【完結済】突然異世界に召喚された俺、とりあえず勇者になってみますね
第30話 裏切りのヒロイン
そして冒険者たちと魔王軍の戦闘が始まった。
闘いが白熱し始める一方、闇が密かに暗躍始めた。
遺跡の地下の最深部、有事の際に王族などの要人を避難させるために造られた避難所に彼女はいた。
ランプがあるだけの薄暗い通路を彼女は進む。
「この先、そこにいるはず」
そして目的の扉に到着、ツインドリルの髪を揺らしながらたどり着いたら扉の鍵穴に鍵を差し込む。ガチャリと音を立てて鍵をひねる、そして期待感を胸に扉を押すと──。
「ふぅ……、少し手こずりましたが何とか……」
「これでやっと国王を始末できる──ですか?ラミスさん」
「──え?」
突然の声にラミスが振り返る。するとサラとマグブライドがそこにいた?
「策にかかりましたねラミスさん」
サラがコホンと咳払い腕を組んで視線をラミスに向ける。
「一応質問します。何をしにここに来たんですか? いいえ?魔王軍のスパイさん」
静かだが強気できっぱりとしたサラらしい物言い。ラミスは腕を組んで苦笑いをし、言葉を返す。
「い、いや、何を言っているのか分からないな……。私が魔王のスパイなわけないだろう……。私はみんなの味方さ、信じてくれたまえ」
やや動揺しながらラミスは言い返す、するとサラは手に持っていたカバンから書類を取り出し始める。
「これを見ても同じことが言えるんですか?」
その資料に思わずラミスは言葉を失う。
「私たちは全国すべての貴族達にパイプを持っておるわけではありません。地方とのやりとりは領主たちを通じてしかやっていないので、その家を抱え込めば偽造してスパイとして政府に入り込むことは可能でした」
「何を根拠に……」
「そして財政難で地方領主の一つであるアグリス家を金で抱え込み、末端の貴族の一つグルエフ家の一員だという偽りの情報を流し、政府にたどり着きました。そんな感じですよね」
「推測だよね……。それ良くないなあ証拠もなしに自分と考えが違う人を勝手に魔王軍のスパイ扱いするなんて」
苦笑いをして両手を振りながら言葉を返すラミス。しかし確実に彼女から余裕は無くなっていた。それを理解したサラがラミスをさらに追い詰める
「なのでその家に初めて直接問い合わせてみました。ラミスさんのことを存じていますか?と──。しかしあなたのような存在は確認できませんでした」
「これを突き付けられても同じことが言えますか?」
そう宣言しラミスの目の前に押収した手紙を開く。
そこにはこの国の実情や防衛に関する記録、冒険者たちの戦力などこの国のことに関する情報がまとめられていた。
ラミスがひそかに魔王軍たちに送っていたはずの手紙だった。
「犯罪になるのを承知でマクブライドの許可を経て、あなたの机のかぎを壊し中を開けました」
サラがいつになく真剣な表情で言葉を進める。
「これが動かぬ証拠です、国王はもちろん政府関係者にもこのことは伝わっています。もう逃げ場はありません、ただちに投降してください」
国王がここにいると嘘の情報を流して本当は全く別の場所にいる。つまりラミスは罠にかかっていた。
そう言いきってサラがラミスの顔を睨むようにじっと見る。
沈黙がこの場を包む、数分しただろうか、しばしの時間が過ぎるとラミスがそっと口を開く。
「私を捕縛するつもりですね……」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべながらラミスはツインテールの髪をほどく。そして目を細めるとさっきまでとはガラリと印象が変わっていった。
まじめだった少女は鋭い眼光を放ち、まるで獰猛な肉食獣のような雰囲気と化す。
ラミスとマグブライトが無言で真正面からにらみ合う。
そしてサラが言い終わってから五分程した時、ラミスが顔を上げる。
態度を変貌させ大きな笑い声を上げ始める。しかしそれは日頃の無口でまじめな印象のラミスからは想像もできない口調だった。
「いっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃひゃ……」
「え──?」
想像もしなかった笑い声にサラは思わず言葉を失う。
「ウッヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョッヒョエッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
イッヒヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
「お前……」
ラミスが腹を抱えなが笑い、マグブライドが彼女をにらみつける。ラミスは睨みつけられているのを気にも留めず、笑いながら醜悪に満ちた表情を彼女に向けた。
「お前、本当に気持ちいいぐらい思い通りに動いてくれたぜ」
マグブライドはむっとした表情になり、トーンを低くして言葉を返す。
「演技だったというわけか……私といた五年間は、友のように接してくれたあの日々は!!」
「そうだよ!! お前が私に友のように 私は心の中で笑いが止まらなかったぜ!! ちょっと優しい表情をするだけでお前は俺の言う口から出まかせを何の疑いもなく信じちまうからよォ」
そしてラミスがマグブライドを指差し腹を抱えながら笑って叫ぶ。
「おまえといた5年間はなあ、ただの親友ごっこだったってことだよぉ!! バァーーーカ」
「くっ──」
裏切られたという怒りの感情がマグブライトの心を支配する。そしてその感情に任せてラミスに向かって突撃していく。
しかしラミスはその攻撃を軽くいなす、そして無防備になったマグブライドにカウンターをくらわせる、カウンターを身体にくらい倒れ込みうずくまるマグブライド。
その彼女をまるでゴミを見るような眼でラミスが見下す。
「イノシシみたいに突撃かァ? 単純だなぁ!!」
「まあ、所詮は人を疑う事も出来ないお嬢様育ち、日頃のお遊戯ごっこは得意でも実践の駆け引きや嗅覚に関しては二流のボンクラってところだな!!」
うずくまりながらマグブライドがラミスの話を聞く。聞きながらラミスとの思い出を思い出していた。彼女と共に勉強をしたり一緒にクエストに戦ったこともあった。ゴブリンの群れに襲われたラミスをかばって怪我をしながら何とか退治したり地方に遠征をして魔獣と戦ったこともあった。
そしてその事を思い出と裏切られたという感情が彼女の脳をぐるぐると渦巻いていた。
感情を渦巻かせながらマグブライドが立ち上がる。
「うわあああああああああああああああああああ」
そしてラミスへ再び怒りの声を発しながら立ち向かっていった……。
闘いが白熱し始める一方、闇が密かに暗躍始めた。
遺跡の地下の最深部、有事の際に王族などの要人を避難させるために造られた避難所に彼女はいた。
ランプがあるだけの薄暗い通路を彼女は進む。
「この先、そこにいるはず」
そして目的の扉に到着、ツインドリルの髪を揺らしながらたどり着いたら扉の鍵穴に鍵を差し込む。ガチャリと音を立てて鍵をひねる、そして期待感を胸に扉を押すと──。
「ふぅ……、少し手こずりましたが何とか……」
「これでやっと国王を始末できる──ですか?ラミスさん」
「──え?」
突然の声にラミスが振り返る。するとサラとマグブライドがそこにいた?
「策にかかりましたねラミスさん」
サラがコホンと咳払い腕を組んで視線をラミスに向ける。
「一応質問します。何をしにここに来たんですか? いいえ?魔王軍のスパイさん」
静かだが強気できっぱりとしたサラらしい物言い。ラミスは腕を組んで苦笑いをし、言葉を返す。
「い、いや、何を言っているのか分からないな……。私が魔王のスパイなわけないだろう……。私はみんなの味方さ、信じてくれたまえ」
やや動揺しながらラミスは言い返す、するとサラは手に持っていたカバンから書類を取り出し始める。
「これを見ても同じことが言えるんですか?」
その資料に思わずラミスは言葉を失う。
「私たちは全国すべての貴族達にパイプを持っておるわけではありません。地方とのやりとりは領主たちを通じてしかやっていないので、その家を抱え込めば偽造してスパイとして政府に入り込むことは可能でした」
「何を根拠に……」
「そして財政難で地方領主の一つであるアグリス家を金で抱え込み、末端の貴族の一つグルエフ家の一員だという偽りの情報を流し、政府にたどり着きました。そんな感じですよね」
「推測だよね……。それ良くないなあ証拠もなしに自分と考えが違う人を勝手に魔王軍のスパイ扱いするなんて」
苦笑いをして両手を振りながら言葉を返すラミス。しかし確実に彼女から余裕は無くなっていた。それを理解したサラがラミスをさらに追い詰める
「なのでその家に初めて直接問い合わせてみました。ラミスさんのことを存じていますか?と──。しかしあなたのような存在は確認できませんでした」
「これを突き付けられても同じことが言えますか?」
そう宣言しラミスの目の前に押収した手紙を開く。
そこにはこの国の実情や防衛に関する記録、冒険者たちの戦力などこの国のことに関する情報がまとめられていた。
ラミスがひそかに魔王軍たちに送っていたはずの手紙だった。
「犯罪になるのを承知でマクブライドの許可を経て、あなたの机のかぎを壊し中を開けました」
サラがいつになく真剣な表情で言葉を進める。
「これが動かぬ証拠です、国王はもちろん政府関係者にもこのことは伝わっています。もう逃げ場はありません、ただちに投降してください」
国王がここにいると嘘の情報を流して本当は全く別の場所にいる。つまりラミスは罠にかかっていた。
そう言いきってサラがラミスの顔を睨むようにじっと見る。
沈黙がこの場を包む、数分しただろうか、しばしの時間が過ぎるとラミスがそっと口を開く。
「私を捕縛するつもりですね……」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべながらラミスはツインテールの髪をほどく。そして目を細めるとさっきまでとはガラリと印象が変わっていった。
まじめだった少女は鋭い眼光を放ち、まるで獰猛な肉食獣のような雰囲気と化す。
ラミスとマグブライトが無言で真正面からにらみ合う。
そしてサラが言い終わってから五分程した時、ラミスが顔を上げる。
態度を変貌させ大きな笑い声を上げ始める。しかしそれは日頃の無口でまじめな印象のラミスからは想像もできない口調だった。
「いっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃひゃ……」
「え──?」
想像もしなかった笑い声にサラは思わず言葉を失う。
「ウッヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョッヒョエッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
イッヒヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
「お前……」
ラミスが腹を抱えなが笑い、マグブライドが彼女をにらみつける。ラミスは睨みつけられているのを気にも留めず、笑いながら醜悪に満ちた表情を彼女に向けた。
「お前、本当に気持ちいいぐらい思い通りに動いてくれたぜ」
マグブライドはむっとした表情になり、トーンを低くして言葉を返す。
「演技だったというわけか……私といた五年間は、友のように接してくれたあの日々は!!」
「そうだよ!! お前が私に友のように 私は心の中で笑いが止まらなかったぜ!! ちょっと優しい表情をするだけでお前は俺の言う口から出まかせを何の疑いもなく信じちまうからよォ」
そしてラミスがマグブライドを指差し腹を抱えながら笑って叫ぶ。
「おまえといた5年間はなあ、ただの親友ごっこだったってことだよぉ!! バァーーーカ」
「くっ──」
裏切られたという怒りの感情がマグブライトの心を支配する。そしてその感情に任せてラミスに向かって突撃していく。
しかしラミスはその攻撃を軽くいなす、そして無防備になったマグブライドにカウンターをくらわせる、カウンターを身体にくらい倒れ込みうずくまるマグブライド。
その彼女をまるでゴミを見るような眼でラミスが見下す。
「イノシシみたいに突撃かァ? 単純だなぁ!!」
「まあ、所詮は人を疑う事も出来ないお嬢様育ち、日頃のお遊戯ごっこは得意でも実践の駆け引きや嗅覚に関しては二流のボンクラってところだな!!」
うずくまりながらマグブライドがラミスの話を聞く。聞きながらラミスとの思い出を思い出していた。彼女と共に勉強をしたり一緒にクエストに戦ったこともあった。ゴブリンの群れに襲われたラミスをかばって怪我をしながら何とか退治したり地方に遠征をして魔獣と戦ったこともあった。
そしてその事を思い出と裏切られたという感情が彼女の脳をぐるぐると渦巻いていた。
感情を渦巻かせながらマグブライドが立ち上がる。
「うわあああああああああああああああああああ」
そしてラミスへ再び怒りの声を発しながら立ち向かっていった……。
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