【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第55話 サラのコンプレックスと挑戦
雲ひとつない晴天の天気。
ここは宮殿の中の庭園。
そこにシスカとイレーナ、サラと五人ほどの同世代の少女たち。
兎のような毛耳をした三つ編みおさげの少女シスカが話しかける。
「イレーナさん、すごいかっこいいです。いつも活躍していて……」
「そ、そんな、私だって大したこと無いですよ……」
そんな中でリラックスしながら戦いの事を忘れて楽しそうに談笑を繰り返している。
ミルクコーヒー、甘いお菓子、そよ風が演出する安らぎの時間。
今日は庭園で女の子同士お茶会をする日であった。
少女達のたわいもない日常の会話が飛び交いコーヒーカップが音を立てている。その中で会話に加わらず隅っこで本を読んでいるサラ。
「サラちゃん、珍しいね、何を読んでるの?」
隣からそっと声をかけてくるのはサラといつも行動している同じ年の王女様イレーナだ。
「数学についての本です、理数系の知識も持っておかないと知識が偏ってしまうんで」
サラがその本に目を通したまま素っ気なく答える。
お嬢様でありながらおごったところが全くない。誰に対しても慎み深く周りへの気遣いもよくできる少女であった。
友達からの問いかけにサラは穏やかな笑みをして返す。そんな親友ともいえる存在、そんな友達の存在が自分にとってとても救いだ。
今までは──。
サラが片隅で本を読んでいる間イレーナと彼女の友達たちは日常の出来事、おいしいお菓子のことなど楽しい談笑が飛び交っていた。
みんな王女様であるイレーナに良く話しかけ、イレーナもそれに答え、楽しそうに会話をしている。
やがて楽しいお茶会が終わる。イレーナが真っ先にサラに話しかける。
「サラちゃん、また一緒にドーナツ食べに行こう!! ちょっと私甘いもの食べたい!!」
お茶会でもクリームのたっぷり入ったケーキをおいしそうに食べていた彼女。しかしイレーナの胃はそれだけでは足りないらしくなじみのドーナツ屋で甘いドーナツが食べたいと言い出したのである。
「す、すいません……、私これから用事があるんです──」
申し訳なさそうな表情をして断るサラ。
「あ、それなら別にいいよ、別の友達を誘うから──」
イレーナは特に気にとめていないようなそぶりをしてこの場を去る。
そしてイレーナが別の友達と一緒にこの場から去った瞬間。
「あの、お願いがあるんですけど!!」
サラが話しかけたのは兎のような毛耳をした三つ編みおさげの少女シスカであった。
「サラさん、なんですか?」
その少女がサラの方を向いて言葉を返す。サラはうつむきながら勇気を出して話しかける。
「あの……私と、模擬戦をしてくれませんか?」
予想もしなかった言葉にシスカは驚いて目をキョロキョロさせる。
「え? サラちゃんって普段戦わないですよね……」
「うん、でもお願いしたい!!」
少しためらいつつもすぐに勇気を見せて強く出るサラ。
サラは一歩も引かなかった。人見知りで気弱だがここぞというときは一歩も引かない性格であった。
そしてその熱意にシスカが押される形で首を縦に振る。
「わ、わかりました。いいですよ。でも一つ聞かせてください、そこまでして戦うことにこだわる理由って何ですか?」
「私、戦えるようになりたい!! みんなに守られる自分じゃなくて、みんなを守る自分になりたい!! 今は──、少ししか出来なくても──」
サラはいつも気にしていた。自分だけのけものになっているんじゃないかという事を──。
イレーナも、幸一も、青葉も強大な敵の前に傷だらけになりながら戦っている。
しかし自分は違う。有事の時、自分はそばで見ていることしかできない。どれだけ三人が必死になって戦っていても自分が力になることは出来ない。それをサラはいつも感じていた。
三人が戦っている姿を見て自分も時には戦いたい。誰かに守られる自分じゃなくて、みんなを守る自分になりたい。
そんなサラの願いであった。
周りが戦う中で自分だけが見ているだけの存在。
その事実がサラにとって強いコンプレックスになっていたのである。
そして歩いて移動を始めて五分。模擬戦を行うにぴったりの原っぱへ二人は移動する。
「ここなら誰にも邪魔されずに模擬戦が出来ます、それではいきましょう──」
偉大なる全知の光、その手に結集し降誕せよ!!
全知なる館アル=ヒクマ
大地を引き裂く光、今永久に放つ力となり突きぬけろモノケロース・デザティール
そして二人は向き合い始め両者にらみ合う。そして戦う構えをしたところでシスカが質問する。
「サラさん、体力──とかは平気ですか? あんまり運動とかしているようには見えないのですが」
シスカは心配そうな表情でサラに訴えかける。
「運動は、あまり得意ではない──かな」
「わかりました。では私、手加減します」
シスカがサラの実力に合わせて手加減することを決め模擬戦が始まる。
まずはシスカがサラに接近をしての接近戦。
手加減をして六割程度の力でシスカが攻撃をする。
「これなら、かわせる──」
そう考えながらサラがシスカの斬撃に対応する。するとシスカは今度はサラと距離をとる。
そして銃弾の様な攻撃をシスカは繰り出す、それに対してサラは──。
「うぅ──」
自身の兵器から魔力を放出し障壁を作って対応する。
戦闘経験のあるシスカに防戦一方だったが対応は出来ていることにサラが自身を感じる。
(これ、いけるかも──)
そして数分後。
ここは宮殿の中の庭園。
そこにシスカとイレーナ、サラと五人ほどの同世代の少女たち。
兎のような毛耳をした三つ編みおさげの少女シスカが話しかける。
「イレーナさん、すごいかっこいいです。いつも活躍していて……」
「そ、そんな、私だって大したこと無いですよ……」
そんな中でリラックスしながら戦いの事を忘れて楽しそうに談笑を繰り返している。
ミルクコーヒー、甘いお菓子、そよ風が演出する安らぎの時間。
今日は庭園で女の子同士お茶会をする日であった。
少女達のたわいもない日常の会話が飛び交いコーヒーカップが音を立てている。その中で会話に加わらず隅っこで本を読んでいるサラ。
「サラちゃん、珍しいね、何を読んでるの?」
隣からそっと声をかけてくるのはサラといつも行動している同じ年の王女様イレーナだ。
「数学についての本です、理数系の知識も持っておかないと知識が偏ってしまうんで」
サラがその本に目を通したまま素っ気なく答える。
お嬢様でありながらおごったところが全くない。誰に対しても慎み深く周りへの気遣いもよくできる少女であった。
友達からの問いかけにサラは穏やかな笑みをして返す。そんな親友ともいえる存在、そんな友達の存在が自分にとってとても救いだ。
今までは──。
サラが片隅で本を読んでいる間イレーナと彼女の友達たちは日常の出来事、おいしいお菓子のことなど楽しい談笑が飛び交っていた。
みんな王女様であるイレーナに良く話しかけ、イレーナもそれに答え、楽しそうに会話をしている。
やがて楽しいお茶会が終わる。イレーナが真っ先にサラに話しかける。
「サラちゃん、また一緒にドーナツ食べに行こう!! ちょっと私甘いもの食べたい!!」
お茶会でもクリームのたっぷり入ったケーキをおいしそうに食べていた彼女。しかしイレーナの胃はそれだけでは足りないらしくなじみのドーナツ屋で甘いドーナツが食べたいと言い出したのである。
「す、すいません……、私これから用事があるんです──」
申し訳なさそうな表情をして断るサラ。
「あ、それなら別にいいよ、別の友達を誘うから──」
イレーナは特に気にとめていないようなそぶりをしてこの場を去る。
そしてイレーナが別の友達と一緒にこの場から去った瞬間。
「あの、お願いがあるんですけど!!」
サラが話しかけたのは兎のような毛耳をした三つ編みおさげの少女シスカであった。
「サラさん、なんですか?」
その少女がサラの方を向いて言葉を返す。サラはうつむきながら勇気を出して話しかける。
「あの……私と、模擬戦をしてくれませんか?」
予想もしなかった言葉にシスカは驚いて目をキョロキョロさせる。
「え? サラちゃんって普段戦わないですよね……」
「うん、でもお願いしたい!!」
少しためらいつつもすぐに勇気を見せて強く出るサラ。
サラは一歩も引かなかった。人見知りで気弱だがここぞというときは一歩も引かない性格であった。
そしてその熱意にシスカが押される形で首を縦に振る。
「わ、わかりました。いいですよ。でも一つ聞かせてください、そこまでして戦うことにこだわる理由って何ですか?」
「私、戦えるようになりたい!! みんなに守られる自分じゃなくて、みんなを守る自分になりたい!! 今は──、少ししか出来なくても──」
サラはいつも気にしていた。自分だけのけものになっているんじゃないかという事を──。
イレーナも、幸一も、青葉も強大な敵の前に傷だらけになりながら戦っている。
しかし自分は違う。有事の時、自分はそばで見ていることしかできない。どれだけ三人が必死になって戦っていても自分が力になることは出来ない。それをサラはいつも感じていた。
三人が戦っている姿を見て自分も時には戦いたい。誰かに守られる自分じゃなくて、みんなを守る自分になりたい。
そんなサラの願いであった。
周りが戦う中で自分だけが見ているだけの存在。
その事実がサラにとって強いコンプレックスになっていたのである。
そして歩いて移動を始めて五分。模擬戦を行うにぴったりの原っぱへ二人は移動する。
「ここなら誰にも邪魔されずに模擬戦が出来ます、それではいきましょう──」
偉大なる全知の光、その手に結集し降誕せよ!!
全知なる館アル=ヒクマ
大地を引き裂く光、今永久に放つ力となり突きぬけろモノケロース・デザティール
そして二人は向き合い始め両者にらみ合う。そして戦う構えをしたところでシスカが質問する。
「サラさん、体力──とかは平気ですか? あんまり運動とかしているようには見えないのですが」
シスカは心配そうな表情でサラに訴えかける。
「運動は、あまり得意ではない──かな」
「わかりました。では私、手加減します」
シスカがサラの実力に合わせて手加減することを決め模擬戦が始まる。
まずはシスカがサラに接近をしての接近戦。
手加減をして六割程度の力でシスカが攻撃をする。
「これなら、かわせる──」
そう考えながらサラがシスカの斬撃に対応する。するとシスカは今度はサラと距離をとる。
そして銃弾の様な攻撃をシスカは繰り出す、それに対してサラは──。
「うぅ──」
自身の兵器から魔力を放出し障壁を作って対応する。
戦闘経験のあるシスカに防戦一方だったが対応は出来ていることにサラが自身を感じる。
(これ、いけるかも──)
そして数分後。
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