【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び勇者になるようです
第82話 元勇者 セフィラと海へ
セフィラ、あたふたしながら俺に向かって頭を下げてきた。
「も、も、も、申し訳ありません。私はこんな姿似合わないと言ったのですが、ルシフェル様とローザ様がこの方が可愛いとおっしゃって。やっぱり、おかしいですか?」
「そ、そんなことないよ。意外だったけれどとても素敵で可愛いと思う」
「あ、ありがとうございます。お世辞では、無いですよね」
「お世辞じゃないよ。本心だよ。素敵だよ」
前からだけど、遠慮がちなところがあるな。セフィラ。
どこかで、彼女にも自信をつけてあげたい。
セフィラのために、どこへ行こうか──。
遠慮がちなセフィラに、自信をつけさせるにふさわしい場所。そうか──。
わかった、セフィラと一緒にいくなら、あそこだ。
俺はセフィラの手をぎゅっと握って叫ぶ。
「セフィラ。一緒に行きたいところ。あったよ、行こう!」
そして俺たちがたどり着いた先は──。
「着いたよ。セフィラ」
「着いたって。ここ──海ですよね?」
そう、セフィラの言う通り、ここは街のはずれにある海岸。
青い空、真っ白な砂浜。今日は建国祭初日というだけあって、大勢賑わっている。それに、例のイベントも開催されると聞いていた。
「そう、今日はセフィラと、海で遊ぼうと思ってさ」
「はあ──。別に、構いませんが、私達水着持ってないですよね」
「大丈夫、ここは水着のレンタルもやっている。だから水着がない俺達でも海を楽しめる。俺が金出すから、一緒に海で遊ぼう!」
セフィラは戸惑いながらも首を縦に振る。
そして俺たちは受付に行き水着を借りる。デザインもいいものばかりで選ぶのも楽しかった。
それから更衣室に移動して水着姿に着替える。着替えて海岸にたどり着くと──。
ほほをなでる潮風、強く照らす太陽の光、地平線まで続く青い海。海なんて小学生の時家族といった時以来だ、どこか懐かしさを感じる。
セフィラを浜辺で5分程待っていると──。
「あの……。おまたせしました──」
「ああ、セフィラ。じゃあ行こうか」
セフィラがやってきた。
恥ずかしがっているようで、胸の部分を手で押さえながらもじもじとしている。
(セフィラ、いつもは意識していなかったけどとても魅力的なスタイルだよな──)
今までは意識していなかった彼女の意外な魅力に気付く、白く艶かしい綺麗な肌。無駄な肉が無く全体的に引き締まっているスタイル。
髪の毛はサラサラでとても美しい、
着やせするためか胸もローザやルシフェルより大きくくっきりと谷間が見えている。
いつもは色気を出していない分、そのギャップに思わず見とれてしまう。
「どうしてじろじろ見ているんですか?」
「ああ、ごめんごめん。なんでもないよ。とても綺麗だなって思ったから、ちょっと見いっちゃっただけだよ」
「お世辞は結構ですよ、もう」
セフィラが腕を隠しながら言葉を返す。お世辞じゃなくて、本心なんだけどな……。
そして俺たちは海に入る。
一緒に波の感覚を味わったり、楽しんだり。
そんな中で会話をする、生活のこととか、戦いのこととか。
時間にして30分ほど、あっという間に過ぎた。
「とりあえず、のどが渇きましたね。飲み物とかどこかで売っていなかったですか?」
近くにジュースを売っている店があったな──。
「ちょっとジュース買ってくるから、ここで待ってて」
「はい、分かりました」
そして早足で目的の露店へたどり着く。少し行列が出来ていて5分程列に並んだ後、オレンジジュースを2つ購入。
俺の分とセフィラの分を買い両手に持ち、セフィラの所へ戻る。
「おまたせ、ジュース買って来たよ。ってどうしたの?」
そこには困惑した表情でちょこんと体育座りをしているセフィラの姿があった。俺が目を離していた時に何があったんだ?
「その……、お恥ずかしながら。1人で歩いていたら、その……、若い男性に声をかけられ」
「声って、ナンパされたってこと?」
「……そうですね。交際を申し込まれたり、デートの約束を迫られたり。わたくし、そういったハレンチな行為は全くの初体験でして──」
マジか──、まあセフィラなら仕方ないっちゃ仕方ないな。一緒に行けばよかった。
そして買って来たオレンジジュースを1つセフィラに手渡す。
「それで、どうだったの?」
俺は買って来たジュースを飲みながらセフィラの話を聞く。
「と、戸惑いました。相手に悪くないように丁重に断ったのですが、それでもしつこく迫ってきまして──」
そうだよな。あの手の連中はしつこく声をかけてくるって話しだし。
困惑している表情のセフィラがさらに語る。
「私がやめてくださいと叫んで、彼らは何とか帰ってくれたのですが」
そして、申し訳なさそうな表情で俺が渡したオレンジジュースを口につける。
「いや、セフィラの判断は間違っていない。そのくらい言わなきゃ奴らは帰らないよ」
「まったく、絶対おかしいですよ。私なんかに声をかけるなど」
俺はオレンジジュースから口を話し、セフィラに言葉を返す。
おかしくないって。セフィラ、長身で美人な女性って感じで綺麗だと思う。けど俺が直接言っても彼女はお世辞としか思わなくて、信じようとしないだろう。
だから、それを知らせて、自信をつけさせてあげたい。
デートが始まる前から、セフィラにはそれをプレゼントしてあげようと俺なりに考えた。
そろそろ例の時間だな。そう、俺がセフィラとのデートで海を選択した理由はこれだ!
そしてセフィラがオレンジジュースを飲み干したのを確認すると俺は彼女の肩をツンツンと叩く。そして──。
「セフィラ、申し訳ないんだけれど、あのイベントに参加してほしいんだ」
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