【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第79話 底知れぬもの
「妄想もいかげんにしたらどうなの?」
彼の言葉に反論したのは青葉だった。へイムをじっとにらみながら反論を始める。
「支配する人が変わるだけ、結局苦しむ人が出てくることには変わらないわ」
「撃滅王さん、私ね、あなたに興味があったの。苦しんでいる人を救うことに関心があるって聞いたとき、あなたと力を合わせて戦う時が来ると思ったけど飛んだ思い違いね。結局は敵の敵ってだけじゃないあなたは」
「ただ支配する側とされる側が変わっただけ。僕もそう思います!! 第一そんな事をしたらその支配する人達がいいように世界を動かすにきまっているじゃないですか。」
ルトもそれに乗じて反論する。しかしへイムは気にも留めずに反論する。
「そんなお花畑な世界ができるならだれも苦労はしない。俺は現実を見ている、貴様たちとは違うのだよ。夢の国の住人とはな!!」
「これだけは肝に命じていろ。お前たちが自分達は正義のつもりで戦っていると考えるならばそれは大きな誤りだ。考えても見ろ、今までは通り冒険者たちは権力に使い捨てにされ命を懸けた戦いを強いられながら不当に低い地位に甘んじている。だから俺が代弁者となり彼らの地位を向上させる。俺のやることはそういうことでもあるんだ」
緊張の空気に包まれる中、幸一が口を開く。
「お言葉ですが、私はお断りさせていただきます。あなたのそのような自己満足の実現に手を貸すつもりはありません」
「そうか……、口だけの理想ばかりで何一つしようともしない、それも自由だ
誰にでも過ちという者はある。我々は寛大な精神を持っている、早くそのお花畑の様な夢の理想から覚め現実に気づく事を望むよ。
気が向いたらいつでも俺に声をかけてくれ、俺はいつでも歓迎するよ」
ルトの断りにもかかわらずへイムは相変わらずの傲慢な口調で最後の言葉を締めくくる。
そしてティミセラは胸元に手を当て微笑を浮かべながらルトに話しかける。
「ルト、いつか待っていますよ。私とあなたが手を組む時を──」
ルトの表情が複雑なものになる。そしてただ一言。
「そうだね──。じゃあ僕は帰るよ、幸君、イレーナ」
そう言ってこの場から去っていく。幸一やイレーナ達も慌ててルトについていく。
そして教会の外で歩いているルトに幸一が追い付いて隣で話しかける。
「ちょっといい? ルトと姉さんって本当に仲悪いの? 素振りを見る限りそこまで仲が悪いようには見えなかったんだ、そこはどうなの?」
幸一の質問にルトは複雑な表情になる。
「まあ、悪くはないよ。子供のころは庭園で遊んだりしてた。今でもたまに話すけど──、支持者達の手前表立って話はあまり出来ないみたい。でも昔みたいに腹を割ってみたいって考えることもあるよ」
この姉弟自体はそれほど仲が悪いわけではない。しかし後継者争いとそれに元々あった国内の内部闘争によって争いに巻き込まれてしまう運命になってしまった。
自分たちを支持している人達の手前二人だけではどうすることもできないのだろう。
ルトが何処かもどかしい気持ちになる。すると今度はサラとイレーナが話し始める。
「あとは彼です。マンネルへイム──」
「敵なのか味方なのかわからないのよね──、彼も地方では魔獣との戦いには積極的に参加しているし、強さだって大型魔獣でも普通に倒しちゃっているっていうし」
青葉は彼の事を噂で聞いていた。
地方やほかの国では中央とは違い組織力や強さに欠ける魔法使いが苦戦しながらも何とか戦っている状況が続いている。そこでは彼が中心として活躍しその影響で支持者を増やしているとイレーナの耳にも入っていた。
強さも彼一人で魔王軍の7~8割を消滅させてしまう強さを持っているという。さらに彼の取り巻きたちの規律も大変よくて皆の憧れと尊敬を集めていると言う。
「それなら彼のあの言動にも納得できるな」
ただの妄想僻ならばあそこまでのカリスマ性や威圧感を感じることもなくティミセラほどの地位のある人物が期待を寄せることもなかっただろう。
そして彼といる中で感じた瞳の奥の底知れぬ闇、その正体は何だろうと考えながら幸一達はホテルへ向かっていった。
そしてホテルについた幸一達。ルトは別のホテルに泊まっているようで彼は一人そのホテルに向かった。一般的で小奇麗な印象を持つ。エントランスで支配人に受付を済ました青葉、2階に上がり部屋に案内したのだが──。
何とホテルの部屋が4人で一部屋と言う状況だったのだ。
「やっぱ泊まるときは4人で一部屋でしょ!! ツイン? NO!! シングル? とんでもない4人部屋よ」
青葉の自信たっぷりの物言いに戸惑う幸一。
そして荷物を整理すると青葉が幸一の右腕に飛びついてくる、そして上目遣いになり誘惑するようなそぶりで囁く。
「一緒にシャワー浴びない?」
「……えっ!!」
その言葉に思わず顔を赤らめてしまう。
彼の言葉に反論したのは青葉だった。へイムをじっとにらみながら反論を始める。
「支配する人が変わるだけ、結局苦しむ人が出てくることには変わらないわ」
「撃滅王さん、私ね、あなたに興味があったの。苦しんでいる人を救うことに関心があるって聞いたとき、あなたと力を合わせて戦う時が来ると思ったけど飛んだ思い違いね。結局は敵の敵ってだけじゃないあなたは」
「ただ支配する側とされる側が変わっただけ。僕もそう思います!! 第一そんな事をしたらその支配する人達がいいように世界を動かすにきまっているじゃないですか。」
ルトもそれに乗じて反論する。しかしへイムは気にも留めずに反論する。
「そんなお花畑な世界ができるならだれも苦労はしない。俺は現実を見ている、貴様たちとは違うのだよ。夢の国の住人とはな!!」
「これだけは肝に命じていろ。お前たちが自分達は正義のつもりで戦っていると考えるならばそれは大きな誤りだ。考えても見ろ、今までは通り冒険者たちは権力に使い捨てにされ命を懸けた戦いを強いられながら不当に低い地位に甘んじている。だから俺が代弁者となり彼らの地位を向上させる。俺のやることはそういうことでもあるんだ」
緊張の空気に包まれる中、幸一が口を開く。
「お言葉ですが、私はお断りさせていただきます。あなたのそのような自己満足の実現に手を貸すつもりはありません」
「そうか……、口だけの理想ばかりで何一つしようともしない、それも自由だ
誰にでも過ちという者はある。我々は寛大な精神を持っている、早くそのお花畑の様な夢の理想から覚め現実に気づく事を望むよ。
気が向いたらいつでも俺に声をかけてくれ、俺はいつでも歓迎するよ」
ルトの断りにもかかわらずへイムは相変わらずの傲慢な口調で最後の言葉を締めくくる。
そしてティミセラは胸元に手を当て微笑を浮かべながらルトに話しかける。
「ルト、いつか待っていますよ。私とあなたが手を組む時を──」
ルトの表情が複雑なものになる。そしてただ一言。
「そうだね──。じゃあ僕は帰るよ、幸君、イレーナ」
そう言ってこの場から去っていく。幸一やイレーナ達も慌ててルトについていく。
そして教会の外で歩いているルトに幸一が追い付いて隣で話しかける。
「ちょっといい? ルトと姉さんって本当に仲悪いの? 素振りを見る限りそこまで仲が悪いようには見えなかったんだ、そこはどうなの?」
幸一の質問にルトは複雑な表情になる。
「まあ、悪くはないよ。子供のころは庭園で遊んだりしてた。今でもたまに話すけど──、支持者達の手前表立って話はあまり出来ないみたい。でも昔みたいに腹を割ってみたいって考えることもあるよ」
この姉弟自体はそれほど仲が悪いわけではない。しかし後継者争いとそれに元々あった国内の内部闘争によって争いに巻き込まれてしまう運命になってしまった。
自分たちを支持している人達の手前二人だけではどうすることもできないのだろう。
ルトが何処かもどかしい気持ちになる。すると今度はサラとイレーナが話し始める。
「あとは彼です。マンネルへイム──」
「敵なのか味方なのかわからないのよね──、彼も地方では魔獣との戦いには積極的に参加しているし、強さだって大型魔獣でも普通に倒しちゃっているっていうし」
青葉は彼の事を噂で聞いていた。
地方やほかの国では中央とは違い組織力や強さに欠ける魔法使いが苦戦しながらも何とか戦っている状況が続いている。そこでは彼が中心として活躍しその影響で支持者を増やしているとイレーナの耳にも入っていた。
強さも彼一人で魔王軍の7~8割を消滅させてしまう強さを持っているという。さらに彼の取り巻きたちの規律も大変よくて皆の憧れと尊敬を集めていると言う。
「それなら彼のあの言動にも納得できるな」
ただの妄想僻ならばあそこまでのカリスマ性や威圧感を感じることもなくティミセラほどの地位のある人物が期待を寄せることもなかっただろう。
そして彼といる中で感じた瞳の奥の底知れぬ闇、その正体は何だろうと考えながら幸一達はホテルへ向かっていった。
そしてホテルについた幸一達。ルトは別のホテルに泊まっているようで彼は一人そのホテルに向かった。一般的で小奇麗な印象を持つ。エントランスで支配人に受付を済ました青葉、2階に上がり部屋に案内したのだが──。
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