【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第199話 天国へ
「それで、どう……するんです──か? アルミールさんは」
シスカの強気な質問にアルミールはうろたえる。強く腕を握り、答えを出すのに迷いを持っているのをだれもが感じていた。
「行く末を、見守りたいです。こんな状況下に至っても、結論を見いだせない私が、どのような立場になれ、戦う資格など、無いと考えています。私は、ここにいます。道はこの奥ににあります。立ち向かうというのならば、引き留めはしません。ご自由にどうぞ」
アルミールの遠目になりながらの言葉。幸一達は一瞬戸惑ってしまうが、ルナシーが警戒の表情をしながら声をかけた。
「──わかりました。では私たちは、行かせてもらいますね。未来のために」
「そうですよね。出会った時から、そんな結論が出てくると思っておりました。ではお通り下さい」
「ずいぶんと、素直ですね」
ルナシーの警戒の目つき。
「ですが覚悟しておいてください。歯向かうというのならば、彼女たちは容赦はしません。全力で戦うことになります。最悪、あなたたちが命を落とす。ということも考えられます。よろしいでしょうか?」
その言葉に一瞬言葉を詰まらせる幸一。しかし、出す答えはすでに決まっていた。
「よろしいに決まっているよ。戦死なんて、こっちは想定済なんでね」
そんなこと、今まで承知の上で戦ってきた。そんなことをいまさら聞かれたところで、彼らの答えはすでに決まっていたのだ。
現に幸一以外のイレーナやメーリングたちも、引き締まった表情で首を縦に振っていたのだ。
それを見た、アルミールは強く理解した。彼らに、そんなことを強く言っても無駄だろうと。」
すでにそんな覚悟はできているのだと。
「了解しました。愚問でしたね……。すでに命を懸けているあなたたちにとっては。ではどうぞお進みください。今までより、ずっと強くて偉大なる存在たちが、あなたたちを待ち構えています」
「──ありがとう」
「まあ、どんな強敵だろうと、この俺を敵に回して対面した瞬間、勝負は決まってしまうのだ。残念だが、貴様たちの敗北はすでに決しているのだよ」
幸一が一言礼を言うと、ヘイムが例の傲慢発言。
そして幸一達は歩を進める。遺跡の奥にある道を、彼らは進み始めた。
ランプによって照らされた、薄暗い道。
「この先、どんな風になっているのかしら?」
メーリングの疑問。それは、誰も知らない。
「メーリングさん。それは誰にもわかりません。どんな状況になっても、生き抜いて、勝利する。私たちの使命に、変わりはありません」
「──そうね、ルナシー」
彼女の言葉を、全員が理解する。必ず生き延びて、勝ってくると心に誓う。
それから数分歩くと、イレーナが道の先を指さす。
「あれ、出口じゃない?」
道の先が白く光っている。それがこの道の出口なのをここにいる全員が察する。
彼らはその場所へと歩を進める。その先には何が待っているのか、そんな疑問を胸に抱きながら。
そして出口へ。たどり着いた瞬間、あたり一面がまぶしくなり、周囲が見えなくなる。
数十秒ほどたつと、再び視界が開け始める。
気が付くと幸一達は、お花畑に立っていた。
遺跡に中にいたはずなのに、空があり、日が昇っていた。
地平線までカラフルな花が永遠と植えられているお花畑という感じがぴったりだ。どういうことかと戸惑ってしまう。
花からはオレンジやハーブなどの豊かな香りが出ていて、この花畑一帯に充満している。
「いい匂い──です」
シスカが思わずつぶやき、足元にある花を手に取る。今まで感じたことがない豊かな香り。思わず嗅ぎ続けてしまう。
予想もしなかった展開に幸一は周囲を確かめた。
すると、つんつんとサラが肩をたたいて話しかけてくる。
「幸君。彼女たち、天使なのでしょうか?」
そこにいたのは純白で真っ白なドレスを纏った二人の女性。
一人は金髪のロングヘアで長身。もう一人はその女性より頭一つ低く、茶髪でセミロングの女性だ。
いずれも、イレーナくらいの少女っぽい年齢に見える。
「あなたたちは天使シャムシールさんとアブディールさんですよね」
「ご名答です。私がシャムシールです。よくご存じでしたね」
長身で金髪の方が答える。ということはもう一人はアブディールだ。
「図書館などで、天使の事はよく調べていました」
サラは天使たちと戦うことを知っていて、彼女たちの情報を事前に調べていたのだ。
「ここは、私達の故郷。天国でございます」
シャムシールとアブディール
仏頂面というのだろうか、無表情ともいうべき顔つきで、じっと幸一達を見つめている。
そして互いに視線を合わせると、顔を近づけ、恋人つなぎに手を組み、今度は幸一達に視線を送りながら言い放つ。
「来ましたわ、アブディール様。私欲と欲望にまみれた俗物が──」
「そうね、シャムシール。汚れ切った存在よね。すぐに消毒して粛清しなければいけないわ」
冷静ではあるが、まるで汚ない物を見るような、軽蔑しきった表情をしているのがわかる。
その雰囲気に圧倒されそうになるが、それを抑えて幸一が二人をにらみつけ質問をする。
「俺たちはこの先に行って、魔王と大天使に会わなきゃいけないんだ。申し訳ないけれど、そこ……、どいてもらえないかな?」
すると二人は、幸一を無表情のまま見つめ、言葉を返す。
「この状況で、私達が『はいどうぞ』と素直に道を譲ると思っているのですか? 今の状況をご理解できないのですか? とんだ鈍感人間ですわ」
今までにない威圧感。おそらく実力は相当なものだろう。しかし──。
シスカの強気な質問にアルミールはうろたえる。強く腕を握り、答えを出すのに迷いを持っているのをだれもが感じていた。
「行く末を、見守りたいです。こんな状況下に至っても、結論を見いだせない私が、どのような立場になれ、戦う資格など、無いと考えています。私は、ここにいます。道はこの奥ににあります。立ち向かうというのならば、引き留めはしません。ご自由にどうぞ」
アルミールの遠目になりながらの言葉。幸一達は一瞬戸惑ってしまうが、ルナシーが警戒の表情をしながら声をかけた。
「──わかりました。では私たちは、行かせてもらいますね。未来のために」
「そうですよね。出会った時から、そんな結論が出てくると思っておりました。ではお通り下さい」
「ずいぶんと、素直ですね」
ルナシーの警戒の目つき。
「ですが覚悟しておいてください。歯向かうというのならば、彼女たちは容赦はしません。全力で戦うことになります。最悪、あなたたちが命を落とす。ということも考えられます。よろしいでしょうか?」
その言葉に一瞬言葉を詰まらせる幸一。しかし、出す答えはすでに決まっていた。
「よろしいに決まっているよ。戦死なんて、こっちは想定済なんでね」
そんなこと、今まで承知の上で戦ってきた。そんなことをいまさら聞かれたところで、彼らの答えはすでに決まっていたのだ。
現に幸一以外のイレーナやメーリングたちも、引き締まった表情で首を縦に振っていたのだ。
それを見た、アルミールは強く理解した。彼らに、そんなことを強く言っても無駄だろうと。」
すでにそんな覚悟はできているのだと。
「了解しました。愚問でしたね……。すでに命を懸けているあなたたちにとっては。ではどうぞお進みください。今までより、ずっと強くて偉大なる存在たちが、あなたたちを待ち構えています」
「──ありがとう」
「まあ、どんな強敵だろうと、この俺を敵に回して対面した瞬間、勝負は決まってしまうのだ。残念だが、貴様たちの敗北はすでに決しているのだよ」
幸一が一言礼を言うと、ヘイムが例の傲慢発言。
そして幸一達は歩を進める。遺跡の奥にある道を、彼らは進み始めた。
ランプによって照らされた、薄暗い道。
「この先、どんな風になっているのかしら?」
メーリングの疑問。それは、誰も知らない。
「メーリングさん。それは誰にもわかりません。どんな状況になっても、生き抜いて、勝利する。私たちの使命に、変わりはありません」
「──そうね、ルナシー」
彼女の言葉を、全員が理解する。必ず生き延びて、勝ってくると心に誓う。
それから数分歩くと、イレーナが道の先を指さす。
「あれ、出口じゃない?」
道の先が白く光っている。それがこの道の出口なのをここにいる全員が察する。
彼らはその場所へと歩を進める。その先には何が待っているのか、そんな疑問を胸に抱きながら。
そして出口へ。たどり着いた瞬間、あたり一面がまぶしくなり、周囲が見えなくなる。
数十秒ほどたつと、再び視界が開け始める。
気が付くと幸一達は、お花畑に立っていた。
遺跡に中にいたはずなのに、空があり、日が昇っていた。
地平線までカラフルな花が永遠と植えられているお花畑という感じがぴったりだ。どういうことかと戸惑ってしまう。
花からはオレンジやハーブなどの豊かな香りが出ていて、この花畑一帯に充満している。
「いい匂い──です」
シスカが思わずつぶやき、足元にある花を手に取る。今まで感じたことがない豊かな香り。思わず嗅ぎ続けてしまう。
予想もしなかった展開に幸一は周囲を確かめた。
すると、つんつんとサラが肩をたたいて話しかけてくる。
「幸君。彼女たち、天使なのでしょうか?」
そこにいたのは純白で真っ白なドレスを纏った二人の女性。
一人は金髪のロングヘアで長身。もう一人はその女性より頭一つ低く、茶髪でセミロングの女性だ。
いずれも、イレーナくらいの少女っぽい年齢に見える。
「あなたたちは天使シャムシールさんとアブディールさんですよね」
「ご名答です。私がシャムシールです。よくご存じでしたね」
長身で金髪の方が答える。ということはもう一人はアブディールだ。
「図書館などで、天使の事はよく調べていました」
サラは天使たちと戦うことを知っていて、彼女たちの情報を事前に調べていたのだ。
「ここは、私達の故郷。天国でございます」
シャムシールとアブディール
仏頂面というのだろうか、無表情ともいうべき顔つきで、じっと幸一達を見つめている。
そして互いに視線を合わせると、顔を近づけ、恋人つなぎに手を組み、今度は幸一達に視線を送りながら言い放つ。
「来ましたわ、アブディール様。私欲と欲望にまみれた俗物が──」
「そうね、シャムシール。汚れ切った存在よね。すぐに消毒して粛清しなければいけないわ」
冷静ではあるが、まるで汚ない物を見るような、軽蔑しきった表情をしているのがわかる。
その雰囲気に圧倒されそうになるが、それを抑えて幸一が二人をにらみつけ質問をする。
「俺たちはこの先に行って、魔王と大天使に会わなきゃいけないんだ。申し訳ないけれど、そこ……、どいてもらえないかな?」
すると二人は、幸一を無表情のまま見つめ、言葉を返す。
「この状況で、私達が『はいどうぞ』と素直に道を譲ると思っているのですか? 今の状況をご理解できないのですか? とんだ鈍感人間ですわ」
今までにない威圧感。おそらく実力は相当なものだろう。しかし──。
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