【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第147話 最後の力
「イレーナさん、私も戦います」
「俺もだ、強大な魔獣を目の前にして──、背を向ける事は出来ない!!」
シスカとルーデルも立ちあがり叫ぶ。もちろんハッタリだ。魔力をほとんど使い戦うすべなどない。しかし彼に引くと言う選択肢はない──。
三人が自らの命をなげうってでも立ち向かう、そう心に決め相手をじっと見つめたその時──。
目の前に一人の人物が現れる。
「あ、あれは──」
一方幸一。
とりあえず周囲を見回す。
そして眼前にある見たこともないくらい大きくて邪悪な魔獣の姿、とイレーナ、ルーデル、シスカのボロボロになっている姿。
「魔獣、しかも俺がここにいた時より強くなってる──」
「フィリポが力を与えてパワーアップしているの」
イレーナとシスカが今までのこっちの事について話し始める。
三人で力を合わせて何とかトリシュ―ラを撃破したこと、そして直後にフィリポが再び現れトリシュ―ラを大幅に強化、そして自分たちにもう戦えるだけの力が残っていないということ。
それを聞くと幸一もうつむいて言葉を返し始める。自分と青葉の戦いのこと、そして……。
「俺は、青葉に勝った。青葉は──最後まで俺の事を想ってくれて、去っていったよ……」
「やっぱり……」
イレーナは目にうっすらと涙を浮かべがっくりと肩を落とす。彼女が敵になってしまった時点で覚悟はしていたし、この場に幸一だけが帰って来た時点でそのような結末になっていたのは心の中では理解していたがいざ現実になると悲しくなってしまっていた。
イレーナがそんな思いでいるとどこからともなく声が聞こえ始める、もういないはずの彼女の声が──。
「幸君、イレーナ、何悲しい表情してんのよ」
「あ、青葉、どこにいる???」
突然の青葉の声に驚愕し左右を見回す幸一。そして数秒するとその声の出所に気付き左ポケットからあれを取り出す。
最後に青葉から受け取った青い宝石。そこから声がしていたのだった。
さらに青葉の声が幸一達に話しかける。
「幸君、勇者でしょ。あきらめちゃだめよ、戦わなくちゃ」
「でも、俺にはもう力が──」
うなだれる幸一、彼もまた青葉との死闘で自らの魔力をほとんど使い切ってしまい巨大な魔獣と戦う力は残っていない。
すると宝石から青葉はそれを見透かしていたように言葉を返してくる。
「わかっているわ。あれだけ私と戦ったんだもん。私の最後の力この宝石に詰めておいたわ。使って──」
すると幸一は感じ始める。宝石からじわじわと暖かい力を──。
「確かに感じる。暖かくて強い力──、これなら戦える!!」
幸一は再びトリシュ―ラに視線を送る。再び戦う決意をして立ち向かおうとすると。
「幸君、帰ってきたんだ──」
現れたのはサラと数名の警部兵であった。一度目のトリシュ―ラの対峙、そして二度目の出現をみてイレーナ達の救助が必要になるかもしれないと考えここに来たのだった。
「私もトリシュ―ラがもう一回現れるなんて想定外でした。ひょっとしたらイレーナちゃん達も同じかもしれないと思ってここに来ました」
そしてサラはボロボロになったイレーナ達を見て本来の目的を果たそうとする。
「幸君はまだ戦えるみたいですね。それなら幸君の邪魔にならないように、ここから去りましょう。動けないなら私たちが運びます」
すでにイレーナ達は魔力を使い尽くしていて戦力になど到底なれない。足手まといになるばかりか人質にさせ彼の足を引っ張ってしまう可能性すらある。
「まあ、仕方があるまい。俺達がここにいても足手まといにしかならないだろう。悔しいがここは引くのが上策だ」
納得がいかない様子だがルーデルも渋々首を縦に振る。出来ることが無い以上それ以外にやることが無いと歯ぎしりをしながら立ちあがる。
シスカとイレーナもそれに続く。
「幸君、その……頑張って。勝って!!」
「──わかった。ありがとうイレーナ、絶対勝つよ」
イレーナの言葉に微笑を浮かべながら言葉を返す。
そして三人はサラの言葉通りゆっくりとこの場を去っていった。
そして幸一はトリシュ―ラと相対する。
心の中で声が聞こえる。青い宝石が光り出す、その声の主は──。
「青葉、どうして??」
困惑してじっと宝石を見つめる。するとさらに脳裏に青葉の声が聞こえ出す。
「私の最後の力よ。一度だけ私の術式があなたでも使えるようになっているわ」
「最後の力……」
最後の言葉、その一言に額に汗を浮かべためらいの表情を見せる幸一。
(最後の力、という事はそれを使ったら青葉は……)
そんな考えを見透かしているような青葉の声。幸一には青葉が笑顔で自信満々に話している姿が想像できた。
「なーにためらっているのよ。幸君にはあるでしょ。守らなきゃいけない人達が──。私はもういないの、だから遠慮なく使いなさい、これは私からの……」
「最後の命令よ──」
その言葉に幸一は覚悟を決める。青葉の期待にこたえるため、この世界を救うためにこの力を救うと。
その想いに答えるためにまずは宝石をギュっと強く握る。
禁断なる必殺の力、永久の戒めとして君臨し、その力、解放せよ!!
「アブソルートゼロ・オールライト・フリーズ」
そして今までにないくらい青い宝石が強く光り始める。
「俺もだ、強大な魔獣を目の前にして──、背を向ける事は出来ない!!」
シスカとルーデルも立ちあがり叫ぶ。もちろんハッタリだ。魔力をほとんど使い戦うすべなどない。しかし彼に引くと言う選択肢はない──。
三人が自らの命をなげうってでも立ち向かう、そう心に決め相手をじっと見つめたその時──。
目の前に一人の人物が現れる。
「あ、あれは──」
一方幸一。
とりあえず周囲を見回す。
そして眼前にある見たこともないくらい大きくて邪悪な魔獣の姿、とイレーナ、ルーデル、シスカのボロボロになっている姿。
「魔獣、しかも俺がここにいた時より強くなってる──」
「フィリポが力を与えてパワーアップしているの」
イレーナとシスカが今までのこっちの事について話し始める。
三人で力を合わせて何とかトリシュ―ラを撃破したこと、そして直後にフィリポが再び現れトリシュ―ラを大幅に強化、そして自分たちにもう戦えるだけの力が残っていないということ。
それを聞くと幸一もうつむいて言葉を返し始める。自分と青葉の戦いのこと、そして……。
「俺は、青葉に勝った。青葉は──最後まで俺の事を想ってくれて、去っていったよ……」
「やっぱり……」
イレーナは目にうっすらと涙を浮かべがっくりと肩を落とす。彼女が敵になってしまった時点で覚悟はしていたし、この場に幸一だけが帰って来た時点でそのような結末になっていたのは心の中では理解していたがいざ現実になると悲しくなってしまっていた。
イレーナがそんな思いでいるとどこからともなく声が聞こえ始める、もういないはずの彼女の声が──。
「幸君、イレーナ、何悲しい表情してんのよ」
「あ、青葉、どこにいる???」
突然の青葉の声に驚愕し左右を見回す幸一。そして数秒するとその声の出所に気付き左ポケットからあれを取り出す。
最後に青葉から受け取った青い宝石。そこから声がしていたのだった。
さらに青葉の声が幸一達に話しかける。
「幸君、勇者でしょ。あきらめちゃだめよ、戦わなくちゃ」
「でも、俺にはもう力が──」
うなだれる幸一、彼もまた青葉との死闘で自らの魔力をほとんど使い切ってしまい巨大な魔獣と戦う力は残っていない。
すると宝石から青葉はそれを見透かしていたように言葉を返してくる。
「わかっているわ。あれだけ私と戦ったんだもん。私の最後の力この宝石に詰めておいたわ。使って──」
すると幸一は感じ始める。宝石からじわじわと暖かい力を──。
「確かに感じる。暖かくて強い力──、これなら戦える!!」
幸一は再びトリシュ―ラに視線を送る。再び戦う決意をして立ち向かおうとすると。
「幸君、帰ってきたんだ──」
現れたのはサラと数名の警部兵であった。一度目のトリシュ―ラの対峙、そして二度目の出現をみてイレーナ達の救助が必要になるかもしれないと考えここに来たのだった。
「私もトリシュ―ラがもう一回現れるなんて想定外でした。ひょっとしたらイレーナちゃん達も同じかもしれないと思ってここに来ました」
そしてサラはボロボロになったイレーナ達を見て本来の目的を果たそうとする。
「幸君はまだ戦えるみたいですね。それなら幸君の邪魔にならないように、ここから去りましょう。動けないなら私たちが運びます」
すでにイレーナ達は魔力を使い尽くしていて戦力になど到底なれない。足手まといになるばかりか人質にさせ彼の足を引っ張ってしまう可能性すらある。
「まあ、仕方があるまい。俺達がここにいても足手まといにしかならないだろう。悔しいがここは引くのが上策だ」
納得がいかない様子だがルーデルも渋々首を縦に振る。出来ることが無い以上それ以外にやることが無いと歯ぎしりをしながら立ちあがる。
シスカとイレーナもそれに続く。
「幸君、その……頑張って。勝って!!」
「──わかった。ありがとうイレーナ、絶対勝つよ」
イレーナの言葉に微笑を浮かべながら言葉を返す。
そして三人はサラの言葉通りゆっくりとこの場を去っていった。
そして幸一はトリシュ―ラと相対する。
心の中で声が聞こえる。青い宝石が光り出す、その声の主は──。
「青葉、どうして??」
困惑してじっと宝石を見つめる。するとさらに脳裏に青葉の声が聞こえ出す。
「私の最後の力よ。一度だけ私の術式があなたでも使えるようになっているわ」
「最後の力……」
最後の言葉、その一言に額に汗を浮かべためらいの表情を見せる幸一。
(最後の力、という事はそれを使ったら青葉は……)
そんな考えを見透かしているような青葉の声。幸一には青葉が笑顔で自信満々に話している姿が想像できた。
「なーにためらっているのよ。幸君にはあるでしょ。守らなきゃいけない人達が──。私はもういないの、だから遠慮なく使いなさい、これは私からの……」
「最後の命令よ──」
その言葉に幸一は覚悟を決める。青葉の期待にこたえるため、この世界を救うためにこの力を救うと。
その想いに答えるためにまずは宝石をギュっと強く握る。
禁断なる必殺の力、永久の戒めとして君臨し、その力、解放せよ!!
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