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婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

魔の森からの脱出(4)




 まずは、風の魔法で近くの大木を根本から斬り横倒しに倒れたところで枝などを払っていく。
 そして、投げやすい長さでカット。
 持ち運ぶために両手で掴む。

「重すぎてビクともしない……」

 どんなに力を込めてもまったく動かない。
 うんともすんとも言わない。
 仕方なく身体強化の魔法を使い持ち上げてアイテムボックスへ収納。

「こんなの投げられるのかな……」

 でも、大岩を片手で持ち上げていたし、エリザさんの人外な力ならもしかしたら……。

「ただいま戻りました……」

 自宅を囲っている塀――、その中で唯一入ることができる扉を開けて中に入ると、10メートル近いワイバーンが庭に転がっています。

「アリーシャ。おかえり」
「ただいまです……。あのこれは……」
「丁度、運よく森の中で得物を探していたら襲ってきたから殴って倒したんだよ」
「へ、へー」

 ドラゴン系の魔物って殴って倒せるのですか……。
 もう、何でもありな状態にまでエリザさんが進化していて、少し怖いです。

「それよりも、アリーシャ」
「はい?」
「ワイバーンの骨とかを投げてみたらどうだろうか?」
「ワイバーンの骨ですか?」
「以前に聞いたことがあるんだが、竜種は空を飛ぶ為に頑丈で軽い骨格を持っているらしいんだ。それを利用すれば、投げる時も楽なんじゃないのか?」
「たしかに……」

 丸太を投げて、それに乗って魔の森から脱出するよりは遥かに現実味があるかも知れないですね。

「分かりました! ワイバーンを捌いてみます!」

 まずは、ワイバーンの鱗を剥がし、次に皮を剥ぎ部分ごとに切断。
 お肉は時間経過がないアイテムボックスへと収納。
 残った臓物などもアイテムボックスへと収納
 あと残ったのは骨だけ。

「たしかに……軽いですね」

 大きさと頑丈さ、そして軽さを兼ね備えた背骨は、投擲するには打ってつけですね。
 あとは風の魔法で遠投距離を伸ばせば何とかなるかも?

「どうだ? アリーシャ」

 お風呂から上がってきたエリザさんが話かけてくる。

「何とかなりそうです」
「そうか。何時頃行く?」
「そうですね。まずは、これを持ってもらえますか?」
「分かった」

 私は、ワイバーンの背骨をエリザさんに渡す。
 もちろん身体強化魔術が掛かっている状態で――。
 エリザさんは、軽々とワイバーンの背骨を片手で受け取ると、「たしかに軽いな」と、呟いている。
 これは、剣士と大魔導士である私の力の差だと思いたい。

「それじゃアリ―シャ。これを投げる方向で行こう。出立は早い方がいいんだが?」
「そうですね。明日、朝一番で行きましょう。あとは、鎖が必要ですね」
「鎖? 何に使うんだ?」
「エリザさんの体に巻き付けておかないと、私だけで魔の森の外に行くことになってしまいますので、あとで砂鉄から鎖を作っておきます」
「なるほど」

 どうやら、魔の森での平穏な生活も今日一日で終わりみたいですね。




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