【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び勇者になるようです
第26話 元勇者 この世界の現実を知る
「私ではなく、信頼できる人に代理人を通して、依頼書を書きました」
(依頼書? ああ、あの謎だらけの文章になった理由?)
「今やギルドは政府の直属機関。国家に反逆すると思われたものは適当な理由をつけられ、認められなくなってしまっています。それどころか依頼人に私の名を記しただけで闇に葬られる始末」
「つまりギルドには、自分の名を伝えず、内容も分からないようにしないと握りつぶされるって事ですか?」
「はい。あのような内容もわからない、不備があるような内容で本当にクエストを受諾してくれたこと。その上この場所に来てくれるなんてとても光栄です」
パトラは無表情のままぺこりと頭を下げる。
「事件に巻き込まれる系の依頼書じゃなくてよかったです」
ローザがほっと息をなでおろす。俺も少し安心した。
「この街に来てから、よく変装をして。街をうろついています」
「パトラさんくらいのご身分があろう方が、大変珍しいですね」
セフィラが首を傾げ質問。パトラさんはフッと笑みを浮かべて言葉を返す。
「おかしいですか?」
「私も祖国ではいろいろな政治家、貴族達と会った事はあります。しかしそんな事をしている人は見かけませんでした」
「正直、それはおかしな質問だと考えています。政治家というのは本来国民が困っていることに耳を傾け、声をくみ取り解決していくことが仕事のはずなのです」
「それもそうですね」
「なのにこの国の政治に携わっている事といえば利権、政争争い。国民たちが困っていても何食わぬ顔。まったく、ひどいものです」
パトラさんのぐうの音も出ないような正論。ローザとセフィラは驚く。
「まあ、あなたらしいし、そういう心構え、私は好きよ。応援したくなったわ」
ルシフェルはその言葉に微笑を浮かべ、パトラに手を差し出す。パトラは一瞬頭に?マークを浮かべたような表情をしたがすぐに意味を理解し手を握る。
でも俺も同じ意見。こういう人なら心から応援していきたいと思う。
(というかパトラさんも変わった人だ、無表情で話が唐突な所がある。でも志がある、いい人だ。俺達が支えないと──)
そしてそんな会話をしながら歩いていると
兵士達があいさつをして頭を下げる。
そして宮殿の中に入る。
階段を渡って、人気がなくなると、前を歩いていたパトラさんが話しかけてきた。
「何故か私を宮殿に住まいを移してもらえないかと頼まれたんです、陽平さん」
「そ、そうなんですか。罠ではないといいですね」
良く思っていないはずなのに? 警戒はしておこう。そして──。
「とりあえず私の部屋がここです」
パトラさんに割り当てられた部屋bにたどり着いた。
部屋を開けると今まで俺達が住んでいたホテルとは別世界が広がっていた。
「やっぱりこういうところが豪華ね」
ルシフェルが思わず囁く。流石、貴族達の住んでいるところという感じだ。
豪華なシャンデリアに暖炉、高級そうな絵画、身分が高い人が住んでいる部屋という印象。
「あの人は──」
ローザが不思議がり、部屋の隅にいた一人の人物を指差す。
「パトラ様、申し訳ありません。掃除が今終わりました、ゆっくりくつろいでどうぞ」
その人物がしゃべり出す、金髪で150cmくらいの小柄なメイド服を着た幼女。
幼女は掃除用具をあせあせと片付け始める。そして早足でこの部屋を出ていこうとした。
次の瞬間──。
「ちょっと待ってください。あなたに聞きたいことがあります」
なんとパトラが幼女に急接近、何も言わずにポケットをあさり始めたのだ。
「いやっ、何すんのよ!!」
幼女はすくみ始め、悲鳴を叫ぶ。
そしてパトラが背後に移動、右腕をつかむ。その瞬間メイドの幼女は左手でパッとポケットを抑える。
「ずいぶんと必死ですね。まだまだ経験が甘いようです。それではポケットに何か隠していると言っているようなものです」
その幼女はぞっとし始め、パトラの方を振り向く。顔は青ざめ、額からは汗がだらだらと噴き出ている。恐怖と絶望に心の中が支配されていくのが俺からも理解できる、
「う、うっさい!! いきなり背後に立たれたら誰だって警戒するでしょうが」
「ではなぜポケットを抑えたのですか? 背後に立たれ、ぞっとしたならば反射的にそんなことをすることはあり得ません。もうわかっています。大人しくそのポケットにある物を見せてもらいます」
その言葉に幼女は観念したのか、あきらめの表情になる。ポケットに手を入れようとする。しかし……。
ザッ──。
パトラは何と幼女がポケットに手を突っ込むのを左手で止め、自分の右手を彼女のポケットに突っこんだ。
そしてメモ用紙らしきものを発見、それを自分のポケットに入れる。
最後、ガサゴソと他に何かないか探し、何も無い事を確認して幼女と距離を開けた。
「信用できません。適当なそれらしいダミーの紙を差し出し、本当の情報が描いてある紙を隠ぺいする可能性があります」
流石にそうだ。今までにもスパイ行為をされたり、重要な情報が漏えいしたりあったんだろう。
抜け目がないというか──。
しかしすごい追い詰め方……。さっきまで強気で問い詰めようとしたルシフェルまでちょっと引き気味になっている。俺もちょっとどん引き気味。
警戒心をむき出しにしながら幼女はパトラをにらむ。
パトラは幼女を気にも留めず、彼女から取り上げたメモを読み始める。
「メモやノート、異常なし。警戒しているのか自分の秘密情報に関しる記載なし。と──」
「当り前です。あなた達とはいがみ合って来た仲、仲が良いように見える人だって、信頼関係でつながっているのではなく、共通の敵を抱えているだけだったり利害関係でつながっているだけ。当然警戒します。あなたのような人物がいる事も──」
「くっ──」
幼女、歯ぎしりをしながらパトラを睨みつける。
「なので秘密にしたいことは、メモに書いたまま置きっぱなしなんてしません。残念でしたね」
(依頼書? ああ、あの謎だらけの文章になった理由?)
「今やギルドは政府の直属機関。国家に反逆すると思われたものは適当な理由をつけられ、認められなくなってしまっています。それどころか依頼人に私の名を記しただけで闇に葬られる始末」
「つまりギルドには、自分の名を伝えず、内容も分からないようにしないと握りつぶされるって事ですか?」
「はい。あのような内容もわからない、不備があるような内容で本当にクエストを受諾してくれたこと。その上この場所に来てくれるなんてとても光栄です」
パトラは無表情のままぺこりと頭を下げる。
「事件に巻き込まれる系の依頼書じゃなくてよかったです」
ローザがほっと息をなでおろす。俺も少し安心した。
「この街に来てから、よく変装をして。街をうろついています」
「パトラさんくらいのご身分があろう方が、大変珍しいですね」
セフィラが首を傾げ質問。パトラさんはフッと笑みを浮かべて言葉を返す。
「おかしいですか?」
「私も祖国ではいろいろな政治家、貴族達と会った事はあります。しかしそんな事をしている人は見かけませんでした」
「正直、それはおかしな質問だと考えています。政治家というのは本来国民が困っていることに耳を傾け、声をくみ取り解決していくことが仕事のはずなのです」
「それもそうですね」
「なのにこの国の政治に携わっている事といえば利権、政争争い。国民たちが困っていても何食わぬ顔。まったく、ひどいものです」
パトラさんのぐうの音も出ないような正論。ローザとセフィラは驚く。
「まあ、あなたらしいし、そういう心構え、私は好きよ。応援したくなったわ」
ルシフェルはその言葉に微笑を浮かべ、パトラに手を差し出す。パトラは一瞬頭に?マークを浮かべたような表情をしたがすぐに意味を理解し手を握る。
でも俺も同じ意見。こういう人なら心から応援していきたいと思う。
(というかパトラさんも変わった人だ、無表情で話が唐突な所がある。でも志がある、いい人だ。俺達が支えないと──)
そしてそんな会話をしながら歩いていると
兵士達があいさつをして頭を下げる。
そして宮殿の中に入る。
階段を渡って、人気がなくなると、前を歩いていたパトラさんが話しかけてきた。
「何故か私を宮殿に住まいを移してもらえないかと頼まれたんです、陽平さん」
「そ、そうなんですか。罠ではないといいですね」
良く思っていないはずなのに? 警戒はしておこう。そして──。
「とりあえず私の部屋がここです」
パトラさんに割り当てられた部屋bにたどり着いた。
部屋を開けると今まで俺達が住んでいたホテルとは別世界が広がっていた。
「やっぱりこういうところが豪華ね」
ルシフェルが思わず囁く。流石、貴族達の住んでいるところという感じだ。
豪華なシャンデリアに暖炉、高級そうな絵画、身分が高い人が住んでいる部屋という印象。
「あの人は──」
ローザが不思議がり、部屋の隅にいた一人の人物を指差す。
「パトラ様、申し訳ありません。掃除が今終わりました、ゆっくりくつろいでどうぞ」
その人物がしゃべり出す、金髪で150cmくらいの小柄なメイド服を着た幼女。
幼女は掃除用具をあせあせと片付け始める。そして早足でこの部屋を出ていこうとした。
次の瞬間──。
「ちょっと待ってください。あなたに聞きたいことがあります」
なんとパトラが幼女に急接近、何も言わずにポケットをあさり始めたのだ。
「いやっ、何すんのよ!!」
幼女はすくみ始め、悲鳴を叫ぶ。
そしてパトラが背後に移動、右腕をつかむ。その瞬間メイドの幼女は左手でパッとポケットを抑える。
「ずいぶんと必死ですね。まだまだ経験が甘いようです。それではポケットに何か隠していると言っているようなものです」
その幼女はぞっとし始め、パトラの方を振り向く。顔は青ざめ、額からは汗がだらだらと噴き出ている。恐怖と絶望に心の中が支配されていくのが俺からも理解できる、
「う、うっさい!! いきなり背後に立たれたら誰だって警戒するでしょうが」
「ではなぜポケットを抑えたのですか? 背後に立たれ、ぞっとしたならば反射的にそんなことをすることはあり得ません。もうわかっています。大人しくそのポケットにある物を見せてもらいます」
その言葉に幼女は観念したのか、あきらめの表情になる。ポケットに手を入れようとする。しかし……。
ザッ──。
パトラは何と幼女がポケットに手を突っ込むのを左手で止め、自分の右手を彼女のポケットに突っこんだ。
そしてメモ用紙らしきものを発見、それを自分のポケットに入れる。
最後、ガサゴソと他に何かないか探し、何も無い事を確認して幼女と距離を開けた。
「信用できません。適当なそれらしいダミーの紙を差し出し、本当の情報が描いてある紙を隠ぺいする可能性があります」
流石にそうだ。今までにもスパイ行為をされたり、重要な情報が漏えいしたりあったんだろう。
抜け目がないというか──。
しかしすごい追い詰め方……。さっきまで強気で問い詰めようとしたルシフェルまでちょっと引き気味になっている。俺もちょっとどん引き気味。
警戒心をむき出しにしながら幼女はパトラをにらむ。
パトラは幼女を気にも留めず、彼女から取り上げたメモを読み始める。
「メモやノート、異常なし。警戒しているのか自分の秘密情報に関しる記載なし。と──」
「当り前です。あなた達とはいがみ合って来た仲、仲が良いように見える人だって、信頼関係でつながっているのではなく、共通の敵を抱えているだけだったり利害関係でつながっているだけ。当然警戒します。あなたのような人物がいる事も──」
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