【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第99話 これでどう? 綺麗だと思うわ
「この街の宗教は天使をあがめていて、さまざまな聖地がこの街の近郊にあるの。毎年当時の日に巡礼祭りの日があって教会の地位の高い人が聖地を訪れ平和のためと祈りをささげるの」
「そんな時に襲撃、なんか運命を感じるな──」
そしてレイカが得意げに語り始める。
「ちなみにウェレンの人口の6割が信者よ。政治家たちも自分たちの支持を取り付けるために参加するわ」
「礼拝の時期に襲撃。私も何か出来過ぎていると感じてね、いろいろと調べてみたの。んで私も青葉ちゃんみたいにいろいろ潜入捜査とかやってみたんだけどね──」
「何があったの?」
青葉が興味津々に質問する。レイカは半分くらいコップに残っていたコーヒーを飲み干す。そして真剣な表情で答える。
「教会側、結構ネットワークがあるみたい、魔王軍たちのね」
そのレイカの一言に幸一達は驚愕する。王都ネウストリアでも魔王軍に協力した人間がいた。やはりここにもそういった魔王軍につく人物がいるようだった。腕を組み始めレイカは話しを続ける。
「よく兵士たちの行動を探ったり、政府の建物に夜中ひっそりと侵入したりしてるらしいわ。それだけじゃないの、その怪しい人達の事を他の兵士に聞いてみたんだけどね──、兵士に聞いたら自分たちを見るやいなやノートやメモに記録しているらしいの」
「そういうことね」
青葉がその言葉に相槌を打ち相手の真意を理解した。
「もし兵士たちの武装や動きを見ているんだと思うわ。たとえばあまり兵士たちがいない場所を調べて後でそこで拠点として利用する。とか──。警備が手薄なところを狙ってテロを狙ったり要人を狙ったりとか」
「それにシェルパの人たちの話しを聞いたりもしてみたわ。そしたらいろいろいい情報が入ったわ」
「小さな村と行き来しすぎよ。通常の倍近くの往来があるって」
「どういう事?」
イレーナが首をかしげる。すると青葉がレイカの言葉の意味を答える。
「いつもより多くの、それも見たことがない人がウェレンに流入しているってことでしょ」
「ええ、そんなところよ」
「当然シェルパの人に怪しく思われないように変装してね──」
「しっかし結構大きく動くわね……、王都の時よりきな臭いわ。絶対この巡礼祭、何かあるわ」
青葉の言葉、ここにいる全員がそう感じていた。
以前王都ネウストリアでも人間達の中に魔王軍と手を結んでいた事件があった。しかし王都でもない、北国の政治的にそこまで重要でもないこの街にこれだけ大きな動きがあるのは不思議だ。
恐らく巡礼祭の中で、そして祭っている天使や神殿と何か関係があるのだろう。イレーナやサラ、幸一も話に加わりそう結論付ける。
「まずは明後日の王家の冬至のパーティーね、そこで何かが起こるかもしれないわ。当然私も出席するわ。あなたたちも出席をするわよね?」
「こっちも出席するつもりだ。警戒はしておくよ──」
「ああそう、じゃあ今度はそこで会いましょう。この国を脅かす輩は必ず捕まえるつもりよ。そして勇者さんのハートもね」
ウィンクをするレイカ、そしてバイバイと手を振ってこの場所を去っていった。
イレーナから一瞬殺気を感じ何とかこの修羅場を繰りぬけた幸一。思わずため息が出る。
「まずは明後日の冬至の政治パーティーね、そう言えば幸君はこういうパーティーの経験はあるの?」
「そう言えば初めてかな──」
「じゃあ私がバッチリ指導してあげるね」
青葉の自信満々な言葉。幸一はよろしくと言って頼みこむ。
イレーナは顔を少し膨らませどこか不満げだった。
政治パーティー、要人たちが来るとあって恐らくイレーナの両親にも会えるだろう。何がいこるのか、イレーナに何があったのか、そんな謎を残したまま幸一達はそれまでに日々を街の偵察などをして過ごしていった。
そして2日後、政治パーティーの日。まずは午前中に宮殿に移動、控室に案内され幸一達は着替えを始める。
サラ、イレーナ、青葉は同じ控室でパーティー用に着替えを行っていた。
サラがまず着替え終わる。白と薄めの灰色をしたロングスカートの淑やかなドレス姿。
腕から先の真っ白く滑らかな肌が露出している幼い顔つきに似あわない大人びた服装。
そのアンバランスさがとても色気を感じさせる格好になっている。
「うん、これがいいかな──」
イレーナは着替えを終え鏡を見て全身を見渡す。それは薄い黄色とピンク色のフリルのスカートのドレス。
青葉もイレーナと同じデザインをした色違いの黄緑色と淡い水色のドレスを選んだ。
すると青葉に話しかける。
「ごめん、私髪結び上げるのやったことないんだ……、ちょっとやり方教えてくれない?」
イレーナはそういったことはスタイリストに任せていたためやり方が分からなかった。すると青葉がイレーナの背後に回り髪を結び上げ始める。
スタイリストに負けないくらい上手で、こうした方がいいというところを細かく調整もしてくれた。
「これでどう? 綺麗だと思うわ」
青葉がイレーナの着替えを手伝い鏡の方を向かせる。彼女によって彩られた自分の姿、その美しさに顔を真っ赤にして驚く。
「ええっ? これが私──」
          
「そんな時に襲撃、なんか運命を感じるな──」
そしてレイカが得意げに語り始める。
「ちなみにウェレンの人口の6割が信者よ。政治家たちも自分たちの支持を取り付けるために参加するわ」
「礼拝の時期に襲撃。私も何か出来過ぎていると感じてね、いろいろと調べてみたの。んで私も青葉ちゃんみたいにいろいろ潜入捜査とかやってみたんだけどね──」
「何があったの?」
青葉が興味津々に質問する。レイカは半分くらいコップに残っていたコーヒーを飲み干す。そして真剣な表情で答える。
「教会側、結構ネットワークがあるみたい、魔王軍たちのね」
そのレイカの一言に幸一達は驚愕する。王都ネウストリアでも魔王軍に協力した人間がいた。やはりここにもそういった魔王軍につく人物がいるようだった。腕を組み始めレイカは話しを続ける。
「よく兵士たちの行動を探ったり、政府の建物に夜中ひっそりと侵入したりしてるらしいわ。それだけじゃないの、その怪しい人達の事を他の兵士に聞いてみたんだけどね──、兵士に聞いたら自分たちを見るやいなやノートやメモに記録しているらしいの」
「そういうことね」
青葉がその言葉に相槌を打ち相手の真意を理解した。
「もし兵士たちの武装や動きを見ているんだと思うわ。たとえばあまり兵士たちがいない場所を調べて後でそこで拠点として利用する。とか──。警備が手薄なところを狙ってテロを狙ったり要人を狙ったりとか」
「それにシェルパの人たちの話しを聞いたりもしてみたわ。そしたらいろいろいい情報が入ったわ」
「小さな村と行き来しすぎよ。通常の倍近くの往来があるって」
「どういう事?」
イレーナが首をかしげる。すると青葉がレイカの言葉の意味を答える。
「いつもより多くの、それも見たことがない人がウェレンに流入しているってことでしょ」
「ええ、そんなところよ」
「当然シェルパの人に怪しく思われないように変装してね──」
「しっかし結構大きく動くわね……、王都の時よりきな臭いわ。絶対この巡礼祭、何かあるわ」
青葉の言葉、ここにいる全員がそう感じていた。
以前王都ネウストリアでも人間達の中に魔王軍と手を結んでいた事件があった。しかし王都でもない、北国の政治的にそこまで重要でもないこの街にこれだけ大きな動きがあるのは不思議だ。
恐らく巡礼祭の中で、そして祭っている天使や神殿と何か関係があるのだろう。イレーナやサラ、幸一も話に加わりそう結論付ける。
「まずは明後日の王家の冬至のパーティーね、そこで何かが起こるかもしれないわ。当然私も出席するわ。あなたたちも出席をするわよね?」
「こっちも出席するつもりだ。警戒はしておくよ──」
「ああそう、じゃあ今度はそこで会いましょう。この国を脅かす輩は必ず捕まえるつもりよ。そして勇者さんのハートもね」
ウィンクをするレイカ、そしてバイバイと手を振ってこの場所を去っていった。
イレーナから一瞬殺気を感じ何とかこの修羅場を繰りぬけた幸一。思わずため息が出る。
「まずは明後日の冬至の政治パーティーね、そう言えば幸君はこういうパーティーの経験はあるの?」
「そう言えば初めてかな──」
「じゃあ私がバッチリ指導してあげるね」
青葉の自信満々な言葉。幸一はよろしくと言って頼みこむ。
イレーナは顔を少し膨らませどこか不満げだった。
政治パーティー、要人たちが来るとあって恐らくイレーナの両親にも会えるだろう。何がいこるのか、イレーナに何があったのか、そんな謎を残したまま幸一達はそれまでに日々を街の偵察などをして過ごしていった。
そして2日後、政治パーティーの日。まずは午前中に宮殿に移動、控室に案内され幸一達は着替えを始める。
サラ、イレーナ、青葉は同じ控室でパーティー用に着替えを行っていた。
サラがまず着替え終わる。白と薄めの灰色をしたロングスカートの淑やかなドレス姿。
腕から先の真っ白く滑らかな肌が露出している幼い顔つきに似あわない大人びた服装。
そのアンバランスさがとても色気を感じさせる格好になっている。
「うん、これがいいかな──」
イレーナは着替えを終え鏡を見て全身を見渡す。それは薄い黄色とピンク色のフリルのスカートのドレス。
青葉もイレーナと同じデザインをした色違いの黄緑色と淡い水色のドレスを選んだ。
すると青葉に話しかける。
「ごめん、私髪結び上げるのやったことないんだ……、ちょっとやり方教えてくれない?」
イレーナはそういったことはスタイリストに任せていたためやり方が分からなかった。すると青葉がイレーナの背後に回り髪を結び上げ始める。
スタイリストに負けないくらい上手で、こうした方がいいというところを細かく調整もしてくれた。
「これでどう? 綺麗だと思うわ」
青葉がイレーナの着替えを手伝い鏡の方を向かせる。彼女によって彩られた自分の姿、その美しさに顔を真っ赤にして驚く。
「ええっ? これが私──」
          
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