婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。
魔の森からの脱出(3)
エリーゼさんが、トレーニングの為にと庭で腕立て伏せをしているのを見たあと、私はベッドの中にササッと入って掛毛布を頭から被る。
「さて、寝ましょう」
2度寝は至福です。
私は、瞼を閉じて夢の中へ――。
――数時間後
「まだ眠い……」
欠伸をしながら起きる。
「どのくらい寝ていたのかしら」
外を見ると、エリーゼさんが腹筋をしていた。
どれだけ寝ていたか分からない。
だけど、もしかして……私が寝ている間も、ずっと体を鍛えていたの? と考えてしまう。
そうだったら、かなりの時間、トレーニングしていた事になるのだけれど……。
そうなると、オーバーワークになるから止めないと。
寝間着から、無地のワンピースに着替えてから庭へ。
太陽の位置は、頭上の真上。
たぶん、お昼に近い。
そうなると、やっぱり4時間から5時間ほど、トレーニングをしていたことになる。
「エリーゼさん」
私が話しかけても、エリーゼさんは腹筋をやめない。
これは、間違いなく練習に集中しすぎていて、外野の声が届かないみたいな。
「エリーゼさん!」
「お、おお!? アリーシャか」
エリーゼさんの耳元近くで、大声でエリーゼさんの名前を叫んで、ようやく私の声が届いた。
「もう、お昼の時間ですよ?」
「そうなのか?」
「はい。過剰なトレーニングは体に悪影響を及ぼします」
「――いや、それがな。アリーシャが夜なべして作ってくれた執事服だが、ヒールの魔法が掛かっているおかげもあって、全然っ! 疲れないんだっ」
「本当ですか? 無理はしないでくださいね。一応、トレーニング中に、かなりの負荷が肉体に掛かるようにしていますので」
「分かった」
「それでは、私はお昼を作ってきます」
「それまで体を鍛えておく」
「はい」
どうやら、思っていたよりもチートな執事服だったみたい。
チラリと、後ろを振り返ると一抱えあるほどの岩を片手で持ち上げている。
「あ、あれ?」
たしか人の筋肉は鍛えれば鍛えるほど強くなるって聞いた事を、私を護衛してくれていた近衛騎士の方に聞いたことがあるけど……、筋肉を壊して瞬時に回復するヒールを混ぜ込んだことで、もしかして……エリザさん相当強くなってない? 
――これは、もしかすると本当に魔の森から脱出に成功しちゃうかも!?
私が作ったお昼を二人で食べたあとは、エリザさんは迷宮都市に行った時に売れる獲物を取りに行き、私はエリザさんが投げるモノを探してまわっている。
「とりあえず、あれだよね……」
空に向かって投げるなら軽い方がいいよね……。
そうなると――。
森の中で、軽くて投げやすくて、加工しやすいモノ。
それは……一つしかない訳で……。
「エリザさんには丸太を投げてもらって、その上に乗っていくのが一番効率が良いわよね」
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