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【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び勇者になるようです

静内 燕

第55話 元勇者 なんとか子供に勝利する

「大丈夫なの? あんた──」

ルシフェルも心配そうな顔つきで俺に話しかけてきた。大丈夫だ、絶対突破方法はあるはず。

「じゃあ、勝負を決めに、いっちゃうよ~~!!」


そう叫ぶとクレアが四方八方から一気に突っ込んでくる。
どれが本物かわからない、いや、突破口はある、気づけ──、何か違和感はないか。おかしいところは無いか──。


俺は神経を研ぎ澄まし向かってくるクレアをじっと見つめた。そしてクレア達を見た中で理解した。


ミラージュ、蜃気楼──、そういうことか!!

そう俺が考えているとクレア達はすでに俺の目の前。俺を切り刻もうと飛びかかる。
俺は冷静に飛びかかってくるクレア達に視線を向け──。


後方にいる1人のクレアを見てすべてを理解する。


(こいつだ!!)

俺は他のクレアには目もくれずそいつに急接近し──。


ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァ──。


胴体を切り刻む。魔力を伴っているので当然直接体が切り刻まれるわけではないが、それ相応のダメージと痛みがクレアを襲う。

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

まさか分身が見破られると思っていなかったのか、クレアは防御の体勢を取れず、数メートルほど身体を吹き飛ばし、公園の木に激突。

「うぅ──、いてててて……」

痛がっているクレアののど元に剣を突き刺し──。

「これで勝負あり。……でいいかな?」

「ま、負けちゃった──。でも何で僕の本体を見つけることが出来たの?」

クレアは俺を見ながら不思議そうな表情で質問してくる。俺は剣先を足元にある芝生に向け。

「まだまだ、分身の制御がいまいちだな。だって分身は足元の芝生の動き方がどこかおかしかった。だからそれを見れば一目瞭然だったよ」

そう、俺はクレアたちの体だけではなく、その周囲もじっと観察したのだ。すると一目瞭然。分身たちは走っても足元の芝生が全く動かず、映像であるかのように体が貫通してしまっている。

「まだまだ未熟だな。ちょっと観察すればタネが割れてしまう、もっと魔力をうまく使わないと」

「ちぇっ。まだまだか~~」

負けを悟ったクレア。両手を頭の後ろで重ねながら悔しそうに寝っ転がる。そしてにっこりとしながら立ち上がり──。


「ありがとう。楽しかったよ、けど今度は負けないよ!!」

「ああ。俺も負けるつもりはない。次は勝つのは俺だ」

「はいはい、勇者さん。じゃあね~~」


クレアはバイバイと手を振って、明るくこの場を去っていく。
しかし子供のうちからあんな能力に恵まれて、そこそこ戦闘もできる。加えてあの術式は奇襲性も応用性もある。今はまだ未熟なところがあるが、将来が楽しみな子供だ。

そんな事を考えていると誰かが俺の左ひじの部分をつんつんと触れてくる。ルシフェルだ。

「ちょっと危なっかしいところあったけど、なかなかやるじゃない」

「ま、まあな。経験が違うよ──」

「まったくもう……、あんたが吹っ飛ばされた時ちょっとひやひやしたんだからね。見ているこっちの身になりなさいよもう──」

ため息をつき、心配そうな表情でしゃべるルシフェル。演技という訳でもなさそうだ。

「わかったよ。ごめんな」

苦笑いをしながら俺は言葉を返す。


そしてそんな話を終えた後、俺達は美術館にいったり、街並みを見たりしていた。
途中、俺の正体に気付いた住民が「見せびらかしてる」だの「なんのつもりだよ」とか、はてには「爆発しろ!!」だのはやしたててきた。無視したけど。



その後も、街を歩く。
ルシフェルはお腹が空いたようで何か買ってくると言って後ろにいる出店に行ってしまった。

「ほら陽君、一緒に食べましょう」

「あ、ありがとう……」

ルシフェルがそれぞれ両手に持っているのは出店で売っていたパフェ。

生クリームてんこ盛りでフルーツか飾られていてとてもおいしそうだ。そのうちの1つを俺の手に渡してくる。

「いただきま~~す」

ルシフェルがすぐにクリームとバナナの部分を口に入れる。

「あっおいしいこれ」

「確かに俺も思う」

ルシフェルが言うように味はかなりいい。ふわっとしたクリームの味に程よい甘さのフルーツ、それが絶妙にあっている。たぶん元の世界で店を開いたとしてもおいしくて評判になっているだろう。

ルシフェルもそれに変わりはないようで夢中になって食べている。あっという間にパフェはなくなった。

そしておいしいパフェをおいしく平らげ、ベンチに座る。視線を公園で遊んでいる子供や家族に視線をじっと見ながらルシフェルが話し始める。



「良かったんじゃない、今日のデート。少しは慣れた?」

「慣れた? まあ、少しは慣れたかな」

「今日のあなた、とってもぎこちなかったわ。おまけに私が話しかけるとすぐにきょろきょろし出すし。女の子とデートしたことないって一発でわかったわ」

「──そうだよ。悪かったな」

向こうの世界では彼女というのは特権階級でヒエラルキーが高い人物が持つことができる、俺には夢のまた夢という存在だった。

この世界に来てからは、女性冒険者と冒険をすることはあったが魔王軍との戦いが連戦のように続き、俺も女性冒険者もそんなことにしている余裕なんて全くなかった。

「まあ、いい経験になったよ……」

俺は苦笑いをしながらルシフェルの言葉に答える。
次は俺がルシフェルに話しかける。

「ルシフェル、聞きたいことがあるんだけれどいいかな?」

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