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婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

何もなかった。いいね?




 ドーンと言う音と共に王城の壁を、加工したワイバーンの骨がぶち抜く。
 投げる際に、骨が粉砕したらいけないと思い、物質強化の魔法をかけていたのだけれど、それが悪い方向で作用したおかげで、王城の壁には大きな穴が。
 さらに、通路を突き抜け、見覚えのある通路の壁も破壊。

「コホッコホッ」

 どうやらエリザさんは無事だったようです。
 
「アリーシャ、ここって……、まずいんじゃ?」
「はい」

 周囲には、壁を粉々に破壊したことで細かな粒子による煙が舞い上がっていて、大勢の人達のざわつきが聞こえてくる。
 ただ、運が良かったのか死人は出ていないみたい。
 
「エリザさん。早く逃げましょう! 今なら、煙で私達の姿は見えていないはずです」
「そ、そうだな。謁見の間を襲撃したとかになったら大変な事になるからなっ!」

 エリザさんが、もう一度、ワイバーンの骨を持ち上げると外へ向けて投げる。
 私を載せたワイバーンの骨が、エリザさんも必死なのか全力で投げてくれたおかげで凄まじい速さで、ぶち抜いた壁からラッセル王国の王城の外へと出る。
 そこで、私は風の魔法を帆に当てる。

 それにより、ワイバーンの骨は上空へと一気に舞い上がり空を駆ける。
 もちろん、エリザさんは鎖に引っ張られて付いてきている。
 ただし、ぐったりとしたまま動かない。
 一応、ヒールをしておく。

「くはっ! 死んだと思ったっ!」
「全力で投げるからです……」
「――いや、さすがに自分の実家が仕えている王家の……、いや、何でもない」
「そうですか?」

 エリザさんって、思ったよりも嘘をつくのが苦手ですよね。
 
「それより、本当に大丈夫だっただろうか?」
「たぶん……」

 あの煙の中では大丈夫だと思う。

「たぶんだと困るんだが!」
「そしたら、迷宮都市で暮らせば解決です」
「迷宮都市か……。今度は大丈夫なのか?」
「はい。反対方向に投げれば大丈夫だと思います」

 私は帆に風の魔法を当てながら答える。
 下には、ラッセル王国の王都の城下町が見え――、すぐに城下町の上空を超え――、さらに城下町を囲うようにして存在している城壁上空を過ぎて、さらに魔の森の方へと、私達が乗っているワイバーンの骨は突き進んでいく。

「まぁ、魔の森で隠居生活もいいかも知れないですけどね」
「それは困るんだが……」

 エリザさんが何か言っているみたいだけど、私はスルーすることにした。
 しばらく上空をワイバーンの骨は飛び続け、魔の森を抜ける。
 さらに暫くすると、視界いっぱいに砂漠が見えてきた。

「おお! これが砂の国か!」
「はい。この先には、迷宮都市があるはずです」

 ――砂の国。
 そう呼ばれてはいるけど、不毛な土地が続いている事から、どこの国も領土を主張しない見捨てられた地とされている。
 そんな砂の国だけど、迷宮と呼ばれるモノが存在している。
 迷宮都市は、古代文明の遺跡のあとで、その出土品は、様々な利便性のある物が出土されていると教えてもらった。
 それと共に、迷宮は危険なところで、砂漠内に存在する都市ということで、どこの国も干渉しない事から治外法権になっているとも。

「アリーシャ、あれじゃないのか?」

 エリザさんが指差した方向。
 地平線の果てには、大きな町の輪郭が見えてきた。


 


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