【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね

静内 燕

第140話 規格外の魔獣

シュウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──。

二人の姿が消えるように消滅していった。


「これで脅威の一つは消えた。奴の実力を信じるしかあるまい」

そしてルーデル達は巨大魔獣と相対する。

グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

天までも轟かせるようなとてつもない雄たけび声、超大型魔獣「トリシュ―ラ」の姿。

すでにそして街の郊外では首から上が無い低級魔獣「デュラハン」の大軍の数々が一般冒険者達と戦っている。


「行こう……」

イレーナがそう話すと三人は移動を始める。
しばらく移動を続け、そして……。


「すごい大きい……。見た事、無いです」

住宅街だった郊外の場所に到達。とうとう眼前まで迫った。その姿をまじかで見たシスカが思わず息をのむ。
強大な敵。超巨大魔獣「トリシュ―ラ」の姿があった。

グォォォォォォォォォォォォォォォ」!!

今までにないような雄たけび声を上げ地面が揺れる。それだけでも他の魔獣とは全く違う強さを持つということが理解できる。


「ルーデル……さん」

シスカは感じていた。彼からあふれるばかりの殺気と敵意を。今までも強い敵を目の前にして険しい態度になる事はあった。

しかしここまで強い覚悟をした表情は初めてだった。
彼はそんな表情を浮かべ滅ぼされた故郷の事を思い出しながらつぶやく。

「長い間平和が続き対抗組織も無かった俺達は圧倒的な強さの前になすすべもなく壊滅し故郷も、そこにすむ人々も失った」


気づけば隣にいたイレーナもシスカも彼の言葉を食い入るように聞いていた。

「そしてそんな過酷な状況の中で絶対に故郷を守り奪い返すという鉄の意思と、鋼の信念を持った者だけがこの地獄を生き抜く事が出来るのだと」




「そして、いつまでも無抵抗でなぎ倒され続ける俺たちではない」


キッ──!!



「仲間は──、必ず奪い返す」

「獰猛なる雷よ。逆境を切りぬけしその力覚醒させ、反撃の翼翻し、殲滅せよ!!」

反逆の意思を貫きし槍、スピリット・シェイブ・ソード!!

ルーデルは自身の兵器を召喚、イレーナとシスカもそれに続くように自身の兵器を召喚する。

希望を束ねる力、光の化身となりてその強さ、躍動せよ

アストログラフ・ソウル・スターライト・ランス



聖なる加護の光、今闇を打ち破る力となりて顕現せよ
エンシェント・ホーリー・アネーロ


シスカの兵器は白色をした指輪である。そのため近距離の戦闘には向かず遠距離からの攻撃役となっていた。そして戦いが始まる。
まずはイレーナが二人の元を離れ移動を開始、二人がトリシュ―ラの視界に入る。


グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ──!!!!

「トリシュ―ラ」は自らの拳に魔力を込めルーデルとシスカめがけて振り下ろす。


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!

二人は左右に攻撃をかわす。その攻撃は今までにないくらい地響きを上げ衝撃波が二人を襲って来たほどだった。

そしてトリシュ―ラが拳を放った場所はまるで隕石が落ちて来たように焼け後になっていた。

「まともにくらったら、勝負はついてしまうでしょうね……」


「ああ──」

圧倒的な威力を実感、少しでも気を抜いたり油断したらそこで勝負はついてしまうだろうと実感。
作戦に映すためルーデルはシスカにアイコンタクトを送る。


「大地を引き裂く光、今永久に放つ力となり突きぬけろモノケロース・デザティール」


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!

シスカの攻撃がトリシュ―ラに直撃、大きな轟音が鳴り響く。
しかし──。



グガァァァ──! グォォォォォォォォォ!


全くダメージを受けていない、各個バラバラに攻撃しただけではトリシュ―ラに太刀打ちできないというのがこれで三人が理解した。


次はイレーナ。接近し一気に飛びあがり。

時空をつかさどる力、闇に立ち向かう勇気となりて、力なきものへ、希望となる力を!!
ユリシーズ・リミテット・スラッシャー


強力な斬撃をトリシュ―ラ当てようとする、しかし──。


キィィィィィン!!

トリシュ―ラは再び自らの前に障壁を展開。
障壁は非常に硬くイレーナの斬撃をもろともしない。

(嘘……、こんなに硬いの?)


その防御の硬さに驚くイレーナ。そしてトリシュ―ラは反撃に出る。三つある首の一つ、右の顔の口が真っ黒に光り始める。

(まずい──)

イレーナが自身の危険を察知。魔力を全身に込めて身体を全力で右方向に移動。
そしてトリシュ―ラの攻撃、右側の口から強力な光線を吐く。

イレーナはその攻撃をギリギリでかわす。


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!


その光線が地面に直撃し大爆発を起こす。その威力は今まで見てきた中でもかなり強力な攻撃だということが理解しイレーナに危機感が生まれた。もしもこの攻撃をかわすことが出来なかったら一瞬で彼女の魔力が尽き肉体は消滅していただろう。危機一髪だった状況にイレーナはひやっとし汗を流す。



それはシスカとルーデルも一緒だった。とにかく連携して相手の攻撃の直撃を防ぎ何とか有効打を防ぎ、何とか相手に致命傷を与える事、それの方法を考え互いを見つめ合う。


「分かりました、私がまず仕掛けます。そしたら二人は──」


その言葉にイレーナとルーデルは首を縦に振る。


そしてその話が終わり配置につくとシスカの怒涛の攻撃が始まる。

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