
「ここ、どうなっている?」
「えーっと」

 エリザさんに指差された部分――、そこは頭の後頭部。
 赤い髪は、チリチリに焦げていて、いまも煙を上げている。
 よくよく見れば、エリザさんの頭に乗せた氷が太陽光を収束してエリザさんの赤い髪を焼いていた。
 私は、エリザさんに聞こえないほど小さな声で回復魔法を発動させ髪の毛と、赤くなっている皮膚を修復する。

「ずっと、直射日光を受けていましたので、それで暑かったのかも知れないですね」
「本当か? 氷を頭に乗せたあと、すぐに熱くなったんだが?」
「気のせいです。プラシーボ効果という奴です」
「まぁ、アリーシャがそういうなら……」
「とりあえず、氷の帽子は脱ぐとしましょう」
「――え? これ涼しくていいんだが……」
「女の子が体を無暗に冷やしてはいけないのですよ?」
「さっき、私は、アリーシャに氷漬けにされたような……」
「気のせいです。それより早く、町に入るとしましょう」
「そうだな」

 あまり、町の城壁の外で話していても仕方ないし、余計なことを言って突っ込まれても困るため、城壁沿いにエリザさんと共に歩いていく。
 しばらく歩いたとところで、レザーアーマーを装備して、槍を手に持つ兵士の方が4人ほど視界に入ってくる。

「ずいぶんと若い兵士だな」
「そうなのですか?」

 まだ距離としては300メートル近くあり、身体強化をしていない私では見ることはできないけど……、さすがエリザさんと言った感じで私の問いかけにコクリと頷く。

「まだ、10代後半と言ったところだな」
「私達も10代後半ですけどね」
「……そうだが……、基本的に門を護衛する門衛というのは他の国や商人を受け入れる場でもある。ラッセル王国の王都は門兵に配置されるのは30代後半の兵士と決まっている」
「そういえば、そうでしたね」

 そうなると、迷宮都市は普通の国とは違う運営方法がされているのかも知れないわね。




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