【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第134話 裏切り
そして2人の会話が終わる。具体的な内容に関しては結局聞く事は出来なかった。
「では、あなたのご命運を祈ります。ミスグロリア」
「ええ。次は勝利の宴ね」
二人は音声を記録した事を確認。これでとりあえずこの仕事は終わったと感じる。
二人の間に流れるどこかほっとしたような雰囲気。共に気の抜けた表情をしていると緊張が取れたのか青葉が俺に話しかけてくる。
「あいつ、私のライバルだったの。私と、幸君と同じ世界から来た人物よ。あの名前はこの世界で怪しまれないための偽名。本当の名前は近衛緑よ」
「え──」
幸一はその言葉に戦慄を走らせる。確かに青葉や以前あった山縣のように幸一のように自分以外にもこの世界に転移してきた人物はほかにもいる。しかし魔王軍に回ったというのが意外だった。
「あいつ、元々金もうけや名誉のためなら善悪を問わず何でもやるというのがスタイルだったわ。以前私は彼女と話した事があるんだけど、すぐに話すのが嫌になったわ。金額が誠意、心なんて銅貨一枚ほどの価値もないって豪語していたのを覚えているわ」
(そんな奴だったのか──)
「それ以降まともな交流もなし。噂によると闇商人たちとつるんで悪事を働いたりろくな事をしていないわ」
複雑な気持ちになる幸一。この世界に来て魔王軍に味方する人間、目的のためなら誰にだって味方になるということ。そしてそう考えていると一つの疑問に気づく。
「じゃあ、その天使もそれを理解していてこの世界に送ったってことだよな」
「──そうよ」
それはそうだ、俺達は一人でこの世界に来たわけじゃない。俺達を元の世界で選別し適性を見極めそれをもとにこの世界に導いた天使がいる。ユダがそうだったように俺達は天使の仲介が無ければこの世界に来る事は出来ない。
「多分その天使もグロリアと同じタイプなのね。目的のためならどんな手段も選ばない。それこそ本来敵であった魔王軍達と手を組むことだっていとわない」
「そ、そういうことか……」
(つまり敵はあいつだけでなくその後ろにいる天使も相手にしなきゃいけないという事だな)
厄介なことになったと幸一は考える。俺達のように天使に仲介されこの世界に来たということはあちらも俺や俺の青葉の後ろに天使がいる事を知っている。
そしてこっちの目的も知っているということだ。
「今度の襲撃は今までより大きいと聞く。もしかしてその襲撃とこいつらが関係あるのかもしれない」
「その可能性は高いわ。ベストを尽くしましょう、幸君」
廊下を歩きながら同調する二人。長い緊張から解放され、ほっとした雰囲気が流れる。そして今までの文脈から幸一はとある事実を理解し驚く。
「っというか知ってたの? あいつが魔王軍とつながりがあるって」
「ええ、前に初めてった時豪語してたわ。あの時は記録装置を持っていない時だったから私はどうする事も出来なかったけど──」
悔しそうに握りこぶしをしながら青葉が囁く。だがこれは事実だ。
今国王にグロリアが裏切り者だと訴えても話しを聞いただけでは証拠がないとグロリアに言われるとこっちに打つ手がなくなってしまう。証拠を納めなければいけない以上こちらの作戦成功とは言い難い。
それだけに今回は大金星だ。このダイヤルでこいつが魔王軍と関わっているという証拠を記録したのだから。
「じゃあ、次は何とかしてみんなでこいつらを倒そう」
「二人の愛の力であいつら、倒しちゃいましょ」
「みんなで、ね──。みんなで」
幸一が冷静に青葉の言葉を聞き流して訂正する。やはり予想通りだった。自分と同じ世界から来た人がここにすんでいる人を裏切り魔王軍に味方している。その事実をごまかすためにいつも以上にテンションを上げていたのだろう。
いつも周りへの気遣いを忘れない、心配をかけまいとする青葉の優しさでもあった。
そして幸一はこぶしを握りながら強く覚悟を決める。
彼女のために、みんなのために必ず勝利すると──。
グロリアたちがこの部屋を去り青葉と二人っきりになる。安全のため二人がここを出るのはメイドの合図を待ってということになっている、そしてそれももう少し、。さっきまでの緊張した雰囲気は薄れ会話も弾み始める。
「でも、幸君ともっと一緒にいたかったな──。また私はやりたい。幸君と密着して牛~~ってしたい」
「俺は……出来れば勘弁してほしいな。理性が持ちそうにない」
コンコンと机を誰かが叩く。侍女の人が周りに人ががいなくなった時に送る合図だ。幸一はそっと机の側面から脱出。警戒しているのか左右を確認する。
「協力ありがとうございます。これで作戦は終了です」
侍女は何も言わずコクリとうなづく。なにはともあれこれでいつもの部屋に帰れると考えこの場を後にする。
「じゃあ帰ろうか」
「ま、みんな帰っているだろうしね」
そう言って二人はいつもの部屋に帰っていく。すると──。
ギュッ──。
何と青葉が突然腕を組んできたのだ。突然の事態に心臓が爆発しそうになる。この姿をイレーナに見られたらイレーナが本気で怒り嵐が吹きかねない。
「ちょ、こんな場所でやめてよ青葉」
「こんな場所? じゃあどこだったらいいの? 今すぐそこに行くから案内して」
「そ、そういう問題じゃなくて……」
幸一は何とかノリノリな青葉を説得する。何とか矛を収めてもらい二人はさらに道を進む。
いつまでもみんなとこんな仲の良いまま、楽しい日々を過ごしたい。
幸一はそんな事を考えながらいつもの部屋にたどり着いた。
そして運命の日。
          
「では、あなたのご命運を祈ります。ミスグロリア」
「ええ。次は勝利の宴ね」
二人は音声を記録した事を確認。これでとりあえずこの仕事は終わったと感じる。
二人の間に流れるどこかほっとしたような雰囲気。共に気の抜けた表情をしていると緊張が取れたのか青葉が俺に話しかけてくる。
「あいつ、私のライバルだったの。私と、幸君と同じ世界から来た人物よ。あの名前はこの世界で怪しまれないための偽名。本当の名前は近衛緑よ」
「え──」
幸一はその言葉に戦慄を走らせる。確かに青葉や以前あった山縣のように幸一のように自分以外にもこの世界に転移してきた人物はほかにもいる。しかし魔王軍に回ったというのが意外だった。
「あいつ、元々金もうけや名誉のためなら善悪を問わず何でもやるというのがスタイルだったわ。以前私は彼女と話した事があるんだけど、すぐに話すのが嫌になったわ。金額が誠意、心なんて銅貨一枚ほどの価値もないって豪語していたのを覚えているわ」
(そんな奴だったのか──)
「それ以降まともな交流もなし。噂によると闇商人たちとつるんで悪事を働いたりろくな事をしていないわ」
複雑な気持ちになる幸一。この世界に来て魔王軍に味方する人間、目的のためなら誰にだって味方になるということ。そしてそう考えていると一つの疑問に気づく。
「じゃあ、その天使もそれを理解していてこの世界に送ったってことだよな」
「──そうよ」
それはそうだ、俺達は一人でこの世界に来たわけじゃない。俺達を元の世界で選別し適性を見極めそれをもとにこの世界に導いた天使がいる。ユダがそうだったように俺達は天使の仲介が無ければこの世界に来る事は出来ない。
「多分その天使もグロリアと同じタイプなのね。目的のためならどんな手段も選ばない。それこそ本来敵であった魔王軍達と手を組むことだっていとわない」
「そ、そういうことか……」
(つまり敵はあいつだけでなくその後ろにいる天使も相手にしなきゃいけないという事だな)
厄介なことになったと幸一は考える。俺達のように天使に仲介されこの世界に来たということはあちらも俺や俺の青葉の後ろに天使がいる事を知っている。
そしてこっちの目的も知っているということだ。
「今度の襲撃は今までより大きいと聞く。もしかしてその襲撃とこいつらが関係あるのかもしれない」
「その可能性は高いわ。ベストを尽くしましょう、幸君」
廊下を歩きながら同調する二人。長い緊張から解放され、ほっとした雰囲気が流れる。そして今までの文脈から幸一はとある事実を理解し驚く。
「っというか知ってたの? あいつが魔王軍とつながりがあるって」
「ええ、前に初めてった時豪語してたわ。あの時は記録装置を持っていない時だったから私はどうする事も出来なかったけど──」
悔しそうに握りこぶしをしながら青葉が囁く。だがこれは事実だ。
今国王にグロリアが裏切り者だと訴えても話しを聞いただけでは証拠がないとグロリアに言われるとこっちに打つ手がなくなってしまう。証拠を納めなければいけない以上こちらの作戦成功とは言い難い。
それだけに今回は大金星だ。このダイヤルでこいつが魔王軍と関わっているという証拠を記録したのだから。
「じゃあ、次は何とかしてみんなでこいつらを倒そう」
「二人の愛の力であいつら、倒しちゃいましょ」
「みんなで、ね──。みんなで」
幸一が冷静に青葉の言葉を聞き流して訂正する。やはり予想通りだった。自分と同じ世界から来た人がここにすんでいる人を裏切り魔王軍に味方している。その事実をごまかすためにいつも以上にテンションを上げていたのだろう。
いつも周りへの気遣いを忘れない、心配をかけまいとする青葉の優しさでもあった。
そして幸一はこぶしを握りながら強く覚悟を決める。
彼女のために、みんなのために必ず勝利すると──。
グロリアたちがこの部屋を去り青葉と二人っきりになる。安全のため二人がここを出るのはメイドの合図を待ってということになっている、そしてそれももう少し、。さっきまでの緊張した雰囲気は薄れ会話も弾み始める。
「でも、幸君ともっと一緒にいたかったな──。また私はやりたい。幸君と密着して牛~~ってしたい」
「俺は……出来れば勘弁してほしいな。理性が持ちそうにない」
コンコンと机を誰かが叩く。侍女の人が周りに人ががいなくなった時に送る合図だ。幸一はそっと机の側面から脱出。警戒しているのか左右を確認する。
「協力ありがとうございます。これで作戦は終了です」
侍女は何も言わずコクリとうなづく。なにはともあれこれでいつもの部屋に帰れると考えこの場を後にする。
「じゃあ帰ろうか」
「ま、みんな帰っているだろうしね」
そう言って二人はいつもの部屋に帰っていく。すると──。
ギュッ──。
何と青葉が突然腕を組んできたのだ。突然の事態に心臓が爆発しそうになる。この姿をイレーナに見られたらイレーナが本気で怒り嵐が吹きかねない。
「ちょ、こんな場所でやめてよ青葉」
「こんな場所? じゃあどこだったらいいの? 今すぐそこに行くから案内して」
「そ、そういう問題じゃなくて……」
幸一は何とかノリノリな青葉を説得する。何とか矛を収めてもらい二人はさらに道を進む。
いつまでもみんなとこんな仲の良いまま、楽しい日々を過ごしたい。
幸一はそんな事を考えながらいつもの部屋にたどり着いた。
そして運命の日。
          
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