【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び勇者になるようです
第47話 元勇者 何とか勝利するが?
(今だ、ルシフェル!!)
俺は後方に視線を向けルシフェルとアイコンタクトを取る。
ルシフェルは力を振り絞って、剣に魔力を込めた。
「受け取りなさい。私達の想い!!」
ハイドがその剣を目の前で薙ぎ払う。するとその剣から魔力を伴った砲撃を放ちルシフェルの攻撃と衝突。
ドォォォォォォォォォン!!
一瞬奴の足が止まった、そして攻撃を防ぎきれず、数メートルほど身体を吹き飛ばす。その瞬間を俺は見逃さない。すぐ間合いを詰める。
「何だと──」
「さあ、俺達の想い。受け取りやがれ!!」
人が希望を抱く時、語り継がれる光が現れる
<光属性・ホープ・ライト・スラッシュ>
ズバァァァァァァァァァァァァァァァァ──!!
初めて届いたハイドへの有効打。防ぐことができず、彼の体が後方に吹き飛び民家の壁に叩きつけられる。
(とりあえず、一撃は与えたか──)
俺とルシフェルはアイコンタクトを取る。そしてルシフェルが「ヒュドラ」へ向かっていく。
すると──。
ハイドはすでに立ち上がり、「ヒュドラ」へ向かっていったルシフェルに黒い球状の攻撃を繰り出す。
(えっ──)
突然の攻撃、ルシフェルはとっさに身を後方に投げて攻撃をかわす。
困惑するルシフェル、俺も驚いた。確かにあの一撃はかなり強力なものだった。倒しきれてはいないかもしれないがすぐに立ち上がることは出来ないはずだ。
そしてハイドはフラフラと定まらない足取りで、ゆっくりと俺達の方へ向かってくる。
(何かがおかしい──)
よく見るとまがまがしい漆黒の光がさっきより何倍も強くなっている。
ハイドを包んでいる闇属性の力が嘲笑っているかのようにカタカタと震えていた。
ぐったりとうなだれ、体から生気が失われている。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
その叫び声が聞こえた瞬間、彼はこっちを睨みつける。
ギロッ──!!
その視線を突き付けられた俺、だけじゃない、恐らくルシフェルも感じているだろう。
まがまがしく邪悪なオーラ。殺気と破滅への衝動を痛いほどつきつけている。
だがさっきとは明らかに違う。さっきまでのハイドは立場こそ違えど、大切な立った一人の家族を守るため、なりふり構わず戦っている。そんな印象を持っていた。
しかし今はそんな状態ではない。俺だって勇者としてずっと戦ってきた、そういうのは相対すればなんとなくわかる。
(そういうことか──)
俺は今彼に起こっている現象を理解した。
これが闇属性の魔術を使った時の代償。
闇属性の力の特徴、それは力そのものに意思を持っているということだ。
それは破壊や滅亡への意思。
そして使用者が精神的、体力的に消耗しているとその精神が闇の力に飲まれてしまうのだ。
闇属性の力を使った代償。
コッ──、コッ──。
ハイドがゆっくりと一歩一歩近づいてくる。彼自身の意思を感じない、まるでゾンビのように。
もはや今のハイドに意思はない。
ただ闇の力を供給するだけの存在になってしまっている。
そして恐らく彼の魔力が果てれば、使い捨てられるのだろう。
「ハイド、目を覚ませ。お前の大切な物は何だ!!」
俺は精一杯の感情を込めて叫ぶ。しかしハイドは俺の言葉にピクリとも反応しない。そりゃそうだ、今まで戦っていた敵同士、信頼関係なんてない。
「まったくもう、それでも私の幹部? もっとしっかりしなさいよ!!」
ボロボロになりながらルシフェルが叫ぶ。そりゃそうだ、いくら強くても本能のままに戦うだけなんてそこいらにいる魔獣とかわらない。
そう心の中で叫んだ瞬間ハイドがこっちに向かって突っ込んでくる。
そして再びその剣を振り上げ攻撃してくる。
俺はその攻撃を受けて感じる。
(何だこのパワー、さっきとは格段に違う)
さっきより格段に力が上がっている。力任せで猪のような攻撃。
ガードしようにも魔力が強すぎてガードしきれない。
漆黒の光よ、死の力宿して闇夜に轟け!!
ジェノサイド・サイクロン・スレイシング!!
まずい、強力なのが来る!!
ただならぬ力の気配を感じ後方に身を投げ直撃を防ぐが──。
ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──!!
この術式は強力な斬撃であると同時に、風属性の攻撃を周囲に轟かせる術式でもある。
斬撃をかわすのに精いっぱいな俺にはどうする事も出来ない。
攻撃が俺に直撃、肉体は吹き飛び受け身なしで壁に叩きつけられる。
全身が軋むような痛み。体が悲鳴を上げているのが分かる。久しぶりだぜ、この感覚──。
足に力が入らない中、痛みに耐えながら剣を土に突き刺し腕に力を込め強引に立ちあがる。
すぐに次が来るとわかっているからだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
そしてハイドが一気に突っ込んで来た。勝負を決めると言う強い気持ちが見ているだけで伝わってくる。
何とか体の感覚が戻り俺も奴の懐へ突っ込んでいく、接近戦なら俺にだって勝機がある。
だが──。
(そういう戦い方なら、俺にだって考えがある!!)
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