【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び勇者になるようです
第91話 元勇者 死闘を繰り広げる
最初に距離を詰めてきたのはハスタルだ。
魔力を込めた右足で宙をけり砕き、一気に急接近。
目にもとまらぬ速さの一撃。
雑で粗だらけ、スキだらけの素人のような技術。
切るというよりは感情のままに叩きつけるという表現の方が正しいくらいだ。
そんな乱暴な剣術だが、圧倒的なパワーによる速さとパワー。
攻撃を受ける俺の剣が軋んでいく。握っている俺の両手はその衝撃を受け、それが全身にへのダメージとなっていく。
獣のような、荒々しい圧倒的なパワー。
戦術も理論もない、ただ自らのパワーで圧倒していくだけの力。
たしかに強敵だ。でも、これなら対処法はある。
いくら強くてもしょせん人間のような構造。こういう力任せに殴ってくるやつは魔王軍によくいた。
俺は数回ハスタルの攻撃を受けてから、スッと体を後ろに動かし、こいつの一撃をかわす。
その差、わずか数ミリ、強烈な風圧を全身に感じる。
しかし、全身を使って大ぶりをしたがゆえに、ハスタルの胸元が大きく開く。
チャンスだ。このスキのカウンターを入れるため、攻撃から引く距離を最低限にしていたんだ。
俺はやっとできたチャンスを生かすため、一気に胸元に飛び込む。
──が、せっかくつかんだ俺のチャンスはいかせることはなかった。
「な、何……」
「フッ、残念だったな──」
俺の腕の帰ってきた鉄の手ごたえ。
蛇のような魔剣が俺が最高の形で放った攻撃に真正面から受け止めていたのだ。
最高のタイミング。あの瞬間で泳いでいる剣をあの位置に戻すのはどうやっても不可能だ。
こちらの攻撃をすべて読んでいるのか?
だが、深く考える余裕はない。
ハスタルは受けた俺の攻撃を力任せに押しのける。
圧倒的な力の前に俺は思わず後ろに一歩後退。
そしてその距離をハスタルはすぐに詰めてくる。しなる鞭のような剣を俺は受けながら少しずつ後退。
「元勇者よ。そんなへっぴり腰で、私に勝つことなどできんぞ」
人間ではありえない動きをして、なんだかわからない力を使うやつに突っ込んでも、勝つことど出来ないけどな。
だが、このまま守ってばかりなわけじゃない。そんな大人しいやつじゃないんでね。
そして俺はハスタルの振り上げた攻撃をかわし、重心を低くする。一気に懐まで接近。
これでこいつに致命傷を与えられる。いくら力が強くても、小学生のような力の使い方では、簡単にいなされる。
こいつの攻撃を読み切ってのカウンターは、誰に止めることができない最速の一撃。攻撃をかわされたハスタルにかわすすべがない。
俺のこいつを読み切った攻撃が、ハスタルの心臓を刺し貫く──。
はずだったその瞬間。標的であるハスタルの肉体が消失したのだ。
おかしい、完ぺきにこいつの動きは読み切ったはず。それだけじゃない。そもそもなぜこのタイミングで標的を見失うのか。
それだけではない。俺の本能が語り掛けてくる。
危険──死ぬ……。
心の底からの叫び声が、俺の肉体を突き動かす。
後ろだ!
俺は振り向きながら斜め上に飛び上がる。
振り向いた先には俺から完全に見えない後ろ下にいるハスタルが。俺がいた場所に魔剣を振り上げているのがわかった。
「その剣の力だろう。さっきと比べて、体の動かし方そのものが速くなっている。反応速度そのものを、上げているんだろ?」
ハスタルはニヤリと笑みを浮かべるとその魔剣を俺に向けながら答えた。
「賢いな。元勇者よ、もう見抜かれてしまったか」
やはりそうだったか。しかしこれは厄介だ。何しろ、反応速度が速いということは視覚から弱点を突いたり、魔力でこっちの速度を上げたとしても十分に防がれてしまう。
何しろ通常では防げないような攻撃でさえ防いでしまうという代物だ。
そして考えている俺にハスタルが話しかけてくる。
「貴様らの運命は決まっている。われらの進行を抑えることができず、この町を守ることができず、われらの前に消滅していくのだ」
「バカか、地上を見てみろ。貴様が用意している下っ端たちは順調に消滅しているぞ」
そう言うとハスタルは、黙って地上を見下す。そこでは、ローザや、他の冒険者たちが、次々と魔王軍たちを殲滅していっている。
そして兵士たちは逃げ惑う市民たちを次々と地下へと避難させていた。
王都の危機だけあって、彼らはうまく役割を分担し、力を合わせて自分のできることを行っている。
「時期に貴様以外の魔王軍たちは消滅する。そうすれば貴様の目論見は失敗に終わるはずだ」
それはハスタルだって感じているはず。こいつだって魔王軍の幹部。それが理解できないほど馬鹿ではない。
それでもハスタルは、薄ら笑いを浮かべたまま動かない。
「何か、狙いがあるということだな?」
そしてハスタルがにやりと笑いながら、口を開け始めた。
そのころ。ローザとセフィラ。
「これで、この辺りは安全になりましたね」
「うん」
ローザとセフィラの奮闘により、このエリアの敵はいなくなっていた。
さらに兵士たちの正確な指示によって国民たちは避難を終え、落ち着きと安全と取り戻している。
避難の方は、何とか終わりそうだ。あとは、他のエリアの援軍に行くだけ。そう考えているローザたちのところに、別の兵士たちが国民たちを連れてやってくる。
その兵士たちにセフィラが話しかける。
「兵士さん。避難のほうは大丈夫ですか?」
「非難のほうは順調です。うまく誘導できています。そちらのほうは?」
魔力を込めた右足で宙をけり砕き、一気に急接近。
目にもとまらぬ速さの一撃。
雑で粗だらけ、スキだらけの素人のような技術。
切るというよりは感情のままに叩きつけるという表現の方が正しいくらいだ。
そんな乱暴な剣術だが、圧倒的なパワーによる速さとパワー。
攻撃を受ける俺の剣が軋んでいく。握っている俺の両手はその衝撃を受け、それが全身にへのダメージとなっていく。
獣のような、荒々しい圧倒的なパワー。
戦術も理論もない、ただ自らのパワーで圧倒していくだけの力。
たしかに強敵だ。でも、これなら対処法はある。
いくら強くてもしょせん人間のような構造。こういう力任せに殴ってくるやつは魔王軍によくいた。
俺は数回ハスタルの攻撃を受けてから、スッと体を後ろに動かし、こいつの一撃をかわす。
その差、わずか数ミリ、強烈な風圧を全身に感じる。
しかし、全身を使って大ぶりをしたがゆえに、ハスタルの胸元が大きく開く。
チャンスだ。このスキのカウンターを入れるため、攻撃から引く距離を最低限にしていたんだ。
俺はやっとできたチャンスを生かすため、一気に胸元に飛び込む。
──が、せっかくつかんだ俺のチャンスはいかせることはなかった。
「な、何……」
「フッ、残念だったな──」
俺の腕の帰ってきた鉄の手ごたえ。
蛇のような魔剣が俺が最高の形で放った攻撃に真正面から受け止めていたのだ。
最高のタイミング。あの瞬間で泳いでいる剣をあの位置に戻すのはどうやっても不可能だ。
こちらの攻撃をすべて読んでいるのか?
だが、深く考える余裕はない。
ハスタルは受けた俺の攻撃を力任せに押しのける。
圧倒的な力の前に俺は思わず後ろに一歩後退。
そしてその距離をハスタルはすぐに詰めてくる。しなる鞭のような剣を俺は受けながら少しずつ後退。
「元勇者よ。そんなへっぴり腰で、私に勝つことなどできんぞ」
人間ではありえない動きをして、なんだかわからない力を使うやつに突っ込んでも、勝つことど出来ないけどな。
だが、このまま守ってばかりなわけじゃない。そんな大人しいやつじゃないんでね。
そして俺はハスタルの振り上げた攻撃をかわし、重心を低くする。一気に懐まで接近。
これでこいつに致命傷を与えられる。いくら力が強くても、小学生のような力の使い方では、簡単にいなされる。
こいつの攻撃を読み切ってのカウンターは、誰に止めることができない最速の一撃。攻撃をかわされたハスタルにかわすすべがない。
俺のこいつを読み切った攻撃が、ハスタルの心臓を刺し貫く──。
はずだったその瞬間。標的であるハスタルの肉体が消失したのだ。
おかしい、完ぺきにこいつの動きは読み切ったはず。それだけじゃない。そもそもなぜこのタイミングで標的を見失うのか。
それだけではない。俺の本能が語り掛けてくる。
危険──死ぬ……。
心の底からの叫び声が、俺の肉体を突き動かす。
後ろだ!
俺は振り向きながら斜め上に飛び上がる。
振り向いた先には俺から完全に見えない後ろ下にいるハスタルが。俺がいた場所に魔剣を振り上げているのがわかった。
「その剣の力だろう。さっきと比べて、体の動かし方そのものが速くなっている。反応速度そのものを、上げているんだろ?」
ハスタルはニヤリと笑みを浮かべるとその魔剣を俺に向けながら答えた。
「賢いな。元勇者よ、もう見抜かれてしまったか」
やはりそうだったか。しかしこれは厄介だ。何しろ、反応速度が速いということは視覚から弱点を突いたり、魔力でこっちの速度を上げたとしても十分に防がれてしまう。
何しろ通常では防げないような攻撃でさえ防いでしまうという代物だ。
そして考えている俺にハスタルが話しかけてくる。
「貴様らの運命は決まっている。われらの進行を抑えることができず、この町を守ることができず、われらの前に消滅していくのだ」
「バカか、地上を見てみろ。貴様が用意している下っ端たちは順調に消滅しているぞ」
そう言うとハスタルは、黙って地上を見下す。そこでは、ローザや、他の冒険者たちが、次々と魔王軍たちを殲滅していっている。
そして兵士たちは逃げ惑う市民たちを次々と地下へと避難させていた。
王都の危機だけあって、彼らはうまく役割を分担し、力を合わせて自分のできることを行っている。
「時期に貴様以外の魔王軍たちは消滅する。そうすれば貴様の目論見は失敗に終わるはずだ」
それはハスタルだって感じているはず。こいつだって魔王軍の幹部。それが理解できないほど馬鹿ではない。
それでもハスタルは、薄ら笑いを浮かべたまま動かない。
「何か、狙いがあるということだな?」
そしてハスタルがにやりと笑いながら、口を開け始めた。
そのころ。ローザとセフィラ。
「これで、この辺りは安全になりましたね」
「うん」
ローザとセフィラの奮闘により、このエリアの敵はいなくなっていた。
さらに兵士たちの正確な指示によって国民たちは避難を終え、落ち着きと安全と取り戻している。
避難の方は、何とか終わりそうだ。あとは、他のエリアの援軍に行くだけ。そう考えているローザたちのところに、別の兵士たちが国民たちを連れてやってくる。
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「兵士さん。避難のほうは大丈夫ですか?」
「非難のほうは順調です。うまく誘導できています。そちらのほうは?」
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