【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第186話 この世界の、秘密
「あなたたちやサリアが、自らの運命の鎖を超え、自らの道を切り開こうとしたのを見て、私も戦おうと決めました」
シモンの体が強く光始める。そして左手をすっと上げる。
私たちの思い、永遠に輝く灯となって、その力幻出せよ
私達の竜。世界を作りし竜の一つ。感情を作りし竜カシオペア・ハート・ウイングドラゴン。
そして彼女の左手から膨大な魔力が巨大な柱となって出現する。
その光は姿を変え、巨大な竜となる。
大型魔獣「ブリューナク」と同じくらい巨大な強く黄色に光る竜。
その姿に幸一達は目を丸くする。そして一筋の希望が流れ始めた。
「お願いします。私に力を貸してください。こんな私が言うのも起こ蛾しいかもしれません。しかしそれでも叫びます。サリアやあなたたち、全員の未来のために、力を」
「わかってるよ。貸すに決まってるだろ。そのためにここにいるんだ」
「当たり前じゃない。私たちの世界、絶対に守り抜いて見せる!」
「幸君。メーリング。絶対三人で勝とう!」
サラがそう叫び。三人が魔力を竜に込めようとするしかし──。
「うそっ──」
いくら力を入れようとしても、身体は全く動かない。それほどまでに彼女は極限状態で戦っていたのだ。
(力に、なりたい。なんでここで──)
ここまで来て足を引っ張ってしまうのか。彼女が無念の心で瞳から涙を流し始めたその時──。
「大丈夫。お前には俺がいる!」
メーリングの体を、幸一とサラがぎゅっと抱きかかえる。
三人は手をぎゅっと合わせる。そして最後の力を振り絞って魔力を竜に供給し始める。
「上等だ! 俺様とお前たち、どっちが勝つか、勝負だ」
バルトロは一気に魔力の出力を上げる。彼女を包む魔力のオーラが一層強いものになる。
どうやらバルトロが動かないのを見ると「ブリューナク」に力を注いでいる間は身動きが取れないようだ。
そして幸一達の力を載せた竜は「ブリューナク」とにらみ合う。
そこには駆け引きも戦術もない。どっちのほうが強い思いなのか、それだけだ。
(頼む。俺たちは勝ちたい)
(私たちは、絶対に勝つ)
幸一達の想いを乗せた竜は「ブリューナク」へと突っ込んでいく。
ブリューナクは竜をめがけて殴り掛かる。
そしてその拳と竜が激突。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
耳が張り裂けそうな轟音に大地が引き裂かれそうなほどの揺れがこの地一帯に響き渡る。
大きな爆発。
「勝ったのは、どっちなの?」
この場にいた全員が両者が衝突した場所に視線を送る。
勝敗は、一瞬だった。
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!
ブリューナクは断末魔の叫び声を上げながら蒸発するように消滅していく。
「私たち、勝ったの?」
その姿にサラが思わず声を漏らす。
「そうみたいね。あれをみればわかるわ」
バルトロが力を失ったようにばたりと倒れ込んだ。幸一達との激闘。そして「ブリューナク」を召喚ですべての魔力を使い切っていたのだ。
何とか立ち上がろうと指先や足に力を入れているのが四人の視界に入るが。ぴくぴくと四肢が動くだけで、起き上がることすらできなかった。
「私とお前達、世界を作る程の力を持つ天使と、所詮私達の作った世界、その手のひらで転がっているだけの人間。気力や勢い程度ではひっくりかえせるはずのない力。それがひっくり返されるなんてよ──」
もう立てないのを悟ったのか、あおむけになり、黒い雲が消え、徐々に晴れていく空を視界にとらえながら悔しそうにつぶやく。
「なあ、シモン、バルトロ、聞きたいことがあるんだけれどいいか?」
「わかりました。何ですか?」
「メイドの土産だ。どうせ俺の体はもう持たない、聞いてやるよ」
幸一の質問に態度はどうあれ二人は首を縦に振る。
「以前であったバルトロって天使もそうだけど、なんで天使が魔王たちの味方をしているのか知りたい」
「それ、私も気にな──、あっ!」
メーリングはすべての力を使い切ってしまったのか、その場にへたり込んでしまう。慌ててサラと幸一が寄ってきてメーリングとを支え、ゆっくりと座らせる。
「ありがとう──」
メーリングが座り込むと、シモンが悲しい表情になり、うつむき始める。目にはうっすらと涙。そしてゆっくりと口を開き始めた。
「わかりました。すべて、私が話します」
表情からも、口にするのも嫌だという気持ちがひしひしと伝わってくる。
「天使の中で内紛が起きているのです。この世界とともに歩むか、それとも見捨てて全てを滅ぼすべきか」
「えっ──」
その言葉に三人は驚愕する。
そしてシモンの瞳から涙がこらえきれなくなりぽろぽろと零れ落ちてしまう。
「俺たちはな、何千年も前から、この世界の人間たちと交流を続けていたんだ」
ぶっきらぼうな口調で代わりに話し始めたのはバルトロだ。
シモンは涙をぬぐった後、説明を再開し始める。
「大天使は俺たち天使がこの世界の生物に危害を加えてはならないという制約をつけた」
「どうして?」
「メーリング、俺たちはこの世界の住民ではない。直接手を出し続けていると、人間たちは天使たちに依存して自ら歩む考えをなくしてしまう。俺たち天使は世界を導くのではなく、背中を押してそれを救おうとする闇を排除する助けをすることが使命。俺たちの上にいる大天使がそう判断したんだ」
「悪をすべて滅ぼし、だれもが平和に、当たり前に暮らせる『理想の世界』。それを目指して、私達は『勇者』の背中を支え、時に助言を、時に加護の心を持ち、世界から脅威を取り除いてきました」
そしてシモンの表情が再び暗くなる。
シモンの体が強く光始める。そして左手をすっと上げる。
私たちの思い、永遠に輝く灯となって、その力幻出せよ
私達の竜。世界を作りし竜の一つ。感情を作りし竜カシオペア・ハート・ウイングドラゴン。
そして彼女の左手から膨大な魔力が巨大な柱となって出現する。
その光は姿を変え、巨大な竜となる。
大型魔獣「ブリューナク」と同じくらい巨大な強く黄色に光る竜。
その姿に幸一達は目を丸くする。そして一筋の希望が流れ始めた。
「お願いします。私に力を貸してください。こんな私が言うのも起こ蛾しいかもしれません。しかしそれでも叫びます。サリアやあなたたち、全員の未来のために、力を」
「わかってるよ。貸すに決まってるだろ。そのためにここにいるんだ」
「当たり前じゃない。私たちの世界、絶対に守り抜いて見せる!」
「幸君。メーリング。絶対三人で勝とう!」
サラがそう叫び。三人が魔力を竜に込めようとするしかし──。
「うそっ──」
いくら力を入れようとしても、身体は全く動かない。それほどまでに彼女は極限状態で戦っていたのだ。
(力に、なりたい。なんでここで──)
ここまで来て足を引っ張ってしまうのか。彼女が無念の心で瞳から涙を流し始めたその時──。
「大丈夫。お前には俺がいる!」
メーリングの体を、幸一とサラがぎゅっと抱きかかえる。
三人は手をぎゅっと合わせる。そして最後の力を振り絞って魔力を竜に供給し始める。
「上等だ! 俺様とお前たち、どっちが勝つか、勝負だ」
バルトロは一気に魔力の出力を上げる。彼女を包む魔力のオーラが一層強いものになる。
どうやらバルトロが動かないのを見ると「ブリューナク」に力を注いでいる間は身動きが取れないようだ。
そして幸一達の力を載せた竜は「ブリューナク」とにらみ合う。
そこには駆け引きも戦術もない。どっちのほうが強い思いなのか、それだけだ。
(頼む。俺たちは勝ちたい)
(私たちは、絶対に勝つ)
幸一達の想いを乗せた竜は「ブリューナク」へと突っ込んでいく。
ブリューナクは竜をめがけて殴り掛かる。
そしてその拳と竜が激突。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
耳が張り裂けそうな轟音に大地が引き裂かれそうなほどの揺れがこの地一帯に響き渡る。
大きな爆発。
「勝ったのは、どっちなの?」
この場にいた全員が両者が衝突した場所に視線を送る。
勝敗は、一瞬だった。
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!
ブリューナクは断末魔の叫び声を上げながら蒸発するように消滅していく。
「私たち、勝ったの?」
その姿にサラが思わず声を漏らす。
「そうみたいね。あれをみればわかるわ」
バルトロが力を失ったようにばたりと倒れ込んだ。幸一達との激闘。そして「ブリューナク」を召喚ですべての魔力を使い切っていたのだ。
何とか立ち上がろうと指先や足に力を入れているのが四人の視界に入るが。ぴくぴくと四肢が動くだけで、起き上がることすらできなかった。
「私とお前達、世界を作る程の力を持つ天使と、所詮私達の作った世界、その手のひらで転がっているだけの人間。気力や勢い程度ではひっくりかえせるはずのない力。それがひっくり返されるなんてよ──」
もう立てないのを悟ったのか、あおむけになり、黒い雲が消え、徐々に晴れていく空を視界にとらえながら悔しそうにつぶやく。
「なあ、シモン、バルトロ、聞きたいことがあるんだけれどいいか?」
「わかりました。何ですか?」
「メイドの土産だ。どうせ俺の体はもう持たない、聞いてやるよ」
幸一の質問に態度はどうあれ二人は首を縦に振る。
「以前であったバルトロって天使もそうだけど、なんで天使が魔王たちの味方をしているのか知りたい」
「それ、私も気にな──、あっ!」
メーリングはすべての力を使い切ってしまったのか、その場にへたり込んでしまう。慌ててサラと幸一が寄ってきてメーリングとを支え、ゆっくりと座らせる。
「ありがとう──」
メーリングが座り込むと、シモンが悲しい表情になり、うつむき始める。目にはうっすらと涙。そしてゆっくりと口を開き始めた。
「わかりました。すべて、私が話します」
表情からも、口にするのも嫌だという気持ちがひしひしと伝わってくる。
「天使の中で内紛が起きているのです。この世界とともに歩むか、それとも見捨てて全てを滅ぼすべきか」
「えっ──」
その言葉に三人は驚愕する。
そしてシモンの瞳から涙がこらえきれなくなりぽろぽろと零れ落ちてしまう。
「俺たちはな、何千年も前から、この世界の人間たちと交流を続けていたんだ」
ぶっきらぼうな口調で代わりに話し始めたのはバルトロだ。
シモンは涙をぬぐった後、説明を再開し始める。
「大天使は俺たち天使がこの世界の生物に危害を加えてはならないという制約をつけた」
「どうして?」
「メーリング、俺たちはこの世界の住民ではない。直接手を出し続けていると、人間たちは天使たちに依存して自ら歩む考えをなくしてしまう。俺たち天使は世界を導くのではなく、背中を押してそれを救おうとする闇を排除する助けをすることが使命。俺たちの上にいる大天使がそう判断したんだ」
「悪をすべて滅ぼし、だれもが平和に、当たり前に暮らせる『理想の世界』。それを目指して、私達は『勇者』の背中を支え、時に助言を、時に加護の心を持ち、世界から脅威を取り除いてきました」
そしてシモンの表情が再び暗くなる。
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