【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び勇者になるようです
第44話 元勇者 何とかルシフェルのピンチに間に合う
互いの剣さばきは互角、そしてそんな時に勝負を決定つけたのはやはりというか力の差だった。
「うっ──!」
「どうした、押されているぞ?」
徐々に押し込まれるルシフェル。それでも有効打を許さず、懸命に攻撃に対応し対処していく。
「あきらめが悪い奴だ」
不利な状況でも相手にくらいつき、勝利の可能性を捨てない。ルシフェルらしいあきらめの悪さ。
「あきらめが悪い? 私にとってはほめ言葉だわ」
「奇遇だな、俺も同じ意見をしている」
「だがそれだけでは延命策にしか過ぎない。今の貴様では俺に勝利することはありあない。なぜなら種族値以上に欠けている物があるからだ」
その言葉にルシフェルが表情を変える。はっと驚いた顔。
「どういうことなの?」
「あの時の方が貴様は必死だった。自分が悪役になろうとも、どんな後ろ指を指されようとも虐げられしもののために戦いぬくと言う鋼鐵ともいえる意思があった。しかし今は無い」
ハイドは見下ろすような目つきで言葉巧みにルシフェルを追い詰めていく。
「心の片隅で思っているのだろう、変わらないのではないかと、徒労に終わってしまうのではないかと、感じているのだろう」
「そんなこと──、ない」
顔を横に振り、否定し叫ぶルシフェル。
「俺は違う、覚悟している。世界を敵に回しても を守りぬくという覚悟を持っている」
「かつて貴様が魔王だった時、なりふり構わず虐げられしもののために戦っていたようにな」
その言葉にルシフェルは反応する。押され続けるルシフェル。
「どうした、剣さばきが乱れているぞ!」
しかしその抵抗も限界が来る。一瞬だけルシフェルがスキを見せる、ハイドはその瞬間を見逃さなかった。
「貴様らしくない。一瞬精神が乱れた。その報いを味あわせてやる」
そう囁きハイドが大きく踏み込み接近する。
そして自身の大鎌に強く魔力を込めルシフェルに目掛けて振りかざす。
ルシフェルは無理矢理両足に魔力を込め体勢を立て直す。そしてギリギリで攻撃を受ける者の攻撃をいなしきれず大きくのけぞる形になり、無防備になってしまう。
「消え去れ!!」
ルシフェルがハイドの攻撃を受けようとするがのけぞった体勢ではどうする事も出来ない。
<闇属性・炎属性 ダークネス・フレア・スレイシング>
ズバァァァァァァァァァァ──!!
魔力を込め、投ぎ払う。ルシフェルはとっさに障壁を展開したものの障壁はガラスのようにバリンと割れる。
初めて有効打をくらい後方に吹き飛ばされるルシフェル。
そのまま民家の壁に叩きつけられ、ぐったりとその体が地面に落ちる。
「その姿では力不足だ。勝利はおろかまともに戦うことすらできないだろう」
(確かに、それは正論ね──)
ハイドの言うことは何ら間違っていない。強さが違いすぎる、このまま戦っても確実に負けるだろう。
ルシフェルの体がそう訴えかけていた。
「俺に勝つには、もはやあの姿になるしかあるまい。かつて世界を支配しようとしたあの姿に」
「あの姿、魔王になれって……」
ルシフェルがはっと気付く。
魔王の姿になれば能力値が今の2倍になり一気に力関係は逆転。勝利を確実にすることが出来るだろう。
しかし──。
「魔王になんか、ならない!!」
気力を振り絞って立ちあがり叫ぶ。
当然の判断だった。こんなところで魔王になってしまえば、この世界の人達に魔王だと知られてしまう。
もちろんもうこの世界にはいられない。魔王時代に虐げられていた人達、彼らを救うという夢をあきらめなければならなくなる。
「まあ、そうだろうな。だから俺も人目がある街での戦いを選んだ。貴様をその姿で縛れるからな」
「選ぶがいい。その姿で敗れるか、魔王の姿になるか」
魔王だった時代、差別や虐殺を受けていた人達を救おうと、彼らを結集して人間達に戦いを挑んだ。
そして実際に彼らの人間や権力者たちに対する怒りを聞いて立ちあがらせた。
しかし勇者たちと戦いながら少しずつ感じてきた。
争いに争いで対抗したところで何一つ解決しない。破壊の限りを尽くした所でむしろ憎悪を広めるだけで何一つよくなっていなかった事に──。
「だから私は魔王にはならない、たとえ今は勝ったとしても私の夢が潰えてしまうもの」
「わかった、では貴様はその夢とともに消えてもらおう!!」
<闇属性 ジェノサイド・ストーム・エアレイド>
ハイドが大鎌をルシフェルに向ける、大鎌は今までにないくらい強く黒く光り始める。
そしてルシフェルに向って闇の暴風が放たれる。ルシフェルに防ぐ手立てはなく攻撃が直撃。
数メートルほど体が吹き飛びその場に倒れこむ。
「次は貴様の魂をからせてもらう番だ──」
ハイドはそう叫ぶとルシフェルにゆっくりと近づいていく。ルシフェルは倒れながらハイドを睨みつけながら叫ぶ。
「あなたは、かわいそうな人だわ──」
「負け惜しみか? フッ、俺にこの力や地位を与えた礼に聞いてやろう」
「じゃあ一つだけ聞くわ。もし弟の魂を奪わなきゃいけないことになっても、あなたは同じことが出来るわけ?」
「愚問だな。俺は博愛主義者ではない。ノルアのためならどんな闇にも手を染める。たったそれだけのことだ」
ハイドの冷たい視線がルシフェルに向けられる。
「もういい、敗者のたわごとにいつまでも耳を貸す程退屈ではない」
「この一撃で勝負は決まる。それでは魔王の魂、いただくとするか……。我が力の糧となれ」
もうルシフェルに対抗できる手段はない。彼女の瞳にあきらめの色が灯始めたその時──。
「待て貴様!!」
「それは、俺達を倒してからにしてもらおうか!!」
「元勇者、それにセリカ何の用だ」
ふぅ、何とか間に合ったか──。走ってきた俺は額の汗をぬぐい2人の様子を見る。
なぜこうなったかというとみんなが寝静まった後物音がしたから何かと思ったらルシフェルがいなかった。
もしかしたらと思いセリカの所にいったら、ルシフェルを見たという報告があった。その方向へ行って探しまわったらこういうことになっていたわけだ。
するとルシフェルが不満そうに俺に叫ぶ。
「何で来たのよあんた」
「うっ──!」
「どうした、押されているぞ?」
徐々に押し込まれるルシフェル。それでも有効打を許さず、懸命に攻撃に対応し対処していく。
「あきらめが悪い奴だ」
不利な状況でも相手にくらいつき、勝利の可能性を捨てない。ルシフェルらしいあきらめの悪さ。
「あきらめが悪い? 私にとってはほめ言葉だわ」
「奇遇だな、俺も同じ意見をしている」
「だがそれだけでは延命策にしか過ぎない。今の貴様では俺に勝利することはありあない。なぜなら種族値以上に欠けている物があるからだ」
その言葉にルシフェルが表情を変える。はっと驚いた顔。
「どういうことなの?」
「あの時の方が貴様は必死だった。自分が悪役になろうとも、どんな後ろ指を指されようとも虐げられしもののために戦いぬくと言う鋼鐵ともいえる意思があった。しかし今は無い」
ハイドは見下ろすような目つきで言葉巧みにルシフェルを追い詰めていく。
「心の片隅で思っているのだろう、変わらないのではないかと、徒労に終わってしまうのではないかと、感じているのだろう」
「そんなこと──、ない」
顔を横に振り、否定し叫ぶルシフェル。
「俺は違う、覚悟している。世界を敵に回しても を守りぬくという覚悟を持っている」
「かつて貴様が魔王だった時、なりふり構わず虐げられしもののために戦っていたようにな」
その言葉にルシフェルは反応する。押され続けるルシフェル。
「どうした、剣さばきが乱れているぞ!」
しかしその抵抗も限界が来る。一瞬だけルシフェルがスキを見せる、ハイドはその瞬間を見逃さなかった。
「貴様らしくない。一瞬精神が乱れた。その報いを味あわせてやる」
そう囁きハイドが大きく踏み込み接近する。
そして自身の大鎌に強く魔力を込めルシフェルに目掛けて振りかざす。
ルシフェルは無理矢理両足に魔力を込め体勢を立て直す。そしてギリギリで攻撃を受ける者の攻撃をいなしきれず大きくのけぞる形になり、無防備になってしまう。
「消え去れ!!」
ルシフェルがハイドの攻撃を受けようとするがのけぞった体勢ではどうする事も出来ない。
<闇属性・炎属性 ダークネス・フレア・スレイシング>
ズバァァァァァァァァァァ──!!
魔力を込め、投ぎ払う。ルシフェルはとっさに障壁を展開したものの障壁はガラスのようにバリンと割れる。
初めて有効打をくらい後方に吹き飛ばされるルシフェル。
そのまま民家の壁に叩きつけられ、ぐったりとその体が地面に落ちる。
「その姿では力不足だ。勝利はおろかまともに戦うことすらできないだろう」
(確かに、それは正論ね──)
ハイドの言うことは何ら間違っていない。強さが違いすぎる、このまま戦っても確実に負けるだろう。
ルシフェルの体がそう訴えかけていた。
「俺に勝つには、もはやあの姿になるしかあるまい。かつて世界を支配しようとしたあの姿に」
「あの姿、魔王になれって……」
ルシフェルがはっと気付く。
魔王の姿になれば能力値が今の2倍になり一気に力関係は逆転。勝利を確実にすることが出来るだろう。
しかし──。
「魔王になんか、ならない!!」
気力を振り絞って立ちあがり叫ぶ。
当然の判断だった。こんなところで魔王になってしまえば、この世界の人達に魔王だと知られてしまう。
もちろんもうこの世界にはいられない。魔王時代に虐げられていた人達、彼らを救うという夢をあきらめなければならなくなる。
「まあ、そうだろうな。だから俺も人目がある街での戦いを選んだ。貴様をその姿で縛れるからな」
「選ぶがいい。その姿で敗れるか、魔王の姿になるか」
魔王だった時代、差別や虐殺を受けていた人達を救おうと、彼らを結集して人間達に戦いを挑んだ。
そして実際に彼らの人間や権力者たちに対する怒りを聞いて立ちあがらせた。
しかし勇者たちと戦いながら少しずつ感じてきた。
争いに争いで対抗したところで何一つ解決しない。破壊の限りを尽くした所でむしろ憎悪を広めるだけで何一つよくなっていなかった事に──。
「だから私は魔王にはならない、たとえ今は勝ったとしても私の夢が潰えてしまうもの」
「わかった、では貴様はその夢とともに消えてもらおう!!」
<闇属性 ジェノサイド・ストーム・エアレイド>
ハイドが大鎌をルシフェルに向ける、大鎌は今までにないくらい強く黒く光り始める。
そしてルシフェルに向って闇の暴風が放たれる。ルシフェルに防ぐ手立てはなく攻撃が直撃。
数メートルほど体が吹き飛びその場に倒れこむ。
「次は貴様の魂をからせてもらう番だ──」
ハイドはそう叫ぶとルシフェルにゆっくりと近づいていく。ルシフェルは倒れながらハイドを睨みつけながら叫ぶ。
「あなたは、かわいそうな人だわ──」
「負け惜しみか? フッ、俺にこの力や地位を与えた礼に聞いてやろう」
「じゃあ一つだけ聞くわ。もし弟の魂を奪わなきゃいけないことになっても、あなたは同じことが出来るわけ?」
「愚問だな。俺は博愛主義者ではない。ノルアのためならどんな闇にも手を染める。たったそれだけのことだ」
ハイドの冷たい視線がルシフェルに向けられる。
「もういい、敗者のたわごとにいつまでも耳を貸す程退屈ではない」
「この一撃で勝負は決まる。それでは魔王の魂、いただくとするか……。我が力の糧となれ」
もうルシフェルに対抗できる手段はない。彼女の瞳にあきらめの色が灯始めたその時──。
「待て貴様!!」
「それは、俺達を倒してからにしてもらおうか!!」
「元勇者、それにセリカ何の用だ」
ふぅ、何とか間に合ったか──。走ってきた俺は額の汗をぬぐい2人の様子を見る。
なぜこうなったかというとみんなが寝静まった後物音がしたから何かと思ったらルシフェルがいなかった。
もしかしたらと思いセリカの所にいったら、ルシフェルを見たという報告があった。その方向へ行って探しまわったらこういうことになっていたわけだ。
するとルシフェルが不満そうに俺に叫ぶ。
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