【完結】TS! 俺、女の子になってるっ? 魔法少女になった俺は、最強になって百合展開を楽しむようです

静内 燕

第43話 過酷だけど、これからも頑張ろう!

「じゃあ行くよ。アグナムちゃんの魔法少女歓迎会。かんぱーい!!」

「かんぱーい!」


そして魔法少女たちは、ワイングラスに注がれた飲み物を口にする。
あるものはがっつくようにチキンをほおばり、あるものは談笑を楽しむ。

ユピテルがワインを口にした後、俺の隣に移動してきて話しかけてくる。

「魔法少女というのは、女の子にとってお金を稼げる職業である一方、常に危険と隣り合わせだ。今は戦術や回復術式の使い方が研究されているのでめったにないが、昔は死亡事故になることも珍しくなかった」

「そ、そうなのか──」

ユピテルの言葉に俺は言葉を失い、切ない表情になる。まあ、あんな巨大な魔獣や敵と戦っているんだ。そういうことになってしまっても何も珍しくはない。

「だからこそ、今この瞬間を楽しむこと、そしてそんな過酷な使命を共に全うする戦友を向かうるときは、大切に扱い今を共に過ごそうと決められているんだ」

そうか、楽しそうに食べたり話したりしている彼女たちも、有事の際には戦いに行かなきゃいけない。
過酷な敵と戦って、どんな末路になってもおかしくない。そんな運命なんだな。
だったら、俺も今は楽しもう。

そう考えていると、誰かが俺の右肩をぎゅっとつかんできた。

「アグナムさん。私メリシアっているの、よろしくね~~」

陽気な態度、顔が少し赤くなっている。酔い気味だな。

「メリシアさんね、以前ギルドにいたよね」

紫色で毛先がチョココロネみたいになっているお姉さんという感じの女の子だ。
さらに別の魔法少女がやってきて話してきた。

「こいつ、前回大会でベスト4になるくらいの魔法少女なんですよ~~」

小柄な魔法少女が彼女のほっぺをツンツンしながら話しかけてくる。マジか、そこまでの実力者だったのかよ。

「そうなんだ、じゃあ大会で当たったら、その時はよろしくね」

「ごめん、今回はダメだったみたい。相手が強くて負けちゃった」

そ、そうなのか。せっかく会えたのに残念だったな。

「しょ、しょうがないじゃん。まさかあんな強いなんて思わなかったんだもん」

メリシアは顔を膨れさせながら話す。するとユピテルは皿に持ってあったチキンとサラダを食べた後、俺の隣にやってきた。

「すでに前回大会の上位勢が、何人か敗れている。波乱のある戦いになるぞこれは」

そ、そんな激しい戦いなのか。それでいて1発勝負、こりゃ油断できないな。

「ありがとう、参考にさせてもらうよ」

今のやり取りで気を引き締める俺。そしてそれをぶち壊す一人の女の子がやってくる。

「やってきたわよ。私のアグナム──」

「レ、レテフ……」

体をくねくねとさせながら俺の隣にぴったりとくっつき始める。ギュッと俺の右手を握ってくる。俺の指とレテフの指を交互に絡めあう通称恋人つなぎだ。そして顔を息が当たるくらいまで近づけてから話しかけてくる。

「私、体が熱くてぼーっとするの。酔っちゃったみたい」

う~ん、確かに顔が赤い、どこか様子が変だ。ぼーっとしているような雰囲気はある。左手にはワイングラス。

「ワイン、どれくらい飲んだの?」

「──2杯くらい」

そして彼女おでこにそっと手を当てる。すると──。

「ごめん、私もう抑えられない!」

そう囁きコトッと左手に持っているワイングラスを机に置く。

ガバッ!

「ちょっと、何を!」

ジュルルルルル~~、チュポッチュポッ!

何とレテフは俺を押し倒し、抱き着いてきた挙句、羽織っていたマントの中に入り、俺の胸に顔を埋めてきたのだ。
それだけじゃない、俺の胸の周囲をぺろぺろとしゃぶりつくす様になめ回している。

そうだった、今の俺は全裸をさらして、ユピテルからマントを受け取った後、それを羽織ってそのままだ。だからマントをめくれば俺の体が丸見え、当然下着もつけていない。

「ちょっとレテフ。こんなところで、人前でそんなことしないで、離して!」

「こんなところ? 人前? じゃあこんなところでも人前でもないならやっていいのね。今から場所を移してやりましょう。すぐ!!!!」

そういう意味じゃない。

「アグナムの香り、ずっと嗅いでいたい! アグナムのからのぬくもり、最高、一生抱きしめていたい! アグナムの体。世界の終りまで抱きしめたいくらい柔らかくていい!」

そう叫びながらレテフは俺の胸をむしゃぶりつくす様に舐め回す。俺は何とか振りほどこうと必死にもがくが力が強く振りほどけない。

それを見たサナは顔を真っ赤にして目をそらす。
周囲の魔法少女はその光景に唖然としてしまう。

「え? なになに──アグナムさんって、女の子が好きなの?」

「私も噂で聞いた事がある。レズってやつ?」

「ああ、でもアグナムさんってイケメンやし、口調もそぶりも男っぽいしタイプかも」


ああ……、周囲からもありもしない疑いをかけられてる。違う、確かに男と付き合うのは抵抗あるけど、女の子同士というのはさすがに違う気が──。

とりあえずこの免罪製造機のこいつを引き離そう。ちょっと強引な手段になるけどしょうがない。

俺は右手の拳を振り上げ──。

ゴン!!

レテフの頭上に思いっきりげんこつを見舞う。レテフはぐほっと奇声を上げた後、ばたりと地面に倒れこむ。

ふぅ──。

とりあえずこの場を収めて額をぬぐい、一息つく俺。

けどなんか楽しいな。平凡な毎日、パソコンに向かい合うだけの日々より、大変なこともあるけれど、楽しいこともいろいろあったな。


その後も俺は魔法少女たちとコミュニケーションをとる。この街の情報、大変なこと、今までの事や制度など。

やっぱり大変なのは生活かな。どうしても元の世界と比べて不便なところも多そうだ。
それにいつ強敵と戦うことになるかわからないから、いつでも戦える状態にして、腕を磨いていかないといけないらしい。

「エンペラーカップだって、『レート』で戦っているのだってそれが目的みたいなものだ」

「けど、ユピテルさんみたいな強敵とは当たりたくないな……」

まあ、そうだよな。
楽しいトークタイムはあっという間に終わりをつげ、お開きとなる。
片づけをしながら今までの思い出に浸る。


強敵だったな。あの2人。単純に戦闘自体も強かったけど、ドイデのサナとレテフを洗脳させて戦うやり方。ユピテルが気を利かせてくれなかったら何とかなって、ムエリットとの戦いに専念することができた。

ユピテルがいなかったら危なかった。

ただ、敵はまだまだいるだよなあ……。
あんな強いやつがあと5人。そしてそれを束ねる魔王の存在。エンペラーカップだってそう、これからもっと強敵にあたっていく回数も増えていく。

大変だけど、廃人だったころと違ってサナやレテフ、ユピテルといった仲間がいる。
さっきみたいに頼もしい仲間がいることがいることが、こんなに心強いなんて思わなかった。

あとは貞操だな。
この世界に来てからいろいろとおかしい。いきなり野獣のようなディープキスをされた後、裸同士での抱き合い、ほかの魔法少女たちが見ている前でのパンモロ、ねっとり粘液付きの触手プレイ、とうとう全裸を大衆たちにさらされてしまった。

その先どんな凌辱プレイが待っているのだろうか。俺の貞操は大丈夫なのだろうか。本当に心配だ。

大変そうな魔法少女生活になりそうだけど。がんばろう。

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