【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第131話 サラの強さ
「二人とも見る目があるねぇ。こっちの魚もどうだい?」
店主の人が説明を始める。これは南国から輸入した干し肉で特別にハーブなどの香りを入れているらしい。味もおいしく遠征をおこなった時にぜひ保存食として欲しいと幸一は考えたが……。
「す、すいません。私たち、他の店も見て回りたいので、他の店を見て回ってから決めさせてください」
残念な気持ちもあったが幸一はここで引いて別の場所に行く。これ以上この人のペースに乗せられると何をされるかわからないからだ。
サラもそれについていき道をさらに歩いていく。
その後、紅茶の葉類やコーヒーの豆など、地方の携帯用の武器。変わった民族の衣類や毛皮など様々な物を見て回る。
すると五軒目くらいでサラがさっきのように幸一の服の裾を引っ張り話しかけた。
「ここちょっと見てみよう。なんかキラキラして綺麗だもん」
サラの言葉を聞いて幸一はその店に入る。
そこは雑貨屋さんという感じでいろいろな宝石を使ったものが陳列されている店だった。
「いらっしゃい。何でも見ていってくれよ」
店主が元気が良さそうな大柄で強そうな体格をしたおじさん。
サラはそのネックレスを品定めする。そして幸一の首の前でネックレスを握り彼に似あうか考え始めた。
「え?? 何で俺? いいよサラ。サラが好きなもの買えば……」
困惑する幸一にサラはフッと微笑を見せて言葉を返す。
「別にいいじゃん。幸君ももっとこういう事楽しんでみようよ。いつも真面目にやっているだけじゃ疲れるでしょ」
「ああ、そうだね。俺もいろいろ見てみるよ」
そして陳列してあるネックレスた指輪などの商品をいろいろと見てみる。
「じゃあサラはこんなネックレスがいいんじゃないかな……」
半ば照れながら幸一は売り場から一つのネックレスをサラに差し出す。
薄いエメラルド色に光ったネックレス。値段もかなりのものだ。
色は比較的地味だが、派手な色をしたものより目立ちにくい色の方がサラの控えめでお淑やかなところがとても強調されていて似合っていると幸一は強く考えた。
「へぇ~~、何か綺麗」
サラはそのネックレスをまじまじと眺め、自分がそのネックレスを付けた姿を想像する。
「じゃあ幸君の勧めたネックレスにする。信じているからね」
「はは。わかったよ」
そして幸一がそのネックレスを買おうと金貨を出し店主にネックレスとそれを買うための金貨を渡す。すると店主はお釣りを渡そうと奥へいったん歩こうとした後困った顔つきで
幸一に話しかける。
「兄ちゃん、これニセ金貨だよ」
「え? どういう事ですか?」
突然の事態に困惑する幸一。すると店主がポケットから別の金貨を出してそれと比較するように幸一に見せる。
「わかるかい兄ちゃん。偽物はね、本物に比べて文字が荒く作られているんだ、それとね……」
ペリッ──。
その行動に幸一は戦慄する。幸一が渡した金貨を店主の人が表面をはがし始めたのだ。
「これがニセ金貨の最大の特徴。表面だけ金で作られていて後は安い鉛なんさ。どっかで騙されたんだよ兄ちゃん」
唖然とする幸一。金を使っているのは表面だけ。後は重さに不自然が出ないように同じくらいの重さの金属を使ったニセ金貨、まさかそんな物があるとは──。どうすればいいか途方に暮れていると隣にいるサラが急に強気な表情になり店主に話しかける。
「ちょっと待ってください。今私見ましたよ。すり替えましたよね」
珍しいサラの強気な表情。それに少し驚く幸一。そしてこの店の会計の場所を指差して叫ぶ。
「な、何だい嬢ちゃんいきなり。ニセの金貨ってのは本当だよ。あんたもちゃんと確認したろ」
「そこじゃないです。確かにその金貨は偽物です。でもその金貨、元々幸君が持っていた金貨じゃないですよね」
サラの指摘にこの場が凍りつく。とりあえずどういうことなのか幸一が聞いてみる。
「ど、どういうこと?」
「すり替えましたよね、会計の時。幸君が持っていた金貨とその場所にあった偽物の金貨」
「な、な、何を言っているんだい嬢ちゃん。何か根拠でもあるのかい?」
大柄でいかにも強そうな体をした男に引かずに食ってかかるサラ。
そうだ、サラは人見知りで控えめな性格。見た目も一見するとか弱く、おとなしそうに見えるが本当は芯の強い性格でここぞというときは頑固で意見を変えない、正義感の強い性格だ。
そしてサラは早足でおじさんがお釣りを渡していたところに移動。おじさんははっとしてそれはやめろと叫ぶ。しかし一歩遅くサラはその場所にある引き出しを次々に開く。そして──。
「予想通りです。何でこんなにニセ金貨があるんですか?」
サラが開けた引き出しに幸一は驚く。
そこにはさっきあったような表面だけ金属のニセ金貨が何百枚も存在していた。サラが表面を少し削ってみるとすぐに金ではない黒い金属の部分が露出していた。
「こんなニセ金貨が大量に、偶然にしてはおかしくないですか?」
「ふざけんな」
おじさんはサラに怒りも声をあらわにする。
おじさんの罵声にサラは動じない。
「大事にしますよ。叫びますよ」
「うっ、貴様……」
おじさんは大事にするという言葉に何も言えなくなり黙ってしまう。
この商店で知られれば確実に信用を失いここから追放されることもあり得る。それだけでなく人をだましてニセ金貨を押しつける人物と風評されればまともな相手とは取引されなくなってしまう。
彼もここで商人としての信用を失うわけにはいかず嫌々ながらも矛を収め買う予定だったネックレスとお釣りを渡す。
「俺の負けだよ穣ちゃん。このネックレス受け取りな」
店主の人が説明を始める。これは南国から輸入した干し肉で特別にハーブなどの香りを入れているらしい。味もおいしく遠征をおこなった時にぜひ保存食として欲しいと幸一は考えたが……。
「す、すいません。私たち、他の店も見て回りたいので、他の店を見て回ってから決めさせてください」
残念な気持ちもあったが幸一はここで引いて別の場所に行く。これ以上この人のペースに乗せられると何をされるかわからないからだ。
サラもそれについていき道をさらに歩いていく。
その後、紅茶の葉類やコーヒーの豆など、地方の携帯用の武器。変わった民族の衣類や毛皮など様々な物を見て回る。
すると五軒目くらいでサラがさっきのように幸一の服の裾を引っ張り話しかけた。
「ここちょっと見てみよう。なんかキラキラして綺麗だもん」
サラの言葉を聞いて幸一はその店に入る。
そこは雑貨屋さんという感じでいろいろな宝石を使ったものが陳列されている店だった。
「いらっしゃい。何でも見ていってくれよ」
店主が元気が良さそうな大柄で強そうな体格をしたおじさん。
サラはそのネックレスを品定めする。そして幸一の首の前でネックレスを握り彼に似あうか考え始めた。
「え?? 何で俺? いいよサラ。サラが好きなもの買えば……」
困惑する幸一にサラはフッと微笑を見せて言葉を返す。
「別にいいじゃん。幸君ももっとこういう事楽しんでみようよ。いつも真面目にやっているだけじゃ疲れるでしょ」
「ああ、そうだね。俺もいろいろ見てみるよ」
そして陳列してあるネックレスた指輪などの商品をいろいろと見てみる。
「じゃあサラはこんなネックレスがいいんじゃないかな……」
半ば照れながら幸一は売り場から一つのネックレスをサラに差し出す。
薄いエメラルド色に光ったネックレス。値段もかなりのものだ。
色は比較的地味だが、派手な色をしたものより目立ちにくい色の方がサラの控えめでお淑やかなところがとても強調されていて似合っていると幸一は強く考えた。
「へぇ~~、何か綺麗」
サラはそのネックレスをまじまじと眺め、自分がそのネックレスを付けた姿を想像する。
「じゃあ幸君の勧めたネックレスにする。信じているからね」
「はは。わかったよ」
そして幸一がそのネックレスを買おうと金貨を出し店主にネックレスとそれを買うための金貨を渡す。すると店主はお釣りを渡そうと奥へいったん歩こうとした後困った顔つきで
幸一に話しかける。
「兄ちゃん、これニセ金貨だよ」
「え? どういう事ですか?」
突然の事態に困惑する幸一。すると店主がポケットから別の金貨を出してそれと比較するように幸一に見せる。
「わかるかい兄ちゃん。偽物はね、本物に比べて文字が荒く作られているんだ、それとね……」
ペリッ──。
その行動に幸一は戦慄する。幸一が渡した金貨を店主の人が表面をはがし始めたのだ。
「これがニセ金貨の最大の特徴。表面だけ金で作られていて後は安い鉛なんさ。どっかで騙されたんだよ兄ちゃん」
唖然とする幸一。金を使っているのは表面だけ。後は重さに不自然が出ないように同じくらいの重さの金属を使ったニセ金貨、まさかそんな物があるとは──。どうすればいいか途方に暮れていると隣にいるサラが急に強気な表情になり店主に話しかける。
「ちょっと待ってください。今私見ましたよ。すり替えましたよね」
珍しいサラの強気な表情。それに少し驚く幸一。そしてこの店の会計の場所を指差して叫ぶ。
「な、何だい嬢ちゃんいきなり。ニセの金貨ってのは本当だよ。あんたもちゃんと確認したろ」
「そこじゃないです。確かにその金貨は偽物です。でもその金貨、元々幸君が持っていた金貨じゃないですよね」
サラの指摘にこの場が凍りつく。とりあえずどういうことなのか幸一が聞いてみる。
「ど、どういうこと?」
「すり替えましたよね、会計の時。幸君が持っていた金貨とその場所にあった偽物の金貨」
「な、な、何を言っているんだい嬢ちゃん。何か根拠でもあるのかい?」
大柄でいかにも強そうな体をした男に引かずに食ってかかるサラ。
そうだ、サラは人見知りで控えめな性格。見た目も一見するとか弱く、おとなしそうに見えるが本当は芯の強い性格でここぞというときは頑固で意見を変えない、正義感の強い性格だ。
そしてサラは早足でおじさんがお釣りを渡していたところに移動。おじさんははっとしてそれはやめろと叫ぶ。しかし一歩遅くサラはその場所にある引き出しを次々に開く。そして──。
「予想通りです。何でこんなにニセ金貨があるんですか?」
サラが開けた引き出しに幸一は驚く。
そこにはさっきあったような表面だけ金属のニセ金貨が何百枚も存在していた。サラが表面を少し削ってみるとすぐに金ではない黒い金属の部分が露出していた。
「こんなニセ金貨が大量に、偶然にしてはおかしくないですか?」
「ふざけんな」
おじさんはサラに怒りも声をあらわにする。
おじさんの罵声にサラは動じない。
「大事にしますよ。叫びますよ」
「うっ、貴様……」
おじさんは大事にするという言葉に何も言えなくなり黙ってしまう。
この商店で知られれば確実に信用を失いここから追放されることもあり得る。それだけでなく人をだましてニセ金貨を押しつける人物と風評されればまともな相手とは取引されなくなってしまう。
彼もここで商人としての信用を失うわけにはいかず嫌々ながらも矛を収め買う予定だったネックレスとお釣りを渡す。
「俺の負けだよ穣ちゃん。このネックレス受け取りな」
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