~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第103話 結果発表
それでも、俺に負けるわけにはいかないと心に決めているアドナ。
不正行為を行う決断をするのに、そう時間はかからなかった。
そしてアドナはゆらゆらと立ち上がり、この場を立ち去っていく。生気を失った表情。
自分が勝てると思い込んでいたユニコーン達、そんな彼らにもてあそばれた挙句、ほとんど有効打を与えられなかった。
さらにカムロスにごねたものの、全く相手にされずに追い返されてしまう始末。
このままでは借金を返せず、奴隷落ちとなってしまうという事実。
それが、アドナの心に重石の様に重くのしかかっていた。
その後、熾天使ヴィーザルと合流。
重く暗い表情を見た、すべてを察したヴィーザルはため息をついてアドナに問う。
「──ハァっ。一応聞いてあげるわ。水晶ドクロの件、どうなったか説明して」
アドナは今までにないくらい拳を強く握る。そしてヴィーザルから視線をそらしながら自らの結果を伝えた。
「ふざけるな。すべて村人が使えないからだ」
ヴィーザルはやれやれとポーズをとり、呆れている。
「もう、あんたは終わりね。もうあなたのことなんて知らない。もうあなたとの関係は終わりよ。後で金は返してね」
その言葉にアドナは血相を変え、焦りながらヴィーザルを引き留める。当然だ、ここで見捨てられたらアドナに金を返す方法はない。
奴隷の首飾りを付けられるという運命が待ってるのだ。
「待て、チャンスをくれ」
しかしヴィーザルはアドナのことを気にも留めない。
「あんた、使えないじゃない。もう知らないわ。勝手にして、じゃあね」
ヴィーザルはそう捨て台詞を吐いてこの場を去っていった。
一人取り残されたアドナ。
「くそう、どいつもこいつも俺の実力を理解しない。クソみたいなやつらだ。絶対に、絶対に後悔させてやる──」
あまりのイライラに隣にあった家の壁を思いっきり蹴っ飛ばす。
すると家の中から大声でどなり声が聞こえだす。
「誰だァァ──!! ぶっ飛ばしてやる」
「うるせぇぇ。この俺様がイライラしているんだ。このくらい黙ってろ!」
そして出て来た村人を殴って返り討ちにする。
手をパンパンとはたいてその場を去っていく。
「二度と俺様をイライラさせるな、クソ野郎!!」
それからも、迫りくる敗北という現実にどうすればいいかわからず、ただ幽霊か何かの様にこの場を徘徊していた。
虚ろな目で徘徊しているアドナに、一つの物が目に浮かぶ。
「露店か──、そう言えばそんなのもあったな」
それは、この村に来て初めて目にした、水晶ガラスのはく製を販売している露店。
来たころはこんなことをしていたらフライに何を言われるかわからない。
実力を見せつけてやる──。
そう豪語してこの場を立ち去っていった。
しかし、ここで水晶ドクロを手に入れられなければ、アドナは奴隷落ち確定。
それだけはなんとしても、阻止しなければならない。
「……屈辱だが、仕方あるまい」
失うものは何もない。
アドナは最後の希望を託すため。ふらふらとした足取りで露店の方へと足を進めていった。
一方俺たち。
俺たちは街へと帰還。まずはレディナ達が住んでいる部屋へ。
「ただいま。目的の水晶ドクロ、手に入れたよ」
「フライ、フリーゼ、すごいじゃない」
「やったフィッシュ。いけるフィッシュ」
みんな、そのことを報告するなり、とても喜んでいた。
「フライさん、長旅の疲れもあることですし、少し休んでからでもよいのでは?」
「そうだね、フリーゼ」
フリーゼの言葉通り、休憩。
少し休んでからギルドへと戻る。
そしてリルナさんに出会い、収穫を報告。
すると報告中にアドナも帰還。どこか暗い、後ろめたいような表情をしている。
ヴィーザルはこの場にはいない。仲間割れでもしたのだろうか。
ほどなくしてリルナさんは双方のドクロの集計を終え、結果発表となる。
「それでは、結果発表です」
俺達は固唾をのんで見守る。
「まずはフライさん。ドクロの数は五個。そしてアドナさんはニ十個。よって勝利はアドナさんです」
「よっしゃ──っ!! 雑魚野郎のフライに勝ったぞ! この負け犬。これが実力なんだよ。思い知ったかフライ、これでお前たちは終しまいだ。超気持ちいぜぇぇ」
アドナは俺に勝利したという事実にはしゃぎ回る。よほど嬉しいようだ。
俺は冷静さを崩さず、アドナに話しかける。
「待てよ。まだやるべきことがある。このドクロが本当にダンジョンでとってきたものなのかまだ分からないだろ」
アドナはにやりと笑みを浮かべて俺に迫ってくる。彼の中では、もう俺に勝った気でいるのだろう。
「自分が勝てなかったからって、変ないちゃもんを付けるな。言い訳すんな、俺の勝ちだ。お前はおしまいなんだよ、この雑魚野郎!」
どや顔を浮かべながら言葉を返すアドナ。俺はシャフルスク村の商店でアドナがドクロを買い占めているのをちゃんと聞いている。
証拠だってちゃんとある。お前はバレないと思っているんだろうがな──。
待ってろ、今お前のズルをみんなの前で暴いてやる。
「アドナ。いいことを教えてやる。俺たちが立ち寄ったシャフルスク村の中央にある商人がやっている出店、そこに売っていた水晶ドクロのことなんだけどな──」
するとアドナが体をピクリと動かし、険しい表情に変わった。
不正行為を行う決断をするのに、そう時間はかからなかった。
そしてアドナはゆらゆらと立ち上がり、この場を立ち去っていく。生気を失った表情。
自分が勝てると思い込んでいたユニコーン達、そんな彼らにもてあそばれた挙句、ほとんど有効打を与えられなかった。
さらにカムロスにごねたものの、全く相手にされずに追い返されてしまう始末。
このままでは借金を返せず、奴隷落ちとなってしまうという事実。
それが、アドナの心に重石の様に重くのしかかっていた。
その後、熾天使ヴィーザルと合流。
重く暗い表情を見た、すべてを察したヴィーザルはため息をついてアドナに問う。
「──ハァっ。一応聞いてあげるわ。水晶ドクロの件、どうなったか説明して」
アドナは今までにないくらい拳を強く握る。そしてヴィーザルから視線をそらしながら自らの結果を伝えた。
「ふざけるな。すべて村人が使えないからだ」
ヴィーザルはやれやれとポーズをとり、呆れている。
「もう、あんたは終わりね。もうあなたのことなんて知らない。もうあなたとの関係は終わりよ。後で金は返してね」
その言葉にアドナは血相を変え、焦りながらヴィーザルを引き留める。当然だ、ここで見捨てられたらアドナに金を返す方法はない。
奴隷の首飾りを付けられるという運命が待ってるのだ。
「待て、チャンスをくれ」
しかしヴィーザルはアドナのことを気にも留めない。
「あんた、使えないじゃない。もう知らないわ。勝手にして、じゃあね」
ヴィーザルはそう捨て台詞を吐いてこの場を去っていった。
一人取り残されたアドナ。
「くそう、どいつもこいつも俺の実力を理解しない。クソみたいなやつらだ。絶対に、絶対に後悔させてやる──」
あまりのイライラに隣にあった家の壁を思いっきり蹴っ飛ばす。
すると家の中から大声でどなり声が聞こえだす。
「誰だァァ──!! ぶっ飛ばしてやる」
「うるせぇぇ。この俺様がイライラしているんだ。このくらい黙ってろ!」
そして出て来た村人を殴って返り討ちにする。
手をパンパンとはたいてその場を去っていく。
「二度と俺様をイライラさせるな、クソ野郎!!」
それからも、迫りくる敗北という現実にどうすればいいかわからず、ただ幽霊か何かの様にこの場を徘徊していた。
虚ろな目で徘徊しているアドナに、一つの物が目に浮かぶ。
「露店か──、そう言えばそんなのもあったな」
それは、この村に来て初めて目にした、水晶ガラスのはく製を販売している露店。
来たころはこんなことをしていたらフライに何を言われるかわからない。
実力を見せつけてやる──。
そう豪語してこの場を立ち去っていった。
しかし、ここで水晶ドクロを手に入れられなければ、アドナは奴隷落ち確定。
それだけはなんとしても、阻止しなければならない。
「……屈辱だが、仕方あるまい」
失うものは何もない。
アドナは最後の希望を託すため。ふらふらとした足取りで露店の方へと足を進めていった。
一方俺たち。
俺たちは街へと帰還。まずはレディナ達が住んでいる部屋へ。
「ただいま。目的の水晶ドクロ、手に入れたよ」
「フライ、フリーゼ、すごいじゃない」
「やったフィッシュ。いけるフィッシュ」
みんな、そのことを報告するなり、とても喜んでいた。
「フライさん、長旅の疲れもあることですし、少し休んでからでもよいのでは?」
「そうだね、フリーゼ」
フリーゼの言葉通り、休憩。
少し休んでからギルドへと戻る。
そしてリルナさんに出会い、収穫を報告。
すると報告中にアドナも帰還。どこか暗い、後ろめたいような表情をしている。
ヴィーザルはこの場にはいない。仲間割れでもしたのだろうか。
ほどなくしてリルナさんは双方のドクロの集計を終え、結果発表となる。
「それでは、結果発表です」
俺達は固唾をのんで見守る。
「まずはフライさん。ドクロの数は五個。そしてアドナさんはニ十個。よって勝利はアドナさんです」
「よっしゃ──っ!! 雑魚野郎のフライに勝ったぞ! この負け犬。これが実力なんだよ。思い知ったかフライ、これでお前たちは終しまいだ。超気持ちいぜぇぇ」
アドナは俺に勝利したという事実にはしゃぎ回る。よほど嬉しいようだ。
俺は冷静さを崩さず、アドナに話しかける。
「待てよ。まだやるべきことがある。このドクロが本当にダンジョンでとってきたものなのかまだ分からないだろ」
アドナはにやりと笑みを浮かべて俺に迫ってくる。彼の中では、もう俺に勝った気でいるのだろう。
「自分が勝てなかったからって、変ないちゃもんを付けるな。言い訳すんな、俺の勝ちだ。お前はおしまいなんだよ、この雑魚野郎!」
どや顔を浮かべながら言葉を返すアドナ。俺はシャフルスク村の商店でアドナがドクロを買い占めているのをちゃんと聞いている。
証拠だってちゃんとある。お前はバレないと思っているんだろうがな──。
待ってろ、今お前のズルをみんなの前で暴いてやる。
「アドナ。いいことを教えてやる。俺たちが立ち寄ったシャフルスク村の中央にある商人がやっている出店、そこに売っていた水晶ドクロのことなんだけどな──」
するとアドナが体をピクリと動かし、険しい表情に変わった。
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