【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第200話 私が、あなたたちを止める!
今までにない威圧感。おそらく実力は相当なものだろう。しかし──。
「譲ってくれるなんて、微塵も考えていないよ。わかってる、俺たちがすべてをかけて、覚悟してここにいるのと同じ。あなたたちの想いも、それに負けないくらいのものがあるって」
「そうじゃ。負けられない戦いをしているのは、そちだけではない。であればわしたちが行い手段は一つしかない」
ユダがそう言って、構える。戦わなくてはならない。そんな雰囲気がこの場を包むと、シャムシールがあきれたように言葉を返す。
「あなたたち。何か勘違いしていますわ」
「どういうことだ? 抵抗するなら、俺は容赦しない。さあい、俺の英雄伝説の始まりだ!」
「それですわ、ヘイム様。べつに、私たちはあなたたちと死闘を繰り広げる気などありませんわ」
そういってシャムシールはぶつぶつと数秒言葉をつぶやく。この世界ではだれも知らない言語。
右手を上げ、指をはじく。すると─
─。
パン!
手をたたいたような音がこの場を包み込むと、幸一達は丸いホール上の、透明な壁に囲まれていた。
「こういう事だったのか」
幸一は悔しげにつぶやきながら、壁に攻撃を放つ。
「だめだ、攻撃を完全に吸収している」
「そうみたいです、幸一さん。以前、このような結界があると聞きました」
サラがその結界について話す。天使たちだけが使える魔王軍封じ込めのための特殊な結界。どんな威力の攻撃も、吸収してしまい対象を閉じ込めてしまうというものだった。
(けど、突破する力はある……)
そういってサラは事を進める。
「私たちは、あなたたちに勝利する必要は全くありません。このまま時が進めば、私達の軍がこの世界中に侵略し、その夢は達成されるでしょう。あなたたちは、ここでそれを見ているといいのです」
「そんなの、ずるいと思わないの?」
「思いませんよ、イレーナさん。私達は天下一武道会をしているわけでも、敵戦士皆殺し大海をしているわけではありません。あなたたちに倒されなければそれでいいのです。 その一つがこの手法ということです」
アブディールが毅然とした態度で反論。イレーナは黙りこくってしまう。
「どれだけ強い攻撃を加えても、この結界は全てを吸収してしまいます。これ以上に進軍はあきらめることです」
そして2人は祈りのポーズをとり、その結界の詠唱を始める。
その言葉の意味を、幸一達は理解することはできない。
(初めて聞く言葉だ。今まで聞いた、どんな言語とも違う)
天使たちの、専門の言葉。門外不出、これなら人間たちに解読されることがない。
そんな自信に満ち溢れた態度。
しかし、そんな自信を打ち砕く少女がいた。
(確かにこの言葉は私もらからない。けれど、この力なら──)
サラだった。 いろいろな言語を学んできたサラは、その言葉が自分の世界のどの言語とも違う、天使独特のものであると理解。
サラは今の天使の言葉を解読。そしてその弱点も解読に成功。静かにそれができるルナシーの所に移動し、彼女にそのことを耳打ちしたのだ。
「魔王の力、天使の力、これを同時注入するとはかいできるんだって。できる?」
「──やってみます」
ルナシーだった。彼女が自身の力を出し、同時に、ここに入るときに使った魔王軍の小道具を、強く握る。
(お願い、私達の未来。切り開いて!)
ルナシーの強い願い、それが通じることとなる。
そして結界に少しずつではあるが、ピキピキとひびが入ってきたのだ。。
「ルナシー、でかした!」
「しかし、隙だらけです! 好きにはさせません」
アブディールが一気にルナシーに接近。もちろん彼女の術式を妨害するために。
「そっちこそ、思い通りにはさせないわ!」
それを止めたのはメーリングだった。一瞬で自身の兵器を召喚、彼女が大鎌を受け止める。そしてその強さに愕然。
(さすが天使、今までのどんな敵より、ずっと強い……)
「戦うならば、手加減はしません。死んでも責任はとれませんわ」
「悪いけど大きなお世話だわ。それを知ってて私たちはここにいて私たちは剣を抜いているんだから!」
「それは私も同じ。故郷のために、差し違える覚悟でここにいるんだから!」
ルナシーとメーリングの魂の叫び。ルナシーはさらに力を入れる。
そして──。
ガッシャァァァァァァァァァァァァァン──!
シャムシールが作った結界が崩壊。
「人間ごときがこの私の結界を壊した。やりますわね! もう、実力でわからせるしかありませんわ!」
「駄目よ、私があなたたちを止める。彼らに指一本触れさせない」
ルナシーの言葉、その意味を知ったメーリングが天使たちににらみを利かせながら叫ぶ。
「みんな、ここは私が相手をするわ。先に言って」
「──わかった」
結界が消滅しているうちに、彼らだけでも先へ進ませたいという思い。
それを理解した後ろからの幸一の声、メーリングは正面を見ながらうなづいた。
「あなたたちは、私達が絶対に打ち倒すわ」
「そうです。覚悟してください。アブディール。シャムシール」
はたから見れば、その言葉は自分の信じたもちのために、強敵と戦う前の警告の言葉に聞こえる。
しかし、二人の表情から、すべてを察していたシャムシールはけげんな表情を二人に向ける。
「しかし、理解できませんわ。私達の力を理解してなお、なぜ剣を抜くのですか? 剣を交わらなければ、その身を滅ぼされなければ理解できない程度の戦士ではないでしょう? そうでなければ、その足は震えるわけがありませんもの」
「やっぱり、天使だけあるわね。見透かされちゃった」
「譲ってくれるなんて、微塵も考えていないよ。わかってる、俺たちがすべてをかけて、覚悟してここにいるのと同じ。あなたたちの想いも、それに負けないくらいのものがあるって」
「そうじゃ。負けられない戦いをしているのは、そちだけではない。であればわしたちが行い手段は一つしかない」
ユダがそう言って、構える。戦わなくてはならない。そんな雰囲気がこの場を包むと、シャムシールがあきれたように言葉を返す。
「あなたたち。何か勘違いしていますわ」
「どういうことだ? 抵抗するなら、俺は容赦しない。さあい、俺の英雄伝説の始まりだ!」
「それですわ、ヘイム様。べつに、私たちはあなたたちと死闘を繰り広げる気などありませんわ」
そういってシャムシールはぶつぶつと数秒言葉をつぶやく。この世界ではだれも知らない言語。
右手を上げ、指をはじく。すると─
─。
パン!
手をたたいたような音がこの場を包み込むと、幸一達は丸いホール上の、透明な壁に囲まれていた。
「こういう事だったのか」
幸一は悔しげにつぶやきながら、壁に攻撃を放つ。
「だめだ、攻撃を完全に吸収している」
「そうみたいです、幸一さん。以前、このような結界があると聞きました」
サラがその結界について話す。天使たちだけが使える魔王軍封じ込めのための特殊な結界。どんな威力の攻撃も、吸収してしまい対象を閉じ込めてしまうというものだった。
(けど、突破する力はある……)
そういってサラは事を進める。
「私たちは、あなたたちに勝利する必要は全くありません。このまま時が進めば、私達の軍がこの世界中に侵略し、その夢は達成されるでしょう。あなたたちは、ここでそれを見ているといいのです」
「そんなの、ずるいと思わないの?」
「思いませんよ、イレーナさん。私達は天下一武道会をしているわけでも、敵戦士皆殺し大海をしているわけではありません。あなたたちに倒されなければそれでいいのです。 その一つがこの手法ということです」
アブディールが毅然とした態度で反論。イレーナは黙りこくってしまう。
「どれだけ強い攻撃を加えても、この結界は全てを吸収してしまいます。これ以上に進軍はあきらめることです」
そして2人は祈りのポーズをとり、その結界の詠唱を始める。
その言葉の意味を、幸一達は理解することはできない。
(初めて聞く言葉だ。今まで聞いた、どんな言語とも違う)
天使たちの、専門の言葉。門外不出、これなら人間たちに解読されることがない。
そんな自信に満ち溢れた態度。
しかし、そんな自信を打ち砕く少女がいた。
(確かにこの言葉は私もらからない。けれど、この力なら──)
サラだった。 いろいろな言語を学んできたサラは、その言葉が自分の世界のどの言語とも違う、天使独特のものであると理解。
サラは今の天使の言葉を解読。そしてその弱点も解読に成功。静かにそれができるルナシーの所に移動し、彼女にそのことを耳打ちしたのだ。
「魔王の力、天使の力、これを同時注入するとはかいできるんだって。できる?」
「──やってみます」
ルナシーだった。彼女が自身の力を出し、同時に、ここに入るときに使った魔王軍の小道具を、強く握る。
(お願い、私達の未来。切り開いて!)
ルナシーの強い願い、それが通じることとなる。
そして結界に少しずつではあるが、ピキピキとひびが入ってきたのだ。。
「ルナシー、でかした!」
「しかし、隙だらけです! 好きにはさせません」
アブディールが一気にルナシーに接近。もちろん彼女の術式を妨害するために。
「そっちこそ、思い通りにはさせないわ!」
それを止めたのはメーリングだった。一瞬で自身の兵器を召喚、彼女が大鎌を受け止める。そしてその強さに愕然。
(さすが天使、今までのどんな敵より、ずっと強い……)
「戦うならば、手加減はしません。死んでも責任はとれませんわ」
「悪いけど大きなお世話だわ。それを知ってて私たちはここにいて私たちは剣を抜いているんだから!」
「それは私も同じ。故郷のために、差し違える覚悟でここにいるんだから!」
ルナシーとメーリングの魂の叫び。ルナシーはさらに力を入れる。
そして──。
ガッシャァァァァァァァァァァァァァン──!
シャムシールが作った結界が崩壊。
「人間ごときがこの私の結界を壊した。やりますわね! もう、実力でわからせるしかありませんわ!」
「駄目よ、私があなたたちを止める。彼らに指一本触れさせない」
ルナシーの言葉、その意味を知ったメーリングが天使たちににらみを利かせながら叫ぶ。
「みんな、ここは私が相手をするわ。先に言って」
「──わかった」
結界が消滅しているうちに、彼らだけでも先へ進ませたいという思い。
それを理解した後ろからの幸一の声、メーリングは正面を見ながらうなづいた。
「あなたたちは、私達が絶対に打ち倒すわ」
「そうです。覚悟してください。アブディール。シャムシール」
はたから見れば、その言葉は自分の信じたもちのために、強敵と戦う前の警告の言葉に聞こえる。
しかし、二人の表情から、すべてを察していたシャムシールはけげんな表情を二人に向ける。
「しかし、理解できませんわ。私達の力を理解してなお、なぜ剣を抜くのですか? 剣を交わらなければ、その身を滅ぼされなければ理解できない程度の戦士ではないでしょう? そうでなければ、その足は震えるわけがありませんもの」
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